第10回  選挙に異を唱える人たちに共通すること

 2012年に解散総選挙が行われ(筆者注:実はこのときも、年末と言うより、予算案ぎりぎりといえる12/4公示、12/16投票だったのであるが、このことを忘れたかのように「年末に選挙するなんて」といっているやからが存在している。しかも、選挙一回にかかる費用は600億らしいのだが、このことを槍玉に挙げている頓珍漢な有権者も散見される)、めでたく、民主党政権は終焉を迎えた。
 本来であれば、与党・自民党が、「解散します!」となったときに、野党は、「おお、あえてこのタイミングでやるなんで、バカじゃねww。議席を取らせてくれるチャンス到来」となって、むしろ喜ばしいと思うのが普通だろう、と誰もが思う。
 ところがあろうことか、野党の中からも「解散しなくてもよかったんじゃないの」と言う声がそこここから聞こえてくるというではないか。

 実際、今の政府与党に対する信任度合いといえる支持率もそれほど下がっているとは言えず(と言うか、ここ最近、この手のニュースをあまり聞かなくなったのだが、気のせいだろうか)、与党が起死回生を狙っての一発逆転、と言うスタイルではなさそうである。
 そう考えると「アベノミクス信任選挙」の役割を持たせ、税率上げを遅らせることの信を問うという今回の解散に「大義」は十分に存在する(そもそも大義がない選挙なんてどこにもない。前回のミンスボロ負けも、結果的には消費税率上げを問う形になり(=上げないと3年前にした約束を反故にした罪はでかい)、大義は十分にあった)。

 では今回の選挙が気に入らないといっている人たちを列記してみると、意外な共通点が浮かび上がってくる。
 まずはマスコミ連。「大義がない」だの、「年末にやるのはおかしい」だの、完全に口をさしはさみすぎである。そして、野党の一部。意外に与党の中からも小泉進次郎議員の様に懐疑的に見ている人もいるのは驚きだったが、こう考える(よく政治が見えている)人がでてきてもおかしくない。
 政府打倒を旗印に上げているはずの左翼連も、表立っては大きな動きを見せていない。むしろこの機に一大攻勢をかけることでしか、自分たちの存在意義を発揮できないのに、静か過ぎる。まるで是認しているかのようである。
 
 前回の政権奪回選挙のときは、保守系も革新系も大忙しだった。特に奪う側に回る保守派の大攻勢は、本当に歴史に名を残したといってもいいだろう。3年3ヶ月の恨みつらみを吐き出したかのような選挙戦で、当時の野党でもあった自民の圧勝で幕を閉じた。
 しかし今回の選挙にそういった"熱"を感じていないのは、わたしだけではあるまい。与党サイドも野党側も、どこもかしこもそうである。今回の選挙をすることで、磐石の体制を引こうとしている安倍政権に抗うこともできなくなった野党側。意外に、某県の知事選の直後に選挙をするなんて思っていなかったプロ市民の裏をかいた行動に手も足もでなくなっているのが実際ではないかとも思う。

 結果はどうあれ、また選挙がある。一票を持っている立場としては、「この人」を見極められるのかが焦点である。

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