『ミステリマガジン』2009年10月号 ジェフリー・ディーバー、四つの短編を読む 秋になると、「ああ今年もそろそろジェフリー・ディーバーの新作が本屋さんに平積みされるころだなあと、ウキウキした気分になってくる。ひょっとすると今年は第二短編集も出版されるかもしれないので、楽しみも倍増なのだが、そんな中、『ミステリマガジン』がジェフリー・ディーバー特集を組んでいた。 『ミステリマガジン』なんて買うのは何年ぶりだろう。中学生のころから10年くらいは毎月買っていて、隅から隅まで読んていたものだが、そのうちに、たまに面白そうなときだけ買う程度になって、やがてほとんど買うことはなくなっていた。それがジェフリー・ディバーの短編が4本入っているという理由だけで、いそいそと買ってしまうんだから、やっぱり中毒なんだろうなあ。 『戦慄』 女性の恐怖を描いた作品だが、ラストが面白い。結末は読者によって選択できるようになっていて、どの結末を選ぶかは読者の想像力次第。それぞれの結末の余韻を感じてみて、うふふという気分になった。 『トリック・オア・トリート』 題名どおりハロウィーンもの。このラストは、いわば落語のサゲの世界。おもわず拍手してしまった。 『尋問』 警察に捕まった殺人犯と、捕まえた刑事の会話で進行する物語。刑事は犯人の殺人動機がわからずに取り調べにかかる。このラストも衝撃的。ははあ、なるほど、そういうことかという驚きの幕切れだ。これ、ふたり芝居で誰か演らないかなあ。 『熱帯夜』 クルマが故障して、助けを求めに入った一軒家はなにか様子がおかしい。やがて、この近辺に刑務所からの脱獄犯が潜伏しているらしいということがわかってくる。この短編も話があれよあれよと思いもよらなかった方向に向かっていく。読者の想像を見事に裏切る力技! ジェフリー・ディーバーの短編にはハズレがない。 2009年9月26日記 このコーナーの表紙に戻る |