東野圭吾『新参者』 地下鉄の駅のポスターが目についた。人形町の風景が映っている。「なんの広告だろう」と近寄ってみると、東野圭吾『新参者』の文字。ええーっ、これって本の広告なんだ。人形町が舞台らしい。これは何としても読まなくては。 もっとも東野圭吾は人形町界隈を小説の舞台としてこれまでも数多く使ってきている。きっと土地勘がある人なんだろうなとは思っていた。それが今回は人形町の街自体が大きくかかわってきている。 甘酒横町の煎餅屋、老舗の料亭、人形町通りの瀬戸物屋など、書かれている商店の多くはモデルがあり、実在する。しかし中に住んでする人はもちろん違う。だって料亭の主人が浮気していたり、瀬戸物屋の嫁姑が関係が悪化しているなんて、まずいでしょ。もちろん架空の商店も出てくる。そのへんの匙加減が絶妙だ。 季節は夏。主人公の加賀刑事がTシャツの上に半袖シャツ姿で歩きまわっているワケも、最後になってわかったり、さりげない伏線の貼りかたも楽しい。 私の取引先の銀行では、全職員に『新参者』を読めと命令があったという情報もあった。人形町商店街の旦那衆にも評判で、早くもテレビドラマ化しないかなあという声も聞こえてきた。『流星の絆』のときのようにクドカン脚本ならきっと面白くなるに違いない。9章に分かれているから9回完結でちょうどいいし。そうなったら人形町商店街全面協力でロケに協力だろうなあ。 2009年11月24日記 このコーナーの表紙に戻る |