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2004 136 Min. 劇映画
出演者
Uma Thurman
(Beatrix Kiddo、花嫁、別名Black Mamba - 引退した殺し屋)
David Carradine
(Bill、別名 Snake Charmer - 殺し屋集団のボス)
Michael Madsen
(Budd、別名 Sidewinder、ビルの弟 - 殺し屋、ストリップ・バーの用心棒)
Daryl Hannah
(Elle Driver、別名 California Mountain Snake - 殺し屋)
Michael Parks
(Esteban Vihaio - 売春宿のおやじ)
Perla Haney-Jardine
(B.B. - ビルとブラック・マンバの娘)
Christopher Allen Nelson
(Tommy Plympton - ベアトリックスの花婿)
Bo Svenson
(Harmony - 結婚式を司る牧師)
Jeannie Epper
(Harmony - 牧師の母)
Samuel L. Jackson
(Rufus - 結婚式の音楽屋)
Chia Hui Liu
(Pai Mei - ビル、ブラック・マンバ、エレ・ドライバーの師匠)
見た時期:2004年4月
いや、もう、これは喜んでしまった。私のキル・ビル環境は何人かの皆様のご協力と、ご好意でベルリンの中では非常に恵まれたものとなりました。
前作キル・ビルに比べるとややアクション系の緊張が減ったような印象ですが、コンセプトがはっきりしていて好感の持てる作りです。緊張の度合いが減ったのは、前の作品でアドレナリンが大騒ぎしたためで、できが悪いという意味ではありません。ああいうのに慣れた後だったので暴力シーンに免疫ができてしまったのでしょう。大騒ぎのシーンを抑えた分心理的な方向に力を注いでいます。作りから言うと箱に入れて、囲うように、章ごとにスタイルを統一したり、テーマを統一し順番に披露するという形です。子供が学校の宿題をやるかのように、単純な作りなのですが、それが分かり易くて楽しいです。「タランティーノは大人にならない」と揶揄する人もいますが、エンターテイメントの世界でこういう風なスタイルを押し通す人が1人ぐらいいてもいいじゃないかとつい弁護したくなってしまいます。とにかく分かり易い。
ところでドイツのタランティーノ・ファンは日本版のキル・ビルは違うカラーで、2分長いという話を聞きつけ、うらやましがっています。
どうやらキル・ビルは東洋編、キル・ビル Vol.2 はアメリカ大陸編としたようですが、その辺も実にスッキリ。で、キル・ビル Vol.2 にはエル・パソの回想シーンも出ますし、砂漠のど真ん中にトレーラーを置いて暮らしているビルの弟なども出て来ます。兄が豪華な邸宅を構えているのに対し、弟はトレーラーで生活。弟は兄の大切な日本刀を二束三文で売ってしまったり(!?)と、ちょっと分かりにくい兄弟関係。
銅頭と石井お蓮を殺した後、今度はバドを狙うのですが、相手もプロ。ブラック・マンバは葬られてしまいます。それでも死なないマンバ。理由は説明されます。その回想シーンで登場する中国の仙人のような武術の師匠パイ・メイ。この顔どこかで見覚えがある!欧州人は時々「東洋人の顔はみな同じに見える、区別がつかない」と言いますが、キル・ビルにいませんでしたか、似たような男?パイ・メイのシーンが愉快にできていて、大笑い。これに平行する役がキル・ビルの千葉真一。パイ・メイの台詞には皮肉と本音が混ざっていて、とてもユーモラスにできています。
マンバの蘇り方がおかしい。ザ・コアの地底ロケットのように土をかき分けて墓から出て来ます。死んだはずだよお嫁さん。ザ・コアも愉快だったけれどサーマン復活も笑ってしまいました。
タランティーノとサーマンの間に何かあるなあとゴシップ雀が騒いでいるようですが、ありますねえ。何しろ最後に原案 Q&U と大きく出るのです。その上2作どこを見てもサーマンが絵になるように撮ってあります。しかし「プライベートに不倫をしていたか」と聞かれても分からないです。タランティーノはあまり女に手を出す感じでなく、作品を捧げるという形で愛情表現をするクラシックな男性のようですから。サーマンが第2子妊娠で撮影に来られなくなった時「待つ」と言ったのだから、これは完全に監督が女優に惚れ込んだパターン。昔時々そういう作品がありました。
ダリル・ハナーは自分の役をそれほど喜んではいなかったようなインタビューを読みました。それでも最近のぱっとしない作品に比べるとずっと良く、キル・ビル Vol.2 にはキル・ビルよりさらに絵になるシーンが多いです。キル・ビルでは病院に忍び込むため白系の衣裳が多かったですが、キル・ビル Vol.2 では黒。これが決まっています。ブロンド美人2人が剣を上段に構えて対決。彼女が絵になるという意味では注目を浴びたブレード・ランナーと並びます。
カラダインはマカロニ・ウエスタンの雰囲気を良く出しています。実は彼はアメリカ人としてカンフーに乗り出した草分け的人物。レオーネの雰囲気で演じています。冷血男が恋をするとどんなに危ないか良く分かりますねえ。何とかに刃物になってしまいます。いや、本当に刃物振り回していた。最後のシーンは満足気。馬鹿は死ななきゃ治らないの典型のようなラストですが、ドイツでは「カラダイン、生涯1度の役を貰った」と書いています。
キル・ビル Vol.2 は出演者の数を絞っていますが、マンバに狙われる3人の個性をとことん生かしており、3人ともキル・ビル Vol.2 が代表作になるでしょう。監督が俳優にプレゼントという雰囲気が漂います。
サミュエル・L・ジャクソンはほとんど顔が出ず、台詞も1シーンでちょっとだけなのですが、これを聞くと私とうたむらさんはのけぞってしまいます。誰か、彼の台詞英語でインターネットに乗せないかなあ。
そして最後に流れるのが恨み節。キル・ビルが公開された時はドイツのメディアではほとんど誰も触れていませんでしたが、キル・ビル Vol.2 の公開にあたってはタランティーノお気に入りの歌手で、彼女の映画もお気に入りだと書いている雑誌もあります。キル・ビルでは歌声だけで終わってしまいましたが、キル・ビル Vol.2 の方は最後におまけがついています。すぐ席を立たない方がいいです。
とまあ、お楽しみ満載で、書いていたら切りがありません。皆さん映画館に出かけて行って、それぞれの楽しみ方を探して下さい。ちなみに2本連続で見てもマトリックスほど疲れないと思います。何せ、話が分かり易い、画面が見易い、画面が満員でない、色が明るい、音は台詞かあまりうるさくない音楽に絞ってある。観客に優しい映画です。
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