こんなところで



一生懸命生きていると、いつのまにか自分を見失っていたことに気付く事がある。
信じていたものに裏切られた時、信じてきたことが間違いだった時、それは恋人だったり、親友だったり、宗教だったり、仕事だったり、いろいろだろうけど。
そんな時は、これから自分は何を信じて生きていけば良いのかさえ分からなくなる。でも、これが既に自分を失っていた証拠なんだね。
何が起こっても、自分というものをしっかりと持っていさえすれば、動じることはない。書いてしまえば簡単だけど、人間は感情をもって生きているから、なかなか簡単にはいかない。
没頭しやすい人間は、そうなりやすいのかも。いつのまにか、自分ではない、外に何かしらの答えを求めてしまうんだね、そういう時は。その対象に依存してしまう。
クールな見方をすれば、もともと、「絶対」なんてモノは存在しないし、「かけがえの無いもの」なんてモノも存在しない。ジョン・レノンが死んだって、ブルース・リーが死んだって、黒澤明が死んだって、時が過ぎていくだけで時代が変わったわけでも、社会が変わったわけでもない。
誰が死んだって、その人と関わった人が寂しいと感じたりはしても、文明の流れが変わるとか、世界が完全に平和になるとかそんな事はまずありえない。
だけど、というか、だからこそ、そんな絶望から出発して、自分自身が自分の中に尊いモノ、かけがえの無いものを見出していかなければならないはずだ。それが出来てこそ、人を思いやれる。
何度も自分を見失って、何度も取り戻したり発見しなおしたりして成長していく中で、だんだんと真理みたいなものに近づいていくのかな。
そうやって強く優しくなっていくんだね。きっと。