May.12,2001 『時をかける少女』って読んでないんですが・・・
先日、江藤茂博さんという方で知り合った。そして、その方が書いたという『「時をかける少女」たち』(彩流社)という本をいただいた。パラパラと眺めてみて、これがあの筒井康隆のジュブナイル小説から派生した数々の、テレビドラマ、映画を一堂に集めて論じた本だと知って、驚きを覚えた。
正直に言うと、私はこの筒井康隆の原作小説を読んでいない。しかもだ、なんとよん考えたらば、テレビドラマ化されたもの、映画化されたものも、どれひとつとして見ていないのだ。そして、何より驚いたのはその数の多さ。ひとつの原作から、こんなにリメイクがされていたのを私は迂闊にも知らなかった。
まず筒井康隆による原作が、1965年『中三コース』11月号〜1966『高一コース』5月号まで連載され、まとまったものが1967年に単行本として出版される。
1972年、NHKが『NHK少年ドラマシリーズ』の第1作目として『タイム・トラベラー』のタイトルで連続ドラマ化。主演が島田淳子。
同年、好評につき『続・タイム・トラベラー』を放送。これは、前作の脚本家石川透によるオリジナル。
さらに、石川透による『続・タイム・トラベラー』の小説化『続・時をかける少女』が出版される。これは、江藤氏によるとドラマ版の続編とは微妙に違うのだそうである。
1983年角川映画で映画化。主演は原田知世。監督が大林宣彦。
1985年フジテレビが『月曜ドラマランド』で単発ものとしてドラマ化。主演が南野陽子。
1994年同じくフジテレビが連続ドラマとして放映。主演が内田有紀。脚本が、あの『踊る大捜査線』の君塚良一。
1997年角川春樹が監督した再映画化。主演が中本奈奈。
江藤さんには済まないのだが、私はてこれらをまったく見たり読んだりしていない。いやー、まったく興味がなかったのだよ。NHKのドラマは放映されたのを同時代として知っていたのだが、見たいとは思わなかった。原作が発売された当時はすで中学生で、いっぱしの読書家を気取ってた私は、ジュブナイルなんて頭からバカにして読まなかった。大林宣彦の映画は見ていそうなものだが、1983年ともなると、1981年薬師丸ひろ子主演の『セーラー服と機関銃』あたりから始まった角川映画のアイドル路線にウンザリしていたこともあって見なかった。
江藤さんの本は、これらの多くの『時をかける少女』を使って、さまざまな角度から掘り下げている。なにしろモトになるものをまったく知らないので、江藤さんの解説によって初めて、この物語の骨格だけは分ってきたのだが、いかんせん、読むのに苦労したことを正直に打ち明けておきましょう。それにしても、後半の『構造論』はキツかった。ここで私はギブアップ。
「何で『時をかける少女』なんですか?」という私の質問に、「タイムトラベルという時間軸のテーマって面白いでしょ」と答えてくれた江藤さんの笑顔が思い出される。う〜ん、聞けば江藤さんは映画にかなりお詳しいようで、今度は数々のタイムトラベルものの映画を素材にして本を書いて欲しいなあと思った次第。『バック・ツー・ザ・フューチャー』論を中心にしてさ、『リバース』なんていう珍品もあることだし・・・。