第3回  野球選手がおかしいぞ!
 2004年、プロ野球界はゆれにゆれた。セ・パ6チーム、2リーグ制に黄信号がともったからである。きっかけは、近鉄球団をオリックスが吸収合併、余った選手はみんなで分け分け、的な段取りが、球団関係者だけの間でやり取りされ決まってしまったのである。身売りという選択肢もあったのに合併が真っ先に取りざたされたのは、セパ12球団維持が難しくなってきていることの表れと見て取れた。オーナー会議は所詮仲間内の話なので、異論が出るはずもなく、了承、しかももう2球団の合併話まで出てきてわけがわからんというより、「こいつら、プロ野球をなんと考えとるんだろう?」と思ってしまったくらいである。
 死活問題になる選手会側は猛烈に反対、ついに日本プロ野球史上初めてストライキが決行、野球のない、「暗黒の週末」を迎えることになってしまった。そして、合併は実現され、あわや11球団で来季は開幕か、と思われたが、ストライキで態度を軟化させたオーナー側が、新規球団加盟の条件を大幅に緩和、すでに手を上げていたライブドアと楽天がつばぜり合いを演じ、後から来た楽天が空いていたいすを勝ち取った、というのである。その間に、親会社の不振で去就が取りざたされていたダイエーホークスも、IT企業の旗手、ソフトバンクが破格の値段で買い取り、実質新顔の球団が3つも出てくる、面白い状況にパ・リーグはなった。

 しかし、そんな激動の昨年を知ってか知らずか、所属する選手側はやりたい放題し放題である。一番僕が気になっているのは「岩隈問題」である。最終的には金銭トレードという形で決着を見たわけであるが、彼ほどわがままを通した選手はほかにいない。もちろん、選手側の言い分もわからないわけではない。急な合併、プロテクト枠の合理性、分配ドラフト・・・。どれもこれも、選手にとっては寝耳に水の話。残りたいといって放り出された選手もいる反面、彼のような「出たい」選手を出さなかった球団側も非があるといわざるを得ない。とはいえ、一般人の感覚から言わせてもらえば、半ば雇用関係にある(プロ選手なので、本当は球団と契約しているだけなのだが)選手がわがまま言っているように映ってしまうのである。しかも越年しようかというところまでこじれる始末。お互い大人気ない戦いをしたものだといわざるを得ない。

 「大人気ない」のは投手ばかりで恐縮だが、阪神・井川も「メジャー」ばかりに気をとられて契約更改を年が越してもしてこなかった。自費参加となったキャンプでも今年のタイガースでの活躍をナインに報告したというが、まだひと悶着ありそうな予感がする。仮に彼はメジャーに行っても(もうその目は今年に限ればないだろうが)、それほどの成績は残せないだろう。昨年のむらのある成績が物語っている。今年、タイガースで群を抜く成績を残さないことにはメジャー挑戦は難しいと彼に認識させるほうが先決だと思う。
 もう一人は巨人の上原である。こちらもメジャー入りを熱望している口だが、こちらのほうは、入団時に取り交わされた口約束をめぐって、裁判にまで発展しそうな勢いなのである。「そんな口約束があったとは」と驚くわけだが、彼ほどの逸材、手放したくないだろうし、適当に「ふんふん」言っておけばいいだろうという球団側の足元をすくいかねない事態に発展しそうな予感がする。体質が変わりつつある巨人軍を襲った、5年前の出来事。上原獲得の裏に何があったのか、知りたい反面、裁判沙汰にまでして、メジャーにいきたい=巨人を出たいのか、と思わざるを得ない。
 ネット公開しようとした矢先に、なんと、ドラフト1位指名選手が(これまた、投手なんですね・・・)、年齢違反を知りつつ遊技場に出入りし、喫煙していたことまでが報じられるに及んで、「こいつら、いったい何考えとるんや」といいたくなってしまう。

 2005年の野球は12球団で何とか体裁上は整った。しかし、スター選手が特定球団に固まって存在している状況は依然として解消されていない。16年前、ダイエーが、南海ホークスを買収し、球界に名乗りを上げたとき、ダイエーホークスは、12年かかってパ・リーグを制覇できた。総合力で勝ち得た優勝だったが、新設2球団は、どう考えてもでこぼこだらけである。この2球団が、パ・リーグ一、日本一になるには並大抵の努力ではすまないと思う。選手の不断の努力とそれを支えるファンの熱心な応援が必要と思う。それに水を差す、「スタンドプレー」はごめん被りたい。
コーナートップへ