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アリ / Ali

Michale Mann

2001 USA 156 Min. 劇映画

出演者

Maestro Harrell
(Cassius Clay - 若い頃)
Will Smith
(Cassius Clay/Cassius X/Muhammad Ali)

Jada Pinkett Smith
(Sonji - スミスの、失礼、アリの妻)

Nona M. Gaye
(Belinda Ali)

Giancarlo Esposito
(Cassius Clay, Sr.)

David Haines
(Rudy Clay/Rahaman Ali)

Jamie Foxx
(Drew Brown)

Jon Voight
(Howard Cosell - ジャーナリスト)

Mario Van Peebles
(一家でマルコムXになり切っています)

Morgana Van Peebles
(Malcolm Xの娘)

Maya Van Peebles
(Malcolm Xの娘)

Ron Silver
(Angelo Dundee)

Jeffrey Wright
(Howard Bingham)

Mykelti Williamson
(Don King)

Michael Michele (Veronica)

Joe Morton (Chauncey Eskridge)

LeVar Burton
(Martin Luther King, Jr.)

Albert Hall
(Elijah Muhammad)

Paul Rodriguez
(Dr. Ferdie Pacheco)

Barry Shabaka Henley
(Herbert Muhammad)

David Elliott
(シェイクの Sam Cooke)

Carol Hatchett
(Pointer Sister)

Judith Mwale
(Pointer Sister)

Keabetswe Motsilanyane
(Pointer Sister)

Malick Bowens
(Joseph Mobutu)

James Toney
(Joe Frazier)

Charles Shufford
(George Foreman)

見た時期:2002年8月

ストーリーの説明あり

恐ろしい数の人が出演しています。ムハメッド・アリの無名時代からアフリカでの歴史的対戦までを詳しく描いているので、これぐらいたくさん人が必要だったのでしょう。あまり人数が多いので目立ちませんが、あのブルース・ブラザーズ 2000 の歌う警官ジョー・モートンも出演しています。

この作品に関してはいろいろ批判もありますし、スミスはオスカーを取りそこないましたが、私はなかなか出来がいいと思いました。恐ろしい数の人が出演しただけでなく、恐ろしく長いのですが、バランス良くアリの人生を描写して、ドキュメンタリーにちょっと肉付けしたような感じに出来上がっています。ウィル・スミスが出たからドキュメンタリーではなく、俳優が演じているからという色眼鏡で見るとメリハリが無くて失望する人が出るのかも知れません。淡々とアリの歩いて来た道を追い、スミスが淡々とその道を歩むので、これと言った大きなドラマが無く、盛り上がりに欠けると感じた人がいたのかも知れません。

アリの人生には劇的な出来事が多く、映画がそのたびにクライマックス、墜落を繰り返していたのでは、観客はゆっくり彼の人生を理解することができないので、監督は静かな演出を選んだのでしょう。そうです、アリという人を全然知らない人が伝記を読む代わりにこの映画を見れば、この人についてざっと分かるようにできています。あの時代を同時に生きた人ですと無論徴兵忌避、ボクサーの資格剥奪など、この映画の何倍も劇的な出来事が記憶に残っていますが、あまり鐘や太鼓で大騒ぎの演出をすると、人は遠ざかってしまうかも知れません。この映画は「アリってどんな奴だ」と聞かれた時に、「あの映画を見ろ」と答えるのに便利にできています。

アリが生きた時代はまだおおっぴらに兵役を忌避したり、戦争に反対できる時代ではありませんでした。イスラム教というのもアメリカではまだ現在ほど良く知られておらず、アリがなぜクレイという名前を捨てたのかを理解できる人はいませんでした。ボクシングは胡散臭い人が周囲をうろつき大きな金が動く商売で、ボクサーを自分の考えを持った1人の人間と見る時代でもありませんでした。そして裏で試合を仕切るのは白人だけという時代でもありました。アリはそういう波の方向を変えるきっかけになった人でもあります。

人物アリとその時代を全部ひっくるめて描いたためこのような長い作品になってしまったのでしょう。私はウィル・スミスが好きですが、1つの映画が好きというのではなく、彼の生き方全体が好きです。おもしろい曲を作ってヒットさせたと思ったら、コメディーに登場。そこでテーマ音楽も書いて両方ともヒット。と、思ったらシリアス・ドラマに登場。くそまじめにトレーニングに励んでボクシングを学んだら、貰えはしなかったけれどオスカーにノミネート。じゃあこれからマジの俳優になるのかと思ったら、そうではありません。前の仲間と一緒に MIB の続編を作ってしまいます。コメディーのこつがつかめないトミー・リー・ジョーンズが「ウィル・スミスから学んだ」と言っているのに、スミスの方は、続編撮影の時、ジョーンズがスタジオにいないとしょんぼりして、ようやくスケジュールの調整がついてジョーンズが来たら、とたんに張り切ってしまうというおもしろい人です。

ちなみに自分が世界一強い、世界一美しい、世界一のボクサーだと信じて、滅多に他の人を誉めないアリが「この映画はなかなかいい出来だ」とコメントしています。流れる音楽はもちろんソウル。あまり楽しいソウルをぎんぎらぎんに流してアリの世代の観客が気を散らすと行けないと配慮してか、それとなく後ろで流しています。それでも一応サム・クック、ポインター・シスターズなどは登場します。

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