バトルロワイヤル


原作本もまだ読んでいる途中なのに、2日連続で見てしまった。まあ、日本映画にしては、とお決まりの言葉は外せないけど、真っ向から真剣に生きること、命、愛、ということをテーマにした誠実な映画だった。そう、誠実な映画って言葉がぴったりだね。日本の映画には、セックスやドラッグや狂気じみたのや、ヤクザが殺し合うヤツとかを映画的なカッコ良さとして売り出すものが多いよね。そんな中で、やっと出てきた純粋で誠実に描かれた映画だと思う。

なんで、これをめぐって、公開すべきかどうかなんて論争が起こるわけ?中学生が殺し合いを強要させられるっていう設定が残酷だから?映画の中で本当に殺し合って、その殺し方が残酷だから?それが子ども達に悪影響だとでも言うのかな?
何を言っているんだか。先に上げた日本映画の方がよっぽど悪影響なものばっかりじゃないの。
ドラッグやってるイカレポンチを主役にして、セックスもとんでもない描き方してるし、とにかく「ヨゴレ」を格好よく仕立て上げ様としすぎているでしょうが。
そんなのの方が、教育に悪いってば。

残酷性にしたって子供は皆持っているんだから、頭ごなしにただ否定したり隠したりしてるだけじゃ、サカキバラ事件始めいろいろ起こっちゃうの当たり前じゃない。
前に弟と「ターミネーター2」を見ている時に、主役の悪ガキがターミネーターが自分の言うことをなんでも聞くと分かって、チンピラを痛めつけちゃうシーンがあった。悪ガキは調子に乗ってるんだけど、ターミネーターはなんにも知らないもんだから、最後は銃でチンピラを殺そうとしちゃう。その時になって始めて悪ガキが自分がしていることを学ぶんだ。
それを見ていた弟が、「これが教育だよね」って言った。そうでしょう?分かります?「バトルロワイヤル」公開中止だ!なんて言っていたえらい人達、分かりますか?

さすが深作欣二監督、「里見八犬伝」で、ワクワクさせてくれただけのことはあるよ。ちゃんと映画としての娯楽の中で、観客に問題を投げかけてくるからね。しかも真正面からダイレクトに。
残酷な設定にしないと、こういうメッセージを伝えられないような、日本の社会の「平和」ってことに疑問を持たないとだめなんじゃないの?