第10回 もはや「歴史認識」だけですまない靖国参拝
 
 小泉首相は、終戦記念日に当たる8月15日に、公式参拝した。中曽根元首相がこの日に参拝して以来、21年ぶり。勿論、このことを目の敵にする韓国・中国は烈火のごとく怒っている。
 しかし、私は常日頃から、「首相が靖国に参拝することを、どうして諸外国にとやかく言われるのか」が疑問だった。国を護り、国家の命令の下、行きたくない戦争をしてなくなった人たちに対する哀悼の意を表することがなぜいけないのか?多くの日本人は、中韓がどうしてこのことを槍玉に挙げるのか、不思議に思っていることだろう。

 そして、参拝を終えた小泉首相は、首相としての最後の参拝を済ませた感想を聞かれて、このように述べている。(ソース:TBS/biglobe文字ニュース・全文抜粋)
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 「これは毎回、申し上げているんですが、日本は過去の戦争を踏まえ、反省しつつ、二度と戦争を起こしてはならない、そして今日の日本の平和と繁栄というのは、現在生きている人だけで成り立っているのではないと。戦争で尊い命を犠牲にされた、そういう方々の上に今の日本というのは今日にある。戦争に行って祖国のため、また家族のため、命を投げ出さなければならなかった犠牲者に対して、心からなる敬意と感謝の念を持って、靖国神社に参拝しております。今年もその気持ちに変わりはありません」
 「今までの過去5年間の私の靖国参拝に対する批判をよく考えてみますと、大方、3点に要約されるんじゃないかと思います。まず1つは中国・韓国が不愉快に思う、反発してるからやめろという意見。私は日中、日韓友好論者なんです。就任以来、現に中国や韓国との友好、交流、様々な分野で拡大を続けております」
 「そういう中で、どの国とも1つや2つ意見の違い、対立あります。それで1つの意見の違いがある。不愉快なことがあると。それによって首脳会談を行わないことがいいのかどうか、私はいつでも首脳会談を行う用意があると言ってるんですよ。しかも、靖国神社参拝を条件にしてね、この参拝をしなければ首脳会談を行う。するならば首脳会談を行わないというのは、果たしていいのかどうか。私はこれはよろしくないと思います」
 「日本の首相というのは民主的な手続きをもって選ばれた首相であります。日中、日韓の間には様々な課題もある。私は今までの日中首脳会談、日韓首脳会談によっても未来志向で友好をはかっていこうと、お互い相互互恵、相互依存関係、これを深めていこうと。中国の発展、韓国の発展というのは日本に脅威というよりもむしろ、日本にとってもチャンスなんだということをはっきり表明して、未来志向で友好・交流を進めていこうということを申し上げているんです」
 「それに対して私を批判する方、中国が嫌がっていることをやるなと。突き詰めていくと、中国・韓国が不快に思うことはやるなということでしょ。これについて批判する方はどう思うか。仮にもし私が1つの問題で私が不愉快に思う。中国・韓国は日本の安保理常任理事国入りに反対してます。これは日本にとって不愉快だと。だから私は中国・韓国と首脳会談を行わないと言ったら、どちらを批判するでしょう」
 「私は中国が反対しても韓国が反対しても、首脳会談をいつでも行いましょうと言ってるんですよ。今回もそうですね。私が拒否しているんじゃないんです。中国の嫌がる事はやめなさいというのが靖国参拝の批判のひとつです。中国に不快な思いをさせてはいけません。中国の言うことを聞きなさい。韓国の言うことを聞きなさい。そうすればアジア外交がうまくいきます。私は必ずしもそうじゃないと思いますね」
 「ひとつやふたつ、どの国も意見の違い、対立はあります。そういうものを乗り越えて未来志向で、友好関係を進展させていくのが、日本としても、他国としても大事じゃないでしょうか。中には小泉はアメリカと親しいと、アメリカのブッシュ大統領が参拝するなといえばしないだろうと。そんなことはありません。ブッシュ大統領が靖国参拝をするなと私に言ったとしても、私は行きます。もっともブッシュ大統領がそんな大人気ないことは言いませんけどね」
 「もう1つは、A級戦犯が合祀されているから行ってはいけないというのがある。これは、私は特定の人に対して参拝しているんじゃないんです。この戦争で苦しい思いをされ、できれば避けたかった、戦場に行きたくなかった、多くの兵士がいるんです。そういう方々の気持ちを持って、何という苦しい、つらい体験をせざるを得ない時代に生まれたんだろうか。そういう犠牲者に対して、心からやっぱり哀悼の念を表すべきだなと。これは日本の文化ではないでしょうか」
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 日本は、曲がりなりにも一独立国家である。韓国や中国の顔色を伺いながらあるいはこびへつらってまで、戦没者慰霊施設である靖国神社に参拝しないで置くことのほうが、日本という国家の、体外的評価を落とす、というのが小泉持論である。そして、私はこの意見に大賛成である。
 そもそも、よぉく考えてほしい。靖国参拝を是としていない「アジア諸国」はどの程度あるかということである。そう、中韓だけである。あれだけ戦渦を広げて、アジア各国にも相当の迷惑をかけているにもかかわらず、である。それはひとつには、日本が、当時占領していた欧米から開放してくれたこと、そして、サンフランシスコ講和条約発効によって、国際社会に復帰したときに免責されていること、アジア各国に巨額のODAなどの援助もしていることなどがあるからだと思う。
 とやかく言う国ばかりに耳を傾けてしまうというのでは国家の独立性が失われる。そして「そのことを言うことのほうがおかしいですよ」という説明をする場としての首脳会談があるのに、相手が不愉快に思うからといって参加しようとしないのは、どうなのか、と首相は、むしろ中韓にけんかを吹っかけるような意見を述べている。靖国をやめれば、首脳会談という、条件付の首脳会談なんか聞いたことが無い。そんな会談ならやらないほうがましだと私も思う。
 61年目だから、では無いが、今年に入って靖国をめぐるいろいろな情報が明らかにされている。かの昭和天皇が、A級戦犯を合祀したことに不愉快を表明され、以後参拝なさらなかったということは、果たして海外の、特に中韓のメディアには届いているのだろうか?そして分け隔てなく、慰霊に訪れる一国家の首相がいつまでも外国から批判されるのはどうしてなのだろうか?中韓の言っていることはどれほど正しいのだろうか?そして、それはただ、「歴史認識」だけが原因なのだろうか?
 国家としての自主独立を考える上での靖国神社の存在は、今後いろいろな意味でその役割を変えそうである。

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