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2001 Spanien 108 Min. 劇映画
出演者
Max von Sydow
(Samuel - 運のいい男)
Eusebio Poncela
(Federico - 運が良かった男)
Leonardo Sbaraglia
(Tomás - 運のいい男)
Mónica López (Sara)
Antonio Dechent (Alejandro)
Guillermo Toledo (Horacio)
Pedro Beitia (Inspector)
見た時期:2002年8月、ファンタ
見始めて暫くはアホらしいと思っていました。私は賭け事はしない方で、一瞬の遊びに家財一切を賭けてしまう人が理解できません。この作品は全編そういう賭け事だらけです。
見終わって1週間ぐらい、ファンタの疲れも取れて来た頃から、いや、待てよ、と考え直したところです。これは賭け事の話ではなかったと気付いたのはそのまたちょっと後。私の頭はどうも蛍光灯のようです。
マックス・フォン・シドウ演ずるところのサムは人里離れた所でカジノを経営しています。表向きはラス・ベガスのような場所で、ルーレット、ブラックジャック、スロットマシンなどに興じている人が見えます。建物の奥深く、秘密の場所では全く別な賭け事が行われています。賭ける物は現金でなくてもかまいません。家、競馬の馬など、価値が一定の金額に達していれば OK です。
作品に登場する賭け方は非常に独創的で、見ていると笑ってしまうような方法が使われます。例えば真っ暗な部屋に人を座らせ、その人の髪に蜜を塗りつけておきます。そこに昆虫を1匹放ち誰の頭にその虫がとまるかで勝敗が決まります。あるいは森の中で数人の参加者に目隠しをし、後ろ手に縛ってよーいドンで走らせます。目が見えないし、手は後ろなので、一目散に走ると木に正面衝突。それで倒れると失格です。そうやって倒れず1番乗りした人が勝ち。こういうシーンを見てしまったので、アホな男たちが何をやっている、と悪い印象を持ってしまいました。今にして思うと参加者には確か女も混ざっていましたね。
究極の賭けは、カジノの持ち主サム対訪問者。ロシア・ルーレットをやります。弾はリボルバーに5発。死ぬ確率は6分の5。ですからカジノの用心棒はあらかじめ床にビニールシートを敷いて準備します。ブラック・ユーモアなのかも知れませんが、笑う気になれません。ところでこのカジノの持ち主には秘密が・・・。
サムと彼に可愛がられていたフェデリコは映画の冒頭袂を分かちます。それまでのフェデリコの仕事というのが変わっていて、カジノで儲けている客の運を取り上げてしまうというものです。フェデリコはこの仕事から足を洗う時、小指を切られたり殺されたりする代わりに、客の運を取り上げる才能を取り上げられます。
巻き返しを図るフェデリコはトマスという男をリクルートします。トマスは飛行機が墜落した時1人だけ生き残った乗客。トマスの強運を利用してフェデリコは儲け話をいくつか成功させます。フェデリコはいわばトマスのマネージャー。
ここでサムの秘密が意味を持ち始めます。サムはユダヤ人で強制収容所に入れられていました。そこでは次に殺される人が無作為に決められて、毎日誰かがいなくなります。最初は大勢いた場所も最後はサムと友達の2人だけになります。そして結局1人だけ生存し、救出されたのはサムでした。その後のサムの人生はつきっぱなしだったようで、現在では成功したカジノの持ち主です。そうして、いんちき無しのロシア・ルーレットでも生き残り続けています。ディア・ハンターのクリストファー・ウォーケンを思い出します。
ここまでばらしてもまだ状況説明程度です。この他に非合法な賭けを企画するフェデリコとサムを追う刑事がおり、フェデリコとトーマスにもまだ重要なエピソードがあり、サムの人生の目的は何かなど、いろいろネタが詰まっています。賭けだ→嫌いだと短絡に思ってしまいましたが、実は異常に運がついている人の物語だったんです。脚本がちょっと欲張り過ぎて焦点がボケています。でもユニークなテーマだというところを強調しておきます。
参考作品: 焦点を1つに絞った作品 ザ・クーラー
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