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2002 USA 101 Min. 劇映画
出演者
Sandra Bullock
(Lucy Kelson - ハーバード出身の有能弁護士)
Robert Klein
(Larry Kelson - ルーシーの父親)
Dana Ivey
(Ruth Kelson - ルーシーの母親)
Hugh Grant
(George Wade - 大金持ちの企業家、弟、ルーシーの雇い主)
David Haig
(Howard Wade - 大金持ちの企業家、兄)
Charlotte Maier
(Helen Wade - ルーシーの後任)
Donald Trump (本人)
見た時期:2003年2月
こういうのがサンドラ・ブロックの典型的な作品に当たるんでしょうが、前の記事に書いたように彼女の良さがこれで生きているとは言い難い仕上がりです。
★ ストーリー
時代錯誤も甚だしい姿のルーシーことブロックが登場。花柄の長いスカート、布製のショルダーバッグ、サンバラ髪で、70年代、80年代の自然保護団体の活動家かヒッピーのような姿です。時代はしかし現代。彼女はかつてハーバード大学でも有名な法学部の学生、現在は弁護士になり、地域社会の活動家として積極的に動いています。安アパートに住んで、成功とは程遠い生活をしていますが、両親との信頼関係の中でそれなりに幸せに暮らしています。現在は取り壊しが予定されている建物を守るために身を張って工事を阻止しようと画策中。
取り壊し計画を立てているのがウェイドという会社のウェイド兄弟。大金持ち。彼女は弟の所へ抗議に行ったのですが、ちょうど法律顧問を探していたジョージ(弟)の目にとまり、強引に雇われてしまいます。インテリで思想的にウェイドの反対側に位置する両親は彼女の就職に反対しますが、内部からウェイドを変えることができるかもしれないといういう甘い希望を持ってルーシーはこの仕事に挑戦してみます。
ロマンチック・コメディーなのでその辺は甘くていいわけです。物凄い格好だったルーシーは一瞬にしてイメージ・チェンジ。スーツに身を固め、しかし大きな野暮ったい鞄を抱えて出勤。学歴は伊達ではありません。次々に問題を片付け、才能の片鱗を見せます。というわけで雇用関係は成立。
ジョージはこれまで女性の秘書、顧問などはベッドに連れ込むためのものと思い込んでいる女たらしで、ルーシーも獲物のはずだったのですが、どうも今回は調子が狂ったようです。彼女と寝る代わりに、夜中の3時でもかまわず携帯で起こし「ちょっと話がしたい」、あるいは重要な仕事の最中に「どっちのネクタイが似合うと思う?」などと彼女に頼り始めます。ジョージだけでなく、社内のスタッフからも全面的な信頼を得た彼女は忙しくてそんな事に構っていたくありませんが、ジョージはしつこい。彼女はついに頭に来て辞表。
似たような経験をした事があるので、こういうシーンを見ると納得してしまいます。ブロックの映画は時々そういう風に見ている人を納得させるシーンがあります。それがアメリカでの人気の秘密なのかも知れません。日常に時々起こる出来事を上手に取り入れています。
さて、それまで乳母の役目を断わったりしても結局そういう仕事を押しつけられていたルーシーは、やっと首にしてもらえてせいせい。後任を探し、仕事を引き継ぐだけでいいわけで、残り時間2週間。
ところがそのあたりからルーシー側でもジョージ側でも何となく物足りなくなり、実は2人はお互いに愛し合っていた事を発見・・・などというハッピーエンドの物語です。
★ な、な、な、無い!
予告編でいつも見せられていたシーンが登場せず、映画館に張ってある写真のシーンも無いという不思議な事に気付きました。ジョギングをしながら女友達とルーシーが、ジョージに恋をしているのではないかと話すシーンがありませんでした。
ヒュー・グラントは今回もいつもの通り無難にこなしていますが、はまり役とは言い難いです。さすがはプロでボロは出していませんが、今一つ本人が乗っていない感じです。ブリジット・ジョーンズの日記の役は本人は気に入っていないというコメントを出していますが、スクリーンでは上手くはまっていました。アボウト・ア・ボーイも共演の子役と喧嘩に近いようなインタビューがありましたが、スクリーン上ではぴったり息が合っています。ところが皮肉なことにブロックとのロマンス説まで出たトゥー・ウィークス・ノーティスではどことなく温度が下がっているような印象です。結局噂は PR ギャグだったんでしょうか。
二、三良い点も。ルーシーと両親の関係が横っちょの方で目立たないように表現されています。両親とじっくり話し合い、意見が違う時はどうするか、一緒にお茶を飲んで考える、といった具合。意見の違う親子でも仲良く話し合えるという見本を示しています。彼女の住んでいる安アパートはドイツのアパートのスタイルに近いです。アメリカにああいう家があるのかなあと考えてしまいます。しかし私たちはドイツでああいう家に親しんでいるので、見ていてうれしいです。
ルーシーの反対運動はヒステリックであまり効果的とは言えませんが、落胆して家に帰って来るシーンなどは現実的でいいです。ウェイドの家、会社、社交などがハイソサエティーで一般の生活からかなりかけ離れているのですが、それとルーシーの地味な生活の差が良く出ています。
と、一生懸命誉めてみましたが、やはり全体のバランスから言うとそれほどブロックの良さが生きた作品とは言い難いです。
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