February.13,2002 ようやく一冊になった三谷のエッセイ
ウチは朝日新聞をとっていないので、三谷幸喜が毎週連載している『三谷幸喜のありふれた生活』を読めなく残念に思っていた。連載が始まったのがもう二年近く前なのだが一回の量が少ないらしく、なかなか単行本化しない。今年に入ってようやく一冊にまとまって出版され、これには狂喜してしまった。まだ連載は続いているようだが、とりあえず今回出たのは2000年から2001年10月までの分。作品を発表していた時期とシンクロすると、舞台『オケピ!』の稽古が始まったところから、テレビドラマ『合言葉は勇気』、舞台『竜馬の妻とその夫と愛人』、映画『みんなのいえ』、舞台『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』まで。この裏側と、私生活のことが書かれている。
三谷幸喜という人は、[出たがり]の人だと思いこんでいたのだが、これを読んでいると案外そうでもないのかもしれない。私は『オケピ!』の千秋楽をわざわざ大阪まで行って見たのだが、カーテン・コールで三谷幸喜が奇をてらって客席から出てきたものだとばかり思っていた。しかも目立つデコレーション・ケーキ型の帽子を被って。それがこのエッセイを読むと、ちょっとニュアンスが変わってくる。案外照れ屋らしい。まあ本当のところはわからないけれど。
作品につてい書かれているのは圧倒的に『みんなのいえ』に関することが多い。映画監督という、まだ2回目の経験で、いろいろと書きたいことが次々と出てきたのだろう。どうも私はこの『みんなのいえ』を好きになれないのだが、こういう裏話を読んでいると、もう一度見てみたくなってきた。DVDでも買おうかなあ。
私生活の話では、飼い猫と飼い犬の話が圧倒的に多い。猫というのは初対面の相手になかなか心を開かないのが普通。小林聡美と結婚して、小林が飼っていた2匹の猫との生活を始めたものの、なかなか三谷にはなつかない。それがある日、小林が外泊した翌朝、三谷の隣で2匹の猫が丸まって寝ているのを発見したときのうれしさを書いているが、この気持ち、わかるなあ。