月刊短波2023年8月号(第6版)
編集 赤林隆仁  時間  JST

 

◎HCJB日本語放送でハムフェアインタビューを放送   6版新規
 8月19・20日に開催された「2023年ハムフェア」でのJSWC会員インタビューがHCJB日本語放送で放送される。期日は2023年8月27日と9月3日の日曜日である。放送時間は07:30-08:00 15400、20:00-20:30 15460。受信報告にはHCJBとJSWCよりQSLが発行される。HCJBのQSLは8月19日にハムフェアブース前で撮影されたJSWC会員の集合写真、JSWCのQSLは2023年用大阪道頓堀の写真である。HCJBへの受信報告の仕方はhttps://reachbeyond.chowder.jp/Messages/Archives/20220901HP.pdfを参照のこと。JSWCへの受信報告、e-QSL希望の場合は<jswcqsl @ live.jp>へ、紙のQSL希望の場合はSASE(宛先を書いて84円切手を貼った封筒)に発行手数料84円切手1枚を同封の上〒 248-8691 鎌倉郵便局私書箱44号 JSWC QSL係へ受信報告を送付する。(JSWC 大武逞伯理事)

◎Radio Spaceshuttle Internationalが放送開始21周年記念特別放送
  5版新規

 インドのAlokesh Gupta氏によると、オランダのRadio Spaceshuttle Internationalは放送開始21周年を記念して2023年8月19日早朝に9290kHzにて特別放送を実施する。受信報告は<spaceshuttleradio @ yahoo.com>へ。(WORIG 8/17) 放送時間はまだ発表されていませんが 8月14日の23:00にhttp://spaceshuttleradio.freeservers.com/にて発表される予定です

◎Marconi Radio Internationalが試験放送
 4版新規
 ギリシアのZacharias Liangas氏によると、イタリアのMarconi Radio International (MRI)が2023年8月15・16日atusaの02:00-03:30に6180kHzUSBで試験送信を行う。受信報告の宛先は<marconiradiointernational @ gmail.com>へ、印刷されたQSLカードが送られる場合もあるので、住所も記述しておくこと。(WORIG 8/13)

◎「アナウンサーたちの戦争」放映 
版新規
 
JSWC会員からの情報では、NHKスペシャル「アナウナサーたちの戦争」が2023年8月14日(月)の22:00-23:30にNHK総合TVで放映される。ナチスのプロパガンダ戦に倣って「声の力」で戦意高揚と国威発揚を図ったり、偽情報で敵を攪乱することを目的とした「電波戦」が太平洋戦争時代NHKとそのアナウンサーたちによって行われていた。戦時中の彼らの活動をドラマ化して戦争と放送の関わりを描く。(JSWC 大武逞伯理事)ヘルシンキ五輪の中継放送を行った後パリで客死した和田信賢氏のことが中心ですが、戦時中情報局情報官としてNHK国際局に出向していた並河亮氏もちょっと出てきます。

戦時中のNHK国際局ニュース編成班(1943年 山海堂発行 並河亮著「姿なき武器(世界電波戦)」より)


◎Radio Joystickが8月6日にMoosbrunnより高出力送信 3版新規
 ドイツのRadio Joystickによれば、同局は2013年以来Media Broadcast社の仲介でオーストリアMoosbrunn送信所を使用してきたが、2023年からは同送信所を管理するORS (Österreichische Rundfunksender GmbH & Co. KG) と直接契約して使用している。8月は6日19:00-20:00に7330kHz(100kW 270°)で欧州西部向に「Charlie-Prince Show」が放送される予定である。(WORIG 8/3)

◎FRS-Hollandの8月7日に特別放送 3版新規
 オランダのFRS-Hollandによると、同局は2023年8月7日の03:59-05:59に特別短波放送「FRS Summer Splash」を実施する。周波数は6185、7700、5800kHzの予定だが、5800kHzは5790kHzになる可能性もある。(WORIG 8/3)

◎BBC World Serviceが緊急に受信報告を募集 3版新規
 英国のChris Greenway氏によると、同氏の知り合いであるBBC World Service関係者は緊急に以下の放送に対する受信報告を求めている。
   09:00-11:00 7425(Tashkent 100kW 131°)
   09:00-10:00 5945(A'Seela 250kW 63°)
   10:00-11:00 9495(Tashkent 100kW 131°)
   21:00-23:00 15310(A'Seela 250kW 63°)
   21:00-22:00 17790(A'Seela 250kW 68°)
   22:00-23:00 11870(A'Seela 250kW 60°)
   受信報告は題名を「WS reception checks」として<worldservice.letters @ bbc.co.uk>に送付する。 (WORIG 8/3) 何れも英語放送です。

◎WRTHの8月1日アップデート発行 3版新規
 フィンランドのMauno Ritola氏によると、World Radio TV Handbookの2023年8月1日付アップデートが公開されている。https://wrth.info/wp-content/uploads/2023/08/WRTH23_INT_Summer_17.pdf。
(WWDXC TP 1550)


◎TDXCがFine Tuning's 「Proceedings」を無償で公開 
2版新規
 
1980年代後半から90年代前半にかけて北米の有力DXer集団「Fine Tuning」によって執筆された名著「Proceedings」が2023年8月1日よりTDXC(戸塚DXersサークル)のHP上で無償公開されている。執筆者の一人であるGuy Atkins氏よりTDXCに寄贈されたもので、日本のDXerで共有して役立ててもらいたいとの同氏の希望で実現した。時代は移ったが、有用なノウハウが満載であり、大変貴重な資料集・文献である。発刊から四半世紀が経過し書籍版は勿論CD版も絶版になって久しいので貴重な情報源としてダウンロードして閲覧していただきたい。https://www.tdxc.net/special-contents/よりダウンロード可能。(TDXC 中川弘夫氏) 「Fine Tuning」はBCL技術の向上を目指して1977年にDan Ferguson氏の主催で形成された、当時の米国若手DXerの集団。会員にはGuy Atkins、Jerry Berg、John Bryant、Richard D'Angelo、Gerry L.Dexter、Nick Hall-Patch、Don Moore、Bruce Portzerなど現在も活躍しているそうそうたる面々が名を連ねていました。数々の出版物を出しましたが、総大成として出版されたのが1988-1994年に計6冊発行された「PROCEEDINGS」です。6冊計で、Antennas(21アイテム)、Features(39アイテム)、Peripheral Equipment(24アイテム)、Propagation(7アイテム)、Receivers(37アイテム)についての128アイテムが掲載され、20世紀におけるBCL著作の大作と言えましょう。各アイテム毎にダウンロードできるようになっています。

各PROCEEDINGSの表紙


◎Tropical Bands Monitor 2023年8月版発行 2版新規
 
トロピカルバンド内に出ている国内向局の最新の動きを記述した「Tropical Bands Monitor」の2023年8月版がデンマークのAnker Petersen氏によって発行された。最新の動きは赤字で表示されている。http://www.dswci.org/tbmonitor/2023.pdf。(WORIG 8/2)

◎オーストラリアに新短波局Radio 567 ~4970/2325kHz 2版新規
 
デンマークのAnker Petersen氏によると、オーストラリアNew South Wales州Narrabriに2023年7月30日新短波局Radio 567が誕生した。周波数は4970kHz。オーストラリアのリモートSDRで同日17:40-19:50に確認したところ、「Radio 567 Rock and Roll Memories」と言っていた。URLはhttp://radio567.com.auで、HPでは2325kHz(Wee WaaのStation Xが使用していた周波数である)と4970kHzで試験放送中としている。しかし2325kHzでは確認できなかった。(NASWA Flashsheet 7/30 via WORIG 7/31) 出力100WのQRP局らしいです。



◎ルーマニアRRIが2短波送信機を休止 ~予算カット   2版新規   3版追加
 
ルーマニアのRadio Romania International(RRI)は、2023年8月1日より、使用中の短波送信機5基の内2基を一時停止する。これは送信機稼働に対する予算がカットされたための措置である。同日以降RRIの短波送信はTiganesti送信所1基、Saftica送信所1基、Galbeni送信所1基の3基によって行われることになる。なお予算が復活すれば以前の5基による送信に戻る。この休止によりRRIのルーマニア語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語の各放送は従来の2周波数から1周波数のみでの放送となる。受信できなくなった場合はhttps://www.rri.ro/上のインターネット放送かスマホアプリ、ないしはTuneInで聞いてほしい。なお短波送信機と休止と同時に、予算削減で国内向中波放送の夜間電力も減力して放送せざるを得なくなった。原記事はhttps://www.rri.ro/en_gb/two_transmitters_discontinued-2687864。(WORIG 7/31)
   
英国のMike Barraclough氏によれば、英語放送の新スケジュールは次の通り。欧州西部向;14:30-15:00 11960 20:00-21:00 17630 02:00-03:00 13750DRM 05:30-06:00 11975DRM 07:00-08:00 11800、アフリカ向;20:00-21:00 17670、北米西部向 12:00-13:00 9850、日本向;07:00-08:00 9790、オーストラリア向;14:30-15:00 21550、インド向;12:00-13:00 15330DRM。
   ドイツのAlexander Busneag氏によれば、局発表の最新スケジュールはhttp://ab27.bplaced.net/rri.pdfを参照のこと。(WWDXC TP 1550)

◎Music Programmes on Shortwave 第4版発行 2版新規
 
英国のAlan Roe氏によると、A23スケジュールにおける音楽番組をまとめた「Music Programmes on Shortwave」第4版が公開されている。pdf形式でhttps://app.box.com/s/kbdxb4c5lwpju0kpoi27aiwc35br2g2aまたはhttps://bit.ly/3LgKNJ2よりダウンロードできる。(WORIG 7/31) 36ページ。

◎TDXCがPROPAGATION第11号を発行
 
戸塚DXersサークル(TDXC)は2023年8月1日に、会誌PROPAGATIONの第11号を発行した。太陽黒点数の上昇で、中波DXerがメインの当サークルとしてはDX的成果が乏しく厳しい時期に入っているが、それでもメンバー各位自身のテーマに精力的に取り組み、今年もバラエティに富んだ記事が集まった。ここ数年毎年訪れている岩手・北山崎を始めとした国内・海外での受信活動レポート、製作記事等各位の研究成果発表、DXerインタビュー記事、BCL書籍評、個性溢れるエッセイなど多岐に及んだ内容は今年も健在である。変わったところでは今話題のChatGPTに書かせた記事もあって、「対話AI元年」と言われる今年らしさを感じる。閲覧ご希望の方は昨年10月に開設したTDXCオフィシャルホームページ( https://www.tdxc.net )より無料でダウンロードすることができる。(TDXC 中川弘夫氏)

PROPAGATION第11号の表紙 いつものように長谷川眞也氏の美人画 描かれているのはアンテナ・スピーカー一体型ポータブルSDR「BELKA-DX」


◎2023年ハムフェアにJSWC出展
 2023年8月19・20日に東京ビッグサイト南棟3・4ホールで開催される「2023年ハムフェア」に今年も日本短波クラブ(JSWC)が出展する。ブースはJ-54。会員によるBCL相談対応、アンケート、放送局資料・グッズの配布等を例年通り実施する。8月19日午後には会議棟で恒例の「BCL講演会」(新型コロナ蔓延を考慮して今年の聴講は会員限定、講師は赤林)が開催される。(赤林)

◎第42階近隣諸国放送研究フォーラム開催 ~アジア放送研究会
 アジア放送研究会は2023年8月19日(土)の13:30-17:00に都内文京区の某所において「第42回近隣諸国放送研究フォーラム」を開催する。このフォーラムは、近隣諸国の放送を調査研究するために必要な知識を共有することを目的に、日本を含めた東アジア地域の放送事情に関する研究発表やパネルディスカッションを中心に構成しているもので、新型コロナによる中断を経て今回4年ぶりに開催する。その間に近隣諸国のラジオ放送がどのように変わったかなど、改めて原点に立ち戻って情報共有を図ることが目的である。参加費は予稿集等の資料代として1,000円となる。会場の都合により定員が40名であるため、定員に達し次第、募集を締め切る。希望者はhttps://abiweb.jp/act/forum2023.htmを参照の上指定された方法で申込を行う。(赤林)

◎Al ArabiyaFMがBBC Cyprus中継局を使用開始
 
ドイツのHansjoerg Biener博士によると、サウジアラビアのAl ArabiyaFMが再開されたBBC Cyprus中継局の使用を開始した。現在のスケジュールは以下の通り。
 04:00-06:00 639kHz BBC Cyprus
 04:00-06:00 15420 Woofferton 250kW 137°
 短波は5月までDhabbaya中継局を使用していた。
英国のChris Greenway氏によればこれは内戦でほぼすべてのラジオ局は放送できなくなっているスーダン向で、Al Arabiyaは既に639kHzで放送すると予告していた。従来のBBCの役割をAl ArabiyaがBBCの設備を利用して先取りした形である。(WWDXC TP 1549)

◎英国の海賊局アドレスリスト
 米国のGlenn Hauser氏によると、英国及び周辺地域の海賊局のアドレスを掲載したリストが更新され公開されている。https://www.ukdxer.webs.com/addresses。但し北米の海賊局は掲載されていない。(WORIG 7/1)

◎Radio VanuatuがeQSLを発行
 米国のRon Howard氏によると、Radio Vanuatuが受信報告に対してeQSLを発行している。現在の発行者はSenior Technical OfficerのRobert Warren氏で、同氏のメルアドは<robertw @ vbtc.vu>である。(WORIG 7/6)

◎国境地での中波放送に力を入れるベトナム
 米国のPaul Walker氏によると、ベトナムのVoice of Vietnamは隣国に接する国境地域で中波放送のカバー範囲を広げるために拡張を続けている。2023年1月15日には693kHz(VOV1)と819kHz(VOV2)で新たな中波放送が開始された。GatesAir Flexiva社製のソリッドステート200kW AM/DRM送信機が導入され、カンボジアとの国境に近い高原地域をターゲットエリアにしている。また既報の様に南シナ海の領有権を主張する中国と相対する東南部海岸のPhuoc Dinhには新たに16ヘクタールの送信用地を取得し、400kWのNautel社製AM/DRM送信機が導入され1071kHzで送信を開始している。(IRCA DX Monitor Vol60-35 via WWDXC TP 1547) 693/819kHzの送信所はBuon Me Thoutと思われます。

◎中国のジャミング減少傾向 ~短波の衰退が関連か?
 オーストラリアのRob Wagner氏によれば、「希望之声」(SOH:Sound of Hope)は法輪功運動と関係があるため、中国政府は音楽を使った「Firedrake」、中央人民広播電台「中国之声」を直接ぶつけるなど様々な形で執拗な妨害を行ってきた。そのためSOHは多くの周波数を時間によって変える戦術をとり、これらすべてを正確に追尾して妨害するのは難しいと考えられるようになった。中国の妨害を長らく観察してきたドイツのWolfgang Bueschel氏によれば最近SOHに対する妨害が減少してきている。特に国際放送帯域外に長時間出ている放送にその傾向がある。同時にVOAウイグル語放送・チベット語放送、BBC WSの東アジア向放送に対するジャミングも減少傾向にある。これは中国政府が西側に柔軟になったのではなく、中国国民の間で短波ラジオが情報ツールとして使われることが少なくなり短波放送が外的脅威となる可能性が少なくなったことと、広大な国土をカバーするために使用する妨害電波運用コストが馬鹿にならないためと考えられる。ジャミングの減少は総合的には歓迎されるべきものだが、今後米中の緊張が高まっても変わらないのであろうか興味あるところである。なおRadio Free AsiaやRTIの北京語放送には以前と変わらない程度のジャミングが継続してかけられている。原記事はhttps://medxr.blogspot.com/2023/07/chinese-jamming-is-it-declining.html参照のこと。(WORIG 7/8)

◎ロシアではスマートスピーカーを推奨
 ロシアでは2019年以来スマートスピーカーが家庭用機器として推奨されている。予め定められた局名を言えば自動的にネット経由でその局が受信できるもので、電波放送やラジオ受信機が不要になるとして脚光を浴びている。ロシアのM.Video-Eldorado社が扱っているスマートスピーカーは2022年の売上げが前年比で70%も増加した。既存のFM局の中にもスマートスピーカー経由の放送に切り換えると所も出てきそうである。ある調査では現在ラジオ放送をスマートスピーカーで聞いている人の割合は8%で、昨年より2%増加した、しかも大半は女性である。ちなみにカーラジオで聞いている人は50%、スマホ/PCで聞いている人は30%、昔ながらのラジオ受信機で聞いている人は30%に過ぎなかった。(RUS-DX #1244 7/2 via WORIG 7/2) 有線スピーカー放送と同じで、政府としては放送局の制御が行い易くなりますね。M.Video-Eldorado社のスマートスピーカーは中国製です。

◎Arkhangelsk地方で短波放送の検討
 ロシア国営ラジオTV放送(RTRS)は白海に面したArkhangelsk地方のMezensky地区でラジオ電波の届きが悪いため、短波放送の検討に入り、国の「地方短波通信委員会」の指示の元試験放送の実施を検討している。(RUS-DX #1244 7/2 via WORIG 7/2) Arkhangelskにはかつては短波送信所がありました。FM電波もWiFiも届かない地域で手軽にラジオを受信するには短波放送しかありません。

◎20年前のロシア語放送年鑑公開
 2001-2003年のロシア語放送リスト(多くは中波、短波)が以下の様に公開されている。
 B01シーズン http://radio.hobby.ru/rusradio-b01.pdf

 A02シーズン http://radio.hobby.ru/rusradio-a02.pdf
 B02シーズン http://radio.hobby.ru/rusradio-b02.pdf
 A03シーズン http://radio.hobby.ru/rusradio-a03.pdf
 B03シーズン http://radio.hobby.ru/rusradio-b03.pdf
(RUS-DX #1244 7/2 via WORIG 7/2)

◎Radio Pio XII日曜のみに放送

 コロンビアのRafael Rodriguez氏らによると、ボリビアのM.Video-Eldorado社の短波放送Radio Pio XII(5952kHz)はこのところ毎週日曜日の07:30-10:00のみに出ている模様である。他の日はキャリアが出ていることがあっても音が載っていない。(WORIG 7/11)



◎Radio Caracas Radioインターネット放送も許されず
 チリのSantiago San Gil氏によると、ベネズエラで放送していたYVKS RCR Radio Caracas Radio(750kHz)は1年前政府より送信停止を命じられ、インターネット放送に切り換えていたが、このほどインターネット放送も禁止されて姿を消すことになった。この局はベネズエラで2番目に古い放送局であった。ベネズエラでは政府に閉局させられる放送局が相次いでおり、WRTHによれば1980年に165局あった中波局は2023年には39局に減少している。(Arctic Radio Club mv-eko 7/10 via WORIG 7/11)



◎イルクーツクの旧Angarsk送信所解体に
 ロシア・イルクーツクにあるAngarsk送信所は37本のアンテナマストを有する国内外向中波・長波の大送信所であったが、2014年に234kHzでイルクーツク地域をカバーしていた国内向長波放送が廃止された後はマストのみが残っていた。このほど同送信所の解体撤去が行われることになり、巨大マスト並ぶ送信所の風景も見られなくなる。(Arctic Radio Club mv-eko 7/10 via WORIG 7/11)

◎KBS受信料を電気料金徴収と分離
 英国Mike Cooper氏が韓国聯合通信の報道として伝えたところによると、韓国政府は2023年7月11日KBSの受信料を電気料金とは別徴収にする法令改正案を閣議決定した。2023年6月に放送の監視機関である韓国通信委員会(KCC)が受信料の徴収方法を変更すべきとした勧告を受けた措置である。1994年以来受信料は毎月の韓国電力公社(KEPCO)の電気料金に₩2,500を上乗せして徴収されており、内KBSに₩2,261、 公共教育放送EBSに₩70、KEPCOに手数料として₩169が配分され、国民全部から受信料金を自動的に徴収する仕組みとなっていた。KBSの年間受信料収入は₩6274億で、総収入の45%を占めている。KBSは徴収方法の変更により受信料を支払わない人が増え受信料収入が大幅に減少するとして反対している。法改正後の徴収方法としてKEPCOからKEPCO自体の請求書とKBSの請求書を別々に発送して支払ってもらう方法が検討されているが、KEPCOはそのために年間₩1,850億の追加費用がかかるとしている。韓国国民の大多数は電気料金との別徴収に賛成であり、そもそもKBSの受信料そのものに反対している。(WORIG 7/11) NHKの受信料と比べると安いですね。

◎「Europe 1」の歴史本出版
 英国のMike Terry氏によると、フランスで最も定評のある放送局「Europe 1」の歴史について記述した「EUROPE 1. De la singularité au déclin 1955-2022」(特異な発展から衰退へ)が出版された。著者はフランスのジャーナリスト兼コラムニストのPhilippe GIildas氏。同局は1954年Charles Michelson氏によって創立された、氏は欧州全体をカバーする放送やテレビジョンの将来について先見の明があったが、不器用な性格であったため政府と衝突して挫折し、局の経営はMatra航空グループのSylvain Floirat氏に引き継がれる。Floirat氏の下で局は拡大発展し、更に彼の配下でエンジニアであったJean-Luc Lagardère氏が1970年代に経営を引き継ぎ、局の地位を確固たるものとした。 Le Bord de l'eau出版社、フランス語、272ページ。フランスAmazon(http://www.amazon.fr/)で送料別€22.0。(WORIG 7/10)
 ドイツのKai Ludwig氏によると、Europe 1は冷戦時代に東ドイツのOranienburg Zehlendorf送信所の放送が西ドイツに侵入しくる防止するために、当時フランス領だったSaarlandより180kHzで送信を開始した。冷戦時代はほぼ同じ周波数で電波をぶつけ合ったが、その後協定が成立し、1980年には東ドイツが179kHz、Europe1が185kHz、1986年には東ドイツが177kHz、Europe1が183kHzと離れて放送するようになった経緯がある。Europe 1がフランス局であるのは、送信所のあるSaarlandの管理が1957年ドイツに移管されたためで、その時の協定でドイツ語放送は行わないことが決められている。
フランスのRemy Friess氏によると、Europe 1はフランス政府の息がかかったSofiradにより設立されたもので、後にモロッコに設立され179kHzで長波放送を行っていたMedi 1も同じ目的・種類の局であった。(WWDXC TP 1548)



◎ルーマニアRadio Carpathiaの現状
 英国のAlan Roe氏がルーマニアRadio Carpathiaのstation opearatorであるLuca Trifan氏から得た情報では、同局は通常の聴取者数が少ないため随時Channel 292等からの試験放送を実施している。次の試験放送の予定は7月23日ないしは29日、8月26日ないしは27日の01:00-02:00にChannel 292の9670kHzで行われる可能性が強い。なお定期放送は毎月第3日曜日(7月16日、8月20日)の19:00-20:00にChannel 292の9670kHzで、また毎週月曜日の11:00-11:30にWRMIの5850kHzで行われている。(BDXC Communiction July via WORIG 7/10)

◎リトアニアがロシアSputnik Radioの妨害用放送を入札
 リトアニアにラジオTV委員会はロシアの宣伝放送Sputnik Radioと同じ周波数で放送して妨害する民間局を入札で募集中である。ロシア本国と国境を接する西部地域、首都Vilniusが対象であったが、6月よりカリーニングラードとの隣接地域も新たに対象となった。これに対してロシアSputnik Radioの技術者はロシアの放送を熱望する民衆の権利を踏みにじるもので、経済性・実効性に乏しい施策だと反発している。(RUS-DX #1245 7/9 via WORIG 7/10) FMの「弱肉強食」性を利用して強い電波をぶつける方法と思われます。

◎ロシア北極圏で電報の短波伝送実験
 ロシア国家ラジオTV放送会社(RTRS)は北極に面したArkhangelsk地方のMezensky 地区で、短波による電報の伝送実験を行っている。この方法自体は古典的なもので、ロシアの郵便当局では既に廃止されている。ただし今回の方法は従来のようにCW(A1)を使用するのではなく、デジタル信号を伝送する点が異なっている。ロシアの北極沿岸のように広大で人口の少ない地域ではデジタル通信も短波を使用した方が安定的でコストも安いことを実証するためである。原記事はhttps://obob.tv/tekhnologii/rtrs-khochet-otnyat-lavry-raznoschika-te/。(RUS-DX #1245 7/9 via WORIG 7/10) 短波放送の廃止で大量に残っている設備の有効活用としては有望かも知れません。

◎ロシアKuban送信所解体
 クリミア半島の対岸にあるロシアKuban送信所でVoice of Russiaの放送に使用していたRV-680送信機(1170kHz、1200kW)と中東向ビームのアンテナシステムがこのほど撤去・解体された。この中波ビームアンテナシステムは「Zarya」(заря:夜明けという意味)と呼ばれ他の送信所でも使用されていた。現在はGrigoriopol送信所の1548kHz(1000kW)送信所のみに残っている(245°、バルカン半島向)。(RUS-DX #1245 7/9 via WORIG 7/10)

◎BBCシンガポール中継局廃止の背景
 台湾のKeith Perron氏によると、7月15日に廃止される予定のBBCシンガポール中継局は、BBC World Serviceの意向で廃止される訳ではない。Kranjiにあるこの中継局はすべてシンガポール政府の所有であり、同政府は過去30年間にわたり英国に返還を要求してきており、2017年に2023年7月15日意向は送信免許を延長しないと通告した。現在のKranji送信所の近くには旧Radio Singapore Internationalの短波送信所(1994-2008年に運用)があったが、政府は2008年に同送信所が廃止された後は、周辺の土地利用計画を進めるためBBC中継局の廃止を期待していた。Perron氏は2020年11月に中継局を訪れてマネージャーや主任技術者と懇談したが、その時点で「2023年には賃貸契約が切れて閉局となる」と言っていた。シンガポール政府の計画では送信所跡地に1500億SGD(約1.5兆円)を投じて2000戸の高級住宅と技術研究開発拠点を建設することになっている。現在のBBCシンガポール中継局の設備の一部は旧Radio Singapore Internationalのものを引き継いでいるが、更新は全く行われておらず、エネルギー効率が悪いためシンガポール電力(マレーシアからの買電で供給している)からも厄介扱いされてきた。このようにBBC World Serviceの意向と関係なく廃止された中継局は他にもあり、2017年に廃止されたタイNakhon Sawan中継局も同様なケースであった。(Switzerland in Sound FB via WORIG 7/14)

◎BBCシンガポール中継局廃止その後
 台湾のKeith Perron氏が、BBCシンガポール中継局のTam Lam Soon氏と直接話して聞いた情報では、廃止された同中継局のアンテナ、ケーブル、送信機類は今後8~10カ月以内に入札でスクラップ業者に効き渡され。2024年中には住宅、ショッピングモール、技術開発センター、ゴルフ場、空軍用管制塔の建設が開始される。その経済効果を考えれば中継局を維持して欲しいなどという希望は一笑に付されてしまうとのことである。BBCが借用継続をすれば良いという意見もあったが、BBC(店子)が借りたがらずシンガポール政府(大家)が売りたがっているのだから成立する筈はない。BBCへの賃貸価格は1992年以来据え置かれていたが、周囲の土地の借地価格はこのゾーンより狭い土地でも20年リースで9億5000万ポンドとなっており、更新後価格が改定された場合にBBCが到底負担できる金額ではない。原文はhttps://www.facebook.com/groups/105423956179175/permalink/6341673059220869/。(WORIG 7/23)

◎台湾国際放送8月1日より放送を縮小
 フランスのJean Michel Aubier氏によると、台湾国際放送(RTI)は2023年8月1日より放送規模を縮小する。
同日以降のスケジュールは以下の通りである。
 日本語 20:00-21:00 9740
    英語 01:00-02:00 9405
    インドネシア語 19:00-20:00 11915
    タイ語 22:00-23:00 9525
    ベトナム語 20:00-21:00 9695
    韓国語 19:30-20:00 9700
(WORIG 7/16) 理由は経費節減で、上記の6言語は原則1日1時間帯1周波数となります。

◎Woofferton送信所内部ツアーのビデオ
 英国のPeter Jones氏によると、RSGB(Radio Society of Great Britain)制作の同国Woofferton送信所内部見学ツアーのビデオ「TX Factor 29」(約60分)がYouTube上で公開されている。https://www.youtube.com/watch?v=3xy2uwbJxpY。(WORIG 7/15)

巨大なアンテナ切替器(同ビデオより)


◎アルメニアGavar送信所からの中波中継
 ロシアのViktor Tsekhanovich氏によると、アルメニアのGavar送信所から中央アジア・中東向に行われている中波中継は以下の通りである。
 864kHz 1000kW; 23:30-00:30 Radio Liberty ロシア語 02:10-02:25 TWR トルクメン語 02:25-02:40 TWR Karakalpak語 02:40-02:55 TWR トルクメン語
 1350kHz 1000kW; 03:00-05:30 TWR アラビア語
    1377kHz 500kW; 03:00-04:45 TWR ペルシャ語 04:45-05:45 TWR ウクライナ語
(RUS-DX #1246 7/16 via WORIG 7/16)

◎アルメニアNoratus Radio Centerの設備について
 ロシアのAnatoly Klepov氏によれば、アルメニアのNoratus Radio Center(CJSC Gavar送信所)は1965年に当時のソ連により高出力送信所として建設された。短波送信機は当時Condor、Bob2、Thunderと称されていたものが、中波送信機はBoreasと称されていたものが導入された。現在中波は864/1350/1377/1395kHzで送信されているが、以前は長波234kHz、中波1314kHzも使用されていた。2014年4月1日よりはVoice of Russiaも一時使用していた。現在の500kW中波放送の中継料金は1時間US$250である。
 ドイツのKai Ludwig氏によると、短波送信機は100kWのものが4基あり、旧ソ連製RV-573及びRV-574である。長波・中波用送信機は1000kWの旧ソ連製PDSV-1000と推測されるが、1377kHz用のみはTrans World RadioによりNautel社製が設置されている。イラン向放送の強化用だが、現在のところ02:00-03:30の90分間しか使用していない。今後6時間に拡張される予定である。なお過去にアルバニアで使用されていた短波送信機も設置されたことがあるらしい。
 ドイツのWolfgang Bueschel氏によると、1377kHz用のアンテナは6本のマストで支持されており、送信方向30°で出力は1000kWまで出せる。これは米国Kintronics社製「Double Cone Skirt Antenna System」で、2006年にやはりTrans World Radioにより設置されたものである。Googleの衛星写真はhttps://goo.gl/maps/Z3kbcTPWKgYykwPu8を参照のこと。また1350kHz用アンテナの写真はhttps://lh5.googleusercontent.com/p/AF1QipOq89f-ZJykov8B0vRTUAz--XfOinKzEKivtm1a=w768-h240-k-noを参照のこと。(WWDXC TP 1549)

◎モルドバGrigoriopol送信所からの中波中継
 ロシアのViktor Tsekhanovich氏によると、モルドバの親ロシア地域TransnistriaにあるGrigoriopol送信所からは以下の中波放送が中継されている。
 621kHz 160kW; 月-金曜 22:00-25:18 Radio One Plus/Radio Transnistria 毎日 03:30-04:30 TWR ロシア語
 999kHz 1000kW; 24H Radio Russia
    1413kHz 500kW; 24H Vesti FM
    1548kHz 500kW; TWR-Europe 04:30-04:45 日 ブルガリア語 月-土 ルーマニア語 04:45-05:15 火-土ロマ語 日・月 ルーマニア語 05:15-日・月05:40 火ー土06:00 ハンガリー語 05:40-日05:55・月06:10 ボスニア語 05:55-06:10 日 モンテネグロ語 火ー土06:00 日・月06:10-06:30 セルビア語。 (RUS-DX #1246 7/16 via WORIG 7/16)

◎キルギスの5130kHz復活
 キルギスKyrgyz TelekomのBishkek送信所からの5130kHzの送信が2023年7月3日より復活した。但し送信時間は毎月1-15日で平日の23:55頃ー03:00頃に限られ、s/on及びs/off時にキルギス語で「Hit Shortwave」というアナウンスが出ている。送信所管理組織への連絡先は<public @ ktrk.kg>、 <ktrksite @ gmail.com>、 <office-rrtc @ ktrk.kg>である。(RUS-DX #1246 7/16 via WORIG 7/16) キリスト教布教局Radio Sadaye Zindagiが長年使用していましたが、他にも中継を始めたのかどうか?

◎アルジェリアの長波252kHzが復活
 アイルランドのConor Burns氏によると、停波していたアルジェリアTipaza送信所からのRadio Algérienneの長波放送252kHzが復活している。多分送信機のメンテナンスを行っていたのであろう。アイルランドでは同一周波数だったRTEが出なくなったので良好に受信できる。(WORIG 7/15)

◎IARU Monitoring System Region 1 Newsletter6月号発行
 スペインのGaspar Miro氏によると、IARU(International Amateur Radio Union)は「IARU Monitoring System Region 1 Newsletter June 2023」を2023年6月23日に発行した。全23ページ、第1地域(欧州、アフリカ、中東、旧ソ連、モンゴル)においてアマチュアバンド内で観測された放送局、ユーティリティー局についてリスト化している。全23ページ。https://www.iaru-r1.org/wp-content/uploads/2023/07/IARUMS-R1-Newsletter-2023-06.pdf。(WWDXC TP 1548)
 
◎Kadak FMが中波で登場
 ギリシアのZacharias Liangas氏らによると、アラブ首長国連邦のKadak FMが中波1539kHzで強力に聞こえだした。但し音質は悪い。(WWDXC TP 1548) 同国ではFM化が完了した筈ですが?



◎BBC World Serviceのアジア向英語放送はほぼ廃止
 ドイツのHansjörg Biener博士によると、シンガポール中継局の廃止で同中継局から行われていたBBC World Serviceアジア向英語放送の大半はほぼ廃止された模様で、HFCCのデータを見る限り、Oman、Dhabbaya、Madagascarの各中継局の送信スケジュールに変化はない。(WORIG 7/15) 英語放送は19:00-21:00 9410kHz(フィリピンTinang中継局、250kW、200°)のみが残っていますが、ビームは東南アジア向で、日本ではあまり強くありません。

◎BBC World Serviceアフリカ以外のターゲットは3カ所に
 英国のPeter Hansen氏がHFCCのデータを解析したところ、BBC World Serviceのアフリカ以外のターゲットはアフガニスタン・パキスタン(1日3回11時間、パシュート語)、北朝鮮(月-金、1日4回2時間、朝鮮語)、ミャンマー(1日1回30分、ビルマ語)の3カ所のみで、中東・アジア向の英語サービスはほぼ停止された。(WORIG 7/17)

◎KSDAが通常のA23スケジュールに復帰
 インドのJose Jacob氏によると、台風の影響でアンテナ2基での運用を余儀なくされていた、Adventist World Radio-Guam(KSDA)は2023年7月18日、3基目のアンテナが復旧し、正常なA23スケジュールに戻った。(WORIG 7/18)

◎「短波近代化連合」がFCCに要望 ~短波周波数分配を要求
 米国のBill Smith氏によると、同国で短波によるデジタル通信の実現を目指す業者の連合体「短波近代化連合」(SMC:Shortwave Modernization Coalition)はFCCに対して以下の周波数帯の譲渡を要請した。2.107–2.194、2.505–2.850、3.155–3.400、4.000–4.063、4.438–4.650、4.750–4.995、5.005–5.450、5.730–5.900、6.765–7.000、7.400–8.100、9.040–9.400、9.900 –9.995、10.150–11.175、11.400–11.600、12.100–12.230、13.410–13.570、13.870–14.000、15.800-6.360、17.410–17.480、18.030–18.068、18.168–18.780、19.020–19.680、19.800–19.990、20.010–21.000、21.850–21.924、22.855–23.200、23.350–24.890MHz。現在これらの業者には実験局の免許が与えられ、4.9、10.2、14.9、19.9、 24.8MHz付近で、WI2XNX、WI2XER、WI2XAJ、WL2XYM等のコールサインで実験送信が行われている。(WORIG 7/20) アマチュア無線界には反対意見が多いとのことです。要請書の原文はhttps://www.fcc.gov/ecfs/document/1042840187330/1。

◎WRMIがスロバキア・ポーランドの英語国際放送の中継を削減・停止
 カナダのHarold Sellers氏によると、WRMIはスロバキアのRadio Slovkia InternationalとポーランドのRadio Polandの英語放送中継を停止・削減している。
 Radio Slovakia International:毎日09:30-10:00 5850 15770、07:00-07:30 5850で行われていたが、火-土曜の10:30-11:00 5800kHzのみに削減された。7/21の放送は1月末の再放送であった。
Radio Poland:火ー金曜の07:30-08:00 5850 15770で行われていた放送は停止された。
 なおアルゼンチンRAE、チェコRadio Prague International、インドネシアVoice of Indonesiaの国際放送は従来通り中継されている。(WORIG 7/20)

◎NRCより「AM Radio Log」第44版発行
 米国National Radio Club(NRC)のWayne Heinen氏によると、同氏編集の米国・カナダ中波局詳細リスト「AM Radio Log」第44版が発行された。インフレの中で年初の設定価格を維持することができた。価格は海外の非会員の場合は送料共US$58.10である。詳しくはhttps://nationalradioclub.org/ を参照のこと。(WORIG 7/21)

◎RTEの長波放送廃止に批判 ~英国への移民者を切り捨て

 英国のMike Cooper氏によると、アイルランドのindependent.ieは2022年にRTEの長波放送が廃止されたことについて次のような批判的見解を掲載した。
 RTEは2022年4月に長波ラジオ放送(252kHz)を廃止した。理由は電気代を中心に年間約20万ユーロの維持費用がかかるからというものであった。この長波放送の主なリスナーは20世紀後半にアイルランドから英国に大量移住した高齢のアイルランド人であった。インターネットを使うのが苦手なこの世代にとってRTEの長波放送は母国との感情的、社会的つながりを維持する唯一の手段であった。アイルランドの現在の発展はこれらの人々からの送金によって築かれてきたにも拘わらず、反対運動を抑えるため、RTEはわずか2週間前に廃止通告するという形で、これらの人々を切り捨てた。今までにRTEがタレント、失敗した番組、フリップ、食事などに費やされた莫大な費用に比べれば、この人たちが今後生きている十数年間だけ長波放送を維持する費用など取るに足らないものなのに。原記事はhttps://www.independent.ie/opinion/letters/letters-rte-shows-contempt-for-ageing-irish-diaspora-by-ending-long-wave-service/a611588724.html。(WORIG 7/21)

◎Shortwave Austrliaからの手紙
 米国のRon Howard氏によると、Shortwave AustraliaのDave Stuart社長 <vk3ase @ yahoo.com>はリスナーに大変親切である。最近も「Shortwave Aust Latest Developments」というビデオを公開した。https://www.youtube.com/watch?v=V-0uag9qdhs&t=91s。氏からの手紙によると、ABCが昔50kWで送信を行っていた周波数を使い200Wで送信しており、オーストラリア南東部をカバーしている。生中継が多いが、10分おきには識別アナウンスを流している。識別アナウンスはWindows10の音読ライブラリにあるコンピューター合成による女声で自動的に「This is Shortwave Australia broadcasting to the inland and the islands on 4835 kilocycles day time and evening as well as 2310 kilocycles night time」という内容で挿入されている。(WORIG 7/21)

◎C.M. Obrechtがブラジル向DRM放送 ~8月11日
 英国のAlan Roe氏によれば、スイスのミュージックアーティストC.M. Obrecht氏は、来る2023年8月12日8日(土)の08:00-09:00に12030kHz(Ascension、100kW、245°)でブラジル向にDRM放送を行う。同氏は過去度々Woofferton送信所よりアジア・太平洋に短波放送を行っているが、Ascensionからブラジル向に行うのはこれが初めてである。仲介は英国のEncompass Media Servicesである。(WORIG 7/28)

◎アクティブなペルー局
 デンマークのStig Hartvig Nielsen氏が「DX Focus」に報告したところでは、現在アクティブに放送していることが確認されているペルー短波局は以下の5局である。
 4750 Radio Huanta 2000, Huanta, Ayacucho
 4775 Radio Tarma, Tarma, Junin
 4810 Radio Logos, Chazuta, Tarapoto
 4820 Radio Senda Cristiana, Cotahuasi, Arequipa
 5025 Radio Quillabamba, Quillabamba, Cusco
 デンマークではRadio Tarmaが最も聴き易い。Radio QuillabambaはキューバのRadio Rebeldeが停波または減力送信を行っている時のみに受信できる。
(WWDXC TP 15 via WORIG 7/25)
 コロンビアのRafael Rodríguez氏によると、IquitosのLa Voz de la Selvaが08:00-10:00頃に4825kHzで復活している。同局のオンライン放送と内容が一致していた。4825kHzの短波放送は2017年5月以来途絶えていた。当時は「LVS Digital 93.9」とアナウンスしていた。ペルーのDXerによると、時々不定期に放送していた模様である。1990年代はロッドアンテナを延ばせば聞こえた普通の局であったのだが..。(WORIG 7/21)

◎海峡之声広播電台の中波666kHzが一時停波
 中国福建省の海峡之声広播電台は、設備改修のため2023年7月3日~8月2日の一カ月間中波の666kHzの送信を停止する。予定では8月3日より復旧する。それまでは中波783/1296kHz、短波4900kHz、FM90.6/99.6/97.9MHz及びオンラインで受信して欲しい。この発表は同局のHPにポップアップウィンドウの形で表示された。同局のHP上には過去に廃止された短波の4940/6115/9505kHzがまだ表示されており、新規追加された1296kHzは表示されていない状態であったが、これを機に実際の使用周波数に表示が変更された。(Cahcn自留地 7/5) https://www.vos.com.cn/haixiagaikuang.shtml?num=1に番組表と周波数が記載されています。

◎アラスカHAARPが最後の「Ghosts in the Air Glow」を送信
 アラスカの研究施設HAARP(High-frequency Active Auroral Research Program)が芸術家Amanda Dawn Christie氏による芸術的送信「Ghosts in the Air Glow」2023年8月14日(月)の12:30-13:30に2.8-10MHzの周波数帯で行う。試験信号の内容はSSTVとモールスコードである。正確な周波数は2-3日前に発表される。受信報告にはQSLカードが発行される。この内容の試験送信は3回目でこれが最後となる。詳しくはhttps://ghostsintheairglow.space/を参照のこと。またHAARPについてはttps://haarp.gi.alaska.edu/を参照のこと。(WORIG 7/29)

◎SM Radio Dessau8月放送予定
 ドイツのHansjoerg Biener氏によると、同国のSM Radio Dessauは8月に昨年放送分の再放送中心とした内容の放送を行う。この内8月13日の20:00-21:00には Moosbrun送信所より6070kHz(100kW)で高出力送信を行う。他の送信はChannel 292より6070kHz(10kW)で以下のように実施される。8/6 8/13 8/20 8/27 00:00-01:00。受信報告の宛先はMax Berger, Saalestrasse 44, 06846 Dessau, Germany、E-mailは<maxberger @ smradio-dessau.de>。(WWDXC TP 1549)

◎World Music Radio近況
 デンマークのYdun Ritz氏によると、7月20日より同国World Music Radioの927kHzとRadio 208の1440kHzが放送を再開した。
 ドイツのSteffen Mehnert氏によると、当局による免許更新作業の遅れが原因で、6月より放送を中断していた。更新免許の交付に伴い7月初めより短波送信、webサイトも再開している。
(WWDXC TP 1549)

◎WTWW送信復活に
 WTWWのGeorge McClintock社長によれば、同局は送信施設の売却が不成立だったため、7月第2週より5085kHz、9475kHzの順で放送を復活する。同時並行して宗教団体への送信所売却作業は継続する。また経費捻出のため、送信管など送信所の部品の一部を売却する。そのため送信開始時に出力が出ない可能性もある。KVOH局が購入してザンビア送信所に送ることを期待している。スクラップにするとトン当たりUS200にしかならない。(NASWA Electronics Flashsheet #1109 7/16 via WWDXC TP 1549)

◎アゼルバイジャンはラジオ網整備に意欲
 アゼルバイジャンのIlham Aliyev大統領は同国内でラジオ放送網を拡大するために資金を配分する大統領令に署名した。資金は放送網の拡大と既存放送局の設備改善、技術機能の向上に割当てられる。具体的には2023年の国家予算に計上された大統領予備費からデジタル開発・交通省(Ministry of Digital Development
and Transport )を通じて1,370万マナツ(約114億円)が計上される。(RUS-DX #1248 7/30 via WORIG 7/30) 国内に散在する都市に小電力のFM局があるだけで、長波・中波・短波局は存在しなくなりましたのでラジオが聞こえない地域が増えていると推測されます。

◎アフリカではラジオ放送がメインメディア
 ラジオ放送は「アフリカのメディア」と言われているほどアフリカでは人気がある。ラジオ受信機が安価で入手し易いのがその理由である。アフリカには54ヵ国に13億人が居住しているが、ラジオ放送を広範囲に使用しているのが「先進国」であり、電力の安定供給やインターネットがなくラジオ放送を活用できていない国との格差が開きつつある。アフリカでは元々「口伝え」で情報を伝達する文化があり、これがラジオ放送の特性と一致しているためか、アフリカ諸国ではラジオの聴取率が世界の他の地域と比べて高い。例えば南アフリカの最近の調査では15歳以上の国民の94%がラジオ受信機を保有している。(RUS-DX #1248 7/30 via WORIG 7/30)

◎Radio Pakistanが中波放送のデジタル(DRM)化に着手
 Radio Pakistanのwebサイト(https://www.radio.gov.pk/29-07-2023/radio-pakistan-to-launch-digital-mw-transmitter-project-in-rawat-tomorrow)によると、同局は2023年7月30日よりRawatでの中波送信機デジタル(DRM)化プロジェクトを開始する。Marriyum Aurangzeb情報・放送大臣が起工式を行い、新型の1000kWDRM対応中波送信機がRawatのHPT complexに設置される予定である。プロジェクト全体は2年計画で総額40億ルピー(約20億円)が投入される。この1000kW送信機により南アジアに加えて、中央アジア、中東、極東、トルコ、ギリシアでのRadio Pakistanのサービス範囲と信号強度が向上することが期待できるとしている。新型送信機は4つの放送信号を同時に送信でき、電力は33%削減されて経費節減になるとともに、自然災害時の緊急警報システムとしても利用出来るとしている。(RUS-DX #1248 7/30 via WORIG 7/30) 周波数は540kHzとのことです。 Rawatは首都Islamabadの南東約20kmにあり、元はRadio Pakistan海外向短波放送の送信拠点でした。説明は良いことずくめですが、受信機はどうするのですかね?インドでの失敗はどう評価するのでしょうか?極東(多分国境を接している中国のことでしょう)までRadio Pakistanのサービス範囲を広げるのならばまず短波じゃないでしょうか?

◎モンゴルの長波・中波放送事情
 モンゴルではMongolian Radioの国内向に長波、中波の放送が若干残っている。このほど首都Ulaaanbaatarの北東約70kmにあるテレルジ(Terelj)国立公園(標高約1,700m)でこれらの信号を確認して見た。その結果は以下の通りである。何れも内容は国内向第一放送で同じ。
 164kHz Khonkor送信所:距離が近いせいか1日中強力に受信できる、信号強度は大きいが音質は悪い
 209kHz Choibalsan/Dalanzadgad/Ulgii : 夜間のみ弱く受信できる、3局あるが相互の混信はなかったため実際に放送しているのは1局(多分Ulgii送信所)と思われる
 227kHz Altai送信所:夜間のみ弱く受信できる
    882kHz Murun送信所:夜間のみ弱く受信できる(短波の4895kHzは入感なし)
 テレルジは首都に近いにも拘わらずラジオ放送として実際に利用できるのは164kHzの長波放送のみで、Ulaanbaatarには沢山あるFM放送の電波は届いていなかった。他の郊外地域でも状況は同じであった。
 モンゴルは首都Ulaaanbaatar以外はごく小さな都市があるだけで、他は広大な草原と山岳地帯であり、国民の約20%が遊牧民として暮らすこれらの地域をくまなくカバーする役割を長波放送が果たしていると思われる。ただし現在はあまり力を入れておらず送信機も老朽化しているようだ。地元の経済団体の調査(2016年)では毎日ラジオ放送を聴いている人は首都で11%、首都以外の地方で10%、ラジオ受信機を持っていない人は、首都で56%、地方で62%と、ラジオ放送自体が国民の間でもうメディアとして重視されていないようである。現在は首都の住民も遊牧民も情報や娯楽はスマホで得ている状況で殆どの人が日本と同様にスマホを見ている。(赤林)

◎広西広播電視台教育広播が部分停波
 中国・広西広播電視台の教育広播は、7月より毎月最終火曜日の14:00-18:30に南寧市で放送中のFM93.0MHzの送出を停止する。これは送信設備の保守点検のためである。停波時間中も番組は通常に放送され、スマホアプリ「広西視聴」や「蜻蜓FM」、「喜馬拉雅(ヒマラヤ)」等のプラットホーム上で聞くことができる。これが南寧市以外の送信所にも適用されるかは明確でない。(Cahcn自留地 7/30)




出典の略称
   WORIG : World of Radio io group
   WWDXC TP:World Wide DX Club Topnews  
   HCDX: Hard-Core-DX  
   JSWC: Japan Shortwave Club  
   NDXC: Nagoya DXers' Circle


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