東野圭吾『麒麟の翼』

加賀恭一郎シリーズ、日本橋署編
『新参者』に続く第二弾。

例によって私の住む場所の近辺がたくさん出てくる。
今回の事件のカギになる紙問屋も
指摘された場所に実際にあるし、
その近くのそば屋で食事をする場面なんかもあり、
「ああ、あの店か」
なんて頭の中ではっきりと具体的な情景が浮かぶのがうれしい。

その一方、「ええーっ、その道にコンビニは無いよ」
なんて突っ込んでみたくなったりしましたが、
普通、そんな突っ込みを入れながら読む人はいないって。

それで、どうも気になるのが
被害者がナイフで刺された現場の地下道ってやつ。
江戸橋の地下道を知っている人は
「ああ、あれね」って、たちどころに思い浮かべられるのだけど
知らない人は戸惑うだろうなって思う。

昭和通りに架かっている江戸橋を歩道を使って自転車で通ろうとする場合
知っている人はほとんど東側の通りを利用する。
それは西側に立て札も立っているようにいるように
自転車は東側を通るように指示があるからだ。
私は江戸橋東側にある日本橋郵便局をよく利用するから
東側の歩道は通ることが多いが、
西側は滅多なことでは通らない。
でも、あの地下道はもちろん知っている。




これが江戸橋西側を歩いた先にある下り階段。
この階段を下りると




こーんな短い地下道があるんです。
ここで被害者は刺されたわけだ。




反対側から見るとこんな感じ。
確かに夜は人通りの少ないところです。
もっとも昼間もあまり人通りは少ない。
確かに自転車は通りにくいし
車椅子はまず無理。




反対側を上って振り返った画像。
つまりですね、首都高の入口を迂回するために作られた地下道なわけです。

映画化するそうで、このあたりの映像をどうするか気になるところ。
設定は夜だけれど
いずれにしても、わかりにくいことはわかりにくいでしょ。
現地を知っている人間にはどーってことないけど。

そこから被害者は日本橋まで負傷を負いながら歩くわけだけれど
途中にシリーズの加賀恭太郎役の阿部寛をイメージメキャラクターにした
三菱東京UFJ銀行があるのが御愛嬌。



テレビシリーズで銀行が関連するエピソードがあって
その銀行のある場所が小伝馬町の三井住友銀行。
しっかり画面に映っていました。
そのまん前には三菱東京UFJの大伝馬町支店があって、
私のメインバンクは実は三菱東京UFJなんですが、
担当の女子行員が怒ってました。
「うちは阿部寛をCMに使っているのに、
なんで向かいの銀行を使うんですかねえ!」
ふはははは。
今度はしっかり映してあげてね。

そうそう、『麒麟の翼』を読んでいると
加賀恭一郎は以前と違ってと阿部寛の顔が思い浮かぶようになってしまった。

このあと被害者は重傷である身体で歩きながら
日本橋の南にある公番を無視して
日本橋の麒麟の像の前まで行って、こと切れるわけですが、
これが最初の重要な謎のひとつ。

それが最後にそのわけがわかるのだけれど、
そーなの?

うーん、いまひとつ納得がいかないんだよねー。
瀕死の重傷を負いながら
公番に助けを求めないで
そんな理由で麒麟の像の前に行くかなあ。

もっとも、そうでなけりゃ劇的な真相にはならないのだけど。







2011年6月22日記


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