真鍮の評決 Brass Verdict (上・下) マイケル・コナリー 講談社文庫 リンカーン弁護士ミッキー・ハラー・シリーズ2作目。 タイトルの意味するところがわかるのは、あと10ページほどで物語が終わるというところに来た時。はあ、そういう意味だったんだぁ。そしてこれは前作のラストにも繋がってくる。もう、「うわー」という感じ。 前作は読んでない状態で、この2作目から入ってしまった。それでも、映画化されたものは見ているから、ラストでミッキー・ハラーに何が起こったのかはわかっていた。なるほど、これは重いものを孕んでいる。それが、コナリーの以前からシリーズ、ハリー・ボッシュとの会話で語られるというところがまた憎い展開だ。 とはいえ、小説として悪くはないのだけど、なんかあっけないないんだなぁ。1作目とちょっと似たところがあって・・・それはネタをバラすことになるから書けないのだけど、なんかね、肩透かしなのだ。法廷ものだから、検察側と弁護側が丁々発止という展開なのに、こういう風に終わってしまうとはね。まあ、それが法廷ものとしては目新しいのかもしれないけれど。 私が好きなのは下巻の第3部。アメリカの陪審員制度での陪審員選びというのがあんな形で行われているとは知らなかった。弁護側と検察側が、好ましくないと思われる陪審員を排除しようとする駆け引きが面白い。陪審員コンサルタントという存在も面白いし。 それにしても陪審員制度というものの落とし穴が、やはりここにはある。物事には必ず良し悪しがあるものだ。 2013年3月13日記 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |