アトリエ・リング 一級建築士事務所

私たちは、さいたま市浦和区の設計事務所です。環境に向き合う住まいづくりを、お手伝いします。

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秩父散歩

旧鵜秩父駅舎、スケッチ

3月末に、一泊一日で秩父を訪ねました。上のスケッチは、旧秩父駅舎。埼玉新聞に連載中の、「埼玉の建築スケッチ」の取材という意味もあって描いたものです。その記事については、5月25日付けの「青山恭之のブログ」をご覧下さい。

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さて、今回宿泊したのは、「新木鉱泉」。奥武蔵から秩父への定番ハイキングコースに、「芦ヶ久保から丸山・金昌寺」というルートがあり、中学生のころに登ったのをきっかけに何度か歩いていて、里に下りた地点の金昌寺の近くにある新木鉱泉に一度立ち寄り湯をしたことがあるところです。一度入った温泉なのですが、今回は日程等様々な要因からここに絞られてきて、再訪となりました。

新木鉱泉のインテリア 二階吹き抜けまわり

前回は、フロントまわりと浴室棟しか記憶になかったのですが、170年前に建った本館の雰囲気が残る部屋があるというので、そこを指定。トイレや洗面は共同でしたが、それより、高い天井に走る松材の小屋組みが見事で、この宿の原点を感じることができました。その部屋に隣接する吹き抜けの写真(上)で、雰囲気を感じていただけると思います。いいものを伝えていながらそれに媚びていない、いい宿でした。


札所4番の金昌寺を訪ねると、その門前に、鋸屋根の工場が建っていました。秩父の名産の織物工場なのですが、それが広い敷地のお屋敷のなかにあり、そのお屋敷が、蔵をいくつも連ねたようなりっぱなもの。秩父のかつての経済力を見せ付けられたようでした。

鋸屋根の工場1

金昌寺から、札所3番の常泉寺へと歩きましたが、その途中でも、鋸屋根の工場を発見。ここは、洋館のようなつくりの母屋(あるいは事務所も兼ねる?)が隣接し、道に面してはりっぱな門構えが・・・。

鋸屋根の工場2

常泉寺からは山道を登り、丘の上に広がる墓地に併設された公園に、先の「旧秩父駅舎」が建っています。この建物の前面に、旧大宮学校の建物が、「秩父市立民族博物館」として建っていたのですが、こちらのほうは跡形も無くなっていました。

丘を降りて、秩父の街を歩きます。また、鋸屋根に出会いました。ここは、工場で働く人々の宿舎を兼ねている建物が、セットになっているようにも見受けられました。

鋸屋根の工場3

さらに秩父神社に詣で、街を散策しました。登録文化財の建物が集中した街角は、まるで昭和の雰囲気。埼玉県の中でも独自の文化が息づく秩父で、落ち着いた建物や風景に出会うことができました。最後は、市街から望んだ武甲山の写真ででしめましょう。(スケッチ・写真・文;青山恭之)

武甲山を望む