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2002 USA 120 Min. 劇映画
出演者
Sandra Bullock
(Cassie Mayweather - 刑事)
Ben Chaplin
(Sam Kennedy - 刑事)
Ryan Gosling
(Richard Haywood - 容疑者)
Michael Pitt
(Justin Pendleton - 容疑者)
Agnes Bruckner
(Lisa - 2人の容疑者の同級生)
Chris Penn
(Ray - 密売人)
見た時期:2002年6月
推理物ですが、容疑者は前半に名指しで出ます。問題はどうやって逮捕に持ち込むかという点。そこはこの記事でも明かしていません。見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。
サンドラ・ブロックという人はドイツ系で、ドイツ語が話せるので、ドイツでは人気が高いです。アメリカではオスカーを取ったジュリア・ロバーツと同程度に扱われているので不思議に思ったのですが、毎年連続で「国中で1番気に入られた女性」のランク1位なのだそうです。服装の趣味、陽気さ、人生を謳歌している様子などを総合して私はジュリア・ロバーツをひいきにしていました。
一方のサンドラ・ブロックはキアヌ・リーヴスと共演したスピードが気に入っており、それ以外は全部だめと思っていました。実際本人も不本意な作品に出るように強いられた時期があったらしく、不幸そうな顔をしていることがありました。いつだかマネージャー、相談役などをがらっと入れ換えたんだそうで、それ以来本人は満足しながら仕事をしているというインタビューがありました。それにしては出る作品はみな大味で。コメディーに出演するのはいいのですが、私の目にはみっともないと映るものもありました。ブロックについては井上さんと似たような考えを持っていました。ま、好みの問題で、ファンの方には申し訳ないです。
今回の完全犯罪クラブ、ドイツ語のタイトルでは Mord nach Plan (計画通りの殺人)、の彼女はとっても暗−−−−いです。それがストーリーとマッチしています。
ブロック演じるキャシーはかつて事件の被害者だったことがあり、現在もその思い出を振り切ることができずに生きています。不幸を踏み台にして刑事という職業を選び、ある程度キャリアを積んでいます。同僚サムと2人に割り当てられたのは女性殺人事件。とりあえず現場の調査から始めます。サムはまだ若いですがまじめで、用心深く調べます。キャシーはコンビを組むにはちょっと気難しい女性でサムにとっては簡単な仕事ではありません。
間もなく容疑者として2人の高校生があがって来ます。その他にもう1人怪しそうな男も登場します。目の付け所は良かったのですが、キャシーの仕事ぶりが主観的になって来るので、上司から「待った」がかかります。上司の言葉「刑事は被害者でなく、犯人と同じアイデンティティーを持ったつもりで仕事にかからないとだめだ。君は今被害者の気持ちになって仕事をしている」。
なるほどね、そういうものなんですか。この言葉を聞いてレッド・ドラゴンのウィル・グレアムの悩みが理解できました。善人のウィルが残酷な犯人になり切ってプロファイリングしなければ行けないので、自分の精神状態を正常に保つのに苦労していました。これでまたなぜハンニバル・レクターがプロファイラーとして職業的適性を持っているかも理解できました。
容疑者というのが一筋縄では行きません。高校生だからと侮るととんでもない目に遭います。最近は知能の発達した若者が増えています。日本でもいくつか例がありますし、日本の有名な女流作家が長編を発表したりしています。この2人の高校生、リチャードが積極的に行動し、ジャスティンはどちらかというと頭を使う方です。悪く言えば共依存していますがお互いを補い合っています。2人の顔の合成画像シーンはぞっとします。
頭が良過ぎる人を相手に、まじめだけが取り柄の、悩みを抱えた、特にエリートでもない刑事が取り組むのは楽ではありません。ここからはあまり詳しく書きませんが、最後の数分をちゃんと見ないとはっきりしない部分があるので、あまり早く席を立たないようにして下さい。
暗い話なのでアメリカではヒットしなかったようです。ドイツではこれまでのドイツ系の人をひいきするだけの批評と違い、今回は本当に内容を誉めた記事が出ています。私もこれまで見たものの中では陽性のスピードと陰性の完全犯罪クラブを彼女の代表作として挙げたいです。
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