第12回  民主大敗は本当か?
 7/11の深夜までずれ込んだが、22回参議院選挙の大勢がほぼ決まった。
 与党側は、44議席の確保にとどまり、野党の大躍進を許し、結果的に参議院では与野党の議席数が逆転。いわゆる『ねじれ』現象をまたもたらしたことになる。

 確かに議席の上では、民主44/自民51で、改選議席である民主54からは大きく落としたという感じに受け止められる。しかし、44議席の中身を探ると意外なことが浮かび上がる。
 そう。比例代表では、民主が第一党なのである。44議席の内訳は、地方選挙区47で28議席。そして、比例区で16議席獲得しているのである。一人区でもう少し善戦していれば、ここまでの議席減はなかったわけで、比例の得票数/議席を考えるとき、今までの迷走振りの民主党に喝を入れる、『民意が反映された』結果とは言い切れない状況である。(ちなみに自民は比例で12。選挙区では39議席を取ったことになり、その意味では対立軸がはっきりしていないまでも、地元では自民の先生にがんばってもらおう、と言う意思表示なのか・・・専門の先生に分析をお願いしたいところである)

 そして、議席数の上でも劣勢に立たされているというのに、総理は、意外なことにさばさばしている。追い詰められた表情がないのである。それは党の運営にも現れている。
 普通、野党的な議席しか奪えなければ責任論が浮上してくるものであるが、執行部の刷新には代表は消極的。選挙関連の役職も解任/罷免はないというのである。そして驚くことに、議員資格を失った、大臣にも『居残り』を指示したというのである(いわゆる民間出身大臣と言うことにするらしいが、これなど、前代未聞)。

 常識では考えられない党運営に内閣。選挙の結果などどうでも良かった、と言う意思表示ではないかとさえ思ってしまう(そりゃ参議院で過半を野党に握られてしまっているので、横暴な運営はできなくなるが、その程度。『民意は我が方にあり』と言う間違った誤解を、比例の得票数が後押ししそうな気配である)。44議席ははっきり言って中途半端であり、『勝ちも負けもしていない』議席数だと思う。参議院での過半数割れはある意味折込済み(表紙を変えたので何とかここまでで踏ん張ったと考えるのが妥当)なはずで、今後の民主党や政府がどのように参議院での民意を汲み取ろうとするのか…。連立する相手次第では、またぞろ糾弾していかないとも限らない。いずれにせよ、この議席数は決して『大敗』ではない、と言うことを改めて申し添えておきたい。
 
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