第2回  激安なのだから、仕方ない、のか?
 耐震偽装問題がいまだに尾を引いているそのさなかに、またしても、建築業界に激震が走った。
 ホテルチェーンを形成する「東横イン」が、建築確認して、役所に許可をもらった施設を、役所が帰ってから不法に改造した、として、朝日新聞にすっぱ抜かれていたのだが、実はこの手の違法改造が、チェーンホテルのそこかしこで行われていたことが続々わかってきた。

 実は、耐震偽装のこともそうなのだが、すべて、施主の指示・命令がないと、作業員は動けない。その指示や命令が、「違法」とか「強度不足」であっても、図面どおりにしか動かない。それは、「図面こそがすべて」という業界内の不文律があるからだ。今回のことで、またしても建築業界の人たちが白い目で見られるのは、いかんともしがたい。逆にいうと、こんな指示を出した施主側は断罪されてしかるべきだろう。

 今回の違法行為の裏に見え隠れするのは、「不必要施設の転用」である。本来ならば、どのような客が来ても不自由なくすごせるようにするのが宿泊業の使命のように思えるのだが、この会社に限っていえば、「身障者お断り」もしくは「身障者が泊まると不具合を感じるよ」というような施設を作り続けていたことになる。
 それで利益を上げていたのだとすれば、経済設計の名の下に、耐震強度が少なくてもいいといっていた、設計士や、その激安図面を頭から信じた施主や建築業者と根の部分はまったく一緒だといえる。二重図面を用いて、行政まで欺いているところからしても、計画的であることは否めない。そうまでして、健常者と経営に優しく、身障者に不具合な建物を作ることに、何の抵抗も感じなかったのか、疑問だ。

 実は私の住んでいる地区のターミナル近くで東横インが、2/2に新規オープンする。新規オープン期間の、ネット経由での価格が税込み、3950円。この価格の上に、皮肉にも、「サンキュー、ゴメンネ」とかかれている。これは新規オープン価格としての統一価格なのだが、今回の不具合事象を、価格がお詫びしているようで、苦笑してしまった。今後のこの会社の対応にも注目すべきところだ。
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