上海海岸電台XSG (中国)
Shanghai Coastal Radio Station XSG (China)


 船舶通信が衛星や沿岸のVHFに移行する中、世界の海岸局で短波を出しているところは少なくなりつつあるが、長い海岸線と小規模設備の船舶を多く有する中国では中波や短波も海上通信では大きな役割を果たしている。中国には上海、広州、南京、天津などに大規模な短波海岸局(中国では海岸電台という)が残っ ている。中でもコールサインXSGの上海海岸電台は最も古い歴史を持ち最も大規模な海岸局である。

 上海海岸電台の始まりは、なんと清時代の1881年に設置された有線の上海電信局に遡る。同局によれば正式な開局(無線通信の開始)は1905年(まだ清時代である)とう ことである。国の直営機関であり、正式名称は「交通運輸部東海航海保障中心上海通信中心」と長 い、「上海海岸電台」は別称ということになる。
 中国を代表するユーティリティー局であるが、かつては時報「放送」を行っていたこともあり、1970年代のWRTHには掲載されていたこともある。

 現在の業務は船舶に対する無線時報、気象FAX、航路情報、緊急無線(GMDSS)、遭難信号傍受(DSC)などである。船舶との通信には現在 SITOR(Simplex Telex Over Radio)というデジタル方式のテレタイプが広く使用されているが、その際に識別信号をCWで流すことが多いため、受信のチャンスは多い。SITOR に使用されている周波数は4215、4259、6326、6436、6459、8425.5、8433、8502、8665、12637.5、 16898.5、17103.2kHz(出力はいずれも5kW)などである。テスト送信(「VVV de ~」)をCWで出していることもある。世界的に短波のFAXは利用されなくなっているが、周波数として4170、8302、12382、16559kHz が登録されており、それらしい信号が出ている場合もある。中波の周波数としては486、518kHzが色々な用途に使用されている。

 現在同局の送信所は2020年に建設された崇明送信所で、243haの広大な敷地に60基の中波・短波用送信機、43基のアンテナを有して世界最大規模を誇っている。正確な場所は揚子江河口に浮かぶ崇明島東北部の川沿い(上海市崇明島港沿鎮合五公路6188号)である。上海市中心部からは離れているが、 通信の博物館的な役割も果たしており展示施設(月ー金曜09:30-16:00)もある。

 中国のユーティリティー局としてはリスナーへのサービスが良く、20世紀の頃から受信報告には返信があった。2025年2月には「創立120周年記念送信」を行い記念QSLカードを発行した。この時は当初世界のアマチュア無線局と「クロスコール」を行う予定であったが、直前になって中止され、CWによる記念送信を4105、6780、8502、12871.5kHzで実施した。掲載したのは記念送信用に発行されたQSLカードと20世紀の1999年に発行されたPFC形式の受信証である。

 同局はかつて独自のHPを持っていたが現在はない、また「交通運輸部東海航海保障中心上海通信中心」のHPは現在も存在する模様だが外国らからのアクセ スは禁止されている。中国上海海事局のHP(https://www.sh.msa.gov.cn/)はアクセス可能だが情報は少ない。

 受信報告の宛先: 中国 201006 上海市浦东新区张江镇台路1号 上海海岸电台XSG
          Shanghai Costal Radio Station XSG, No.1 Diantai Road, Zhangjiang Town, Pudong New Area, Shanghai, China 201006
    E-mail:   <hadt @ shhadt.com>


120周年記念QSLカード表面 XSGのロゴ、現在の崇明送信所の全景、建物(「因為我們 海岸無遠近 通信零距離」 ー 我々のおかげで海岸から遠く離れていても通信は距離を感じさせなくなった)、アンテナ風景、オペレーション風景 大きさ 280×90mm


同裏面 右側は証明事項、赤い局印が押してある 「□Eyeball QSO」という項目があるのはどうしてであろう? 右側は送信所全景で、右下に「中国海事局」のロゴマークが入っている。


(左)1999年に受領したPFC形式のQSL 局印の他、発行者王宝成氏の印もある、当時は6.5kWで水平ダイポールから出ていたことがわかる
(右)同時に宝成氏から届いた手紙 当時のQTHは現在と異なっているし、独立した無線局であった

  

(左)崇明送信所の入口 (中)送信機群 (右)展示施設の入口 ー 「波連万里岸海 心系航海安危」(海原の果てまで航海の安全を願う)とある
東方網 https://j.021east.com/m/1691499639037477より

  



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