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2010 サッカー世界選手権 南アフリカ

その2

関係者

世界選手権出場ティーム
(この日は独・アルゼンチン)

審判

各国スタッフ

見た時期:2010年7月

本来は映画を中心として、時たま音楽を扱うページのなのですが、4年に1度発作に見舞われて、運動を扱うページに化けてしまいます。あと1週間ほどで全治しますので、ご容赦下さい。

★ ミイラ取りの末路 続き

未だにサッカーに引っかかったままです。

昨日はブラジル・オランダ戦とウルグアイ・ガーナ戦、今日はドイツ・アルゼンチン戦。あと1時間ほどでパラグアイ・スペイン戦が始まります。

テレビの無い私は飲み屋、映画館、ビア・ガーデン、どこかの商店に行くなど、何か思いつかないとだめです。

★ 8→4

☆ ブラジル・オランダ戦

昨日用があって外出したのですが、帰り道にビア・ガーデンの前を通りかかり、ついふらっと入ってしまいました。前回はビールを注文したのですが、この日は気温が35度を越えている様子で、ただ歩いていても汗が出て来ます。こういう時にビールなどを飲むと却って暑くなってしまうので、この日は大きなグラスの水を注文しました。水などは家で飲めばいいですし、ドイツはビールの方がジュースや水より安いのですが仕方ありません。入場券だと思って注文です。

1番前の席が空いていたので座って画面を見ると、ブラジルが前半に先制点を入れていました。ちょうど休憩になっており、間もなく後半が始まったのですが、動きが鈍いです。両ティームとも優勝候補に挙がるような重量級。各選手はプロ中のプロ。私でも名前を知っている選手が混ざっています。なのにどういうわけかあまり積極的な動きが見えません。変だなと思いながら見ていると、突然ゴール。喜んだのはオランダ、唇を噛んだのはブラジル。自分の側のゴールに入れてしまい、オウン・ゴール。

後から話を聞くと前半には何度もゴールを狙う動きがあったようなのですが、私が見始めた後半はほとんどそういう動きが無く、それで鈍い動きだなあという印象を受けました。

点を取られてしまってようやく積極的な動きが起こりますが、ブラジルはまたオランダに1点を入れられてしまい2対1で負け。引き分けはあっても負け無しで上がって来たブラジルが負けるとは思いませんでした。重量級2ティームとは言え、オランダと比べるとブラジルの方が優れていると思っていたので、意外でした。しかしどちらのティームにも絶対勝ち抜くぞという意気が感じられず、だらっとした試合でした。

専門家の評価では双方五分五分の接戦となっていますが、双方五分五分のだらけ戦という印象でした。

ブラジルはこの日ボロボロで、レッド・カードを貰って帰りました。猛者揃いの一流ティームは反則の名手でもあり、ボケっとした審判は上手く丸め込まれてしまいます。上位のティームは上手に反則を誤魔化す術も心得ています。この試合ではそれでも誤魔化せず、日本人の審判に笛を吹かれていました。警告を見るとオランダがボロボロで、4人。ブラジルは意外と少なく1人(さすがプロと感心)。しかし負けてしまったのでこれで終わり。文字になった記録だけを見ると後年劇的な試合という印象を受けそうですが、両チーム共やや気合が不足していました。

☆ ウルグアイ・ガーナ戦

ブラジル・オランダ戦が本命と思っていたのでウルグアイ・ガーナ戦はあまり大きな期待をしていませんでした。ところが実際に見てみると、この試合の方がずっとサッカーらしい、しかもあまり汚い手の出ない試合でした。両ティームとも非常に積極的に攻め、守りも積極的。とにかく10人はよく走ります。どちらもぎりぎりまで力を使い、1対1で終了。親善試合ではないし、引き分けのままにはできないので延長戦。ところが点が入らない。決着は11メーター(PK戦)でつけることに。

その11メーターになる直前に予想外のびっくりペケ(×)・プレイが登場。ゴールキーパーでない人が手を出してしまい退場。盛り上がります。

日本も11メーターで負けましたが、ガーナが危ない。試合を見ていると両ティームとも一般の選手よりゴールキーパーが弱い。ドイツのゴールキーパーを知っていると、ウルグアイとガーナの弱点が目に付きます。ガーナは自分たちでもその事をよく知っていたと見え、11メーターになると知ってゴールキーパーは悩んでいる。ドイツのレーマンが持っていたようなメモは無い。知恵をつけてくれそうな閻魔大王カーンもいない。心配通りガーナはこれで敗退。

私に取ってはガーナが勝とうが、ウルグアイが勝とうが構いませんが、ガーナはアフリカの最後の希望だったので気の毒に思いました。試合ぶりを見てもガーナの方が紳士的なプレイをしており、イエロー・カードは同点でしたが、ウルグアイにはゴール・キーパーの真似をした選手にレッド・カードも出ています。とは言っても審判にばれないように物凄く汚らしい試合をして勝ち抜く有名ティームのプロに比べるとさわやかなプレイでした。

両試合が終わりドイツでかつて有名な選手だった人が解説していました。ブラジル・オランダ戦は本格的で、ウルグアイ・ガーナ戦はちゃんとした技術を持たない選手の試合だったとけちょんけちょんに言われていました。トウシロウ的に手を出してしまった選手のことを言っていたのでしょうが私の印象は逆で、有名な重量級のティームが雁首揃えてあまり本気を出していなかった、ティームとしてまとまっていなかった、あんな試合で金を取るのは上げ底だと怒りました。

それに比べ凝った技術は使っていないのかも知れませんが、ウルグアイとガーナは積極的に攻め合い、守り合い、ティーム・ワークも成立していました。サッカーオタクでルールを知り尽くしている人と、4年に1回1ヶ月だけ発作に襲われて試合を見るトウシロウの期待するものは違うのでしょう。私はウルグアイ・ガーナ戦で十分満足しました。それにこの2ティームは4年後に大化けする可能性を秘めています。

★ そしてドイツ・アルゼンチン戦

32→16では妙な勝敗が目に付きましたが、徐々に普通の試合になって来たという印象に傾いていました。とは言ってもオランダ・ブラジル戦のようにどこまで本気か分からないような試合もありました。それに比べ、ドイツ・アルゼンチン戦は気合が入っていました。ドイツはその前のイングランド戦で4点入れていて、うち1点はボーナスとしても3点は実力。

ドイツの坊やたちは明るい表情で登場し、陽気に戦い始めました。アルゼンチンは侮れない国。世界的に名前を知られている往年の名選手マラドンナ監督の姿と合わせると、これだけでも絵になります。

後記: 今年はほとんどのティームが3点止まりで、たまに4点取るティームがありました。。北朝鮮がポルトガルに7点取られたのは唯一の例外。《たまに》の中に入っているドイツは、後から振り返ると第1リーグと決勝を合わせて3回4点を出して勝っています。始まる7週間前までは不調と言われており、ぎりぎりでティームワークが成立したようです。不調にはそれなりの理由もあったようです。

坊やという年でもない選手も混ざっているのに私が坊やと思ってしまうのにはわけがあります。

ある作家がドイツの田舎の少年サッカーの本を書き、たまたま私にもう出版されていた作品についてあれこれ言う機会ががありました。当時サッカーについてまるで知識が無かったのですが、ベルリンでその作家と何かしらの選手権を一緒にテレビで見ることになってしまいました。サッカーに無知な私としてはテレビなど見ても何も分からなかったのですが、私の役目はサッカーのルールについて語ることではなく、本全体について好き放題言ってもいいという立場でした。主人公のティームのいたずらぶり(有体に言うとひどい悪ガキ)、挿絵の図柄、オトシマエのつけ方、テキストと絵のレイアウトなど、素人の私が何を言ってもいいということでした。

どうしようもない悪ガキがありとあらゆるルール違反をして、どうしても1位になりたかったという筋なのですが、主人公の少年たちがあまりにもかわいく、やる事があまりにもあこぎで、大人の私は笑い転げました。話がエスカレートし、独占的翻訳権まで貰ってしまい、出版社を探したのですが、結局見つからずその話は止まったまま。しかし一読者に言いたい放題言わせる作家というのも珍しいです。

この本に出て来る主人公が最近若返ったドイツ・ティームとどうしてもダブってしまいます。名門のティームに所属している選手も元を質せばどこかの少年ティームに発しているのです。中には本と同じような田舎のティーム出身者もいるかも(出るかも)知れません。それぐらいドイツではサッカーが隅々にまで行き渡っています。

この日ドイツはいつもの白いトリコーではなく、黒装束で登場。まるで忍者集団のようです。私はドイツが白装束で勝つ姿を何度か見ていたので、験が悪いと心配しましたが、とんでもない。黒装束で相手にプレッシャーをかけようという作戦でした。・・・というのは本当ではなく、実はサッカー選手は最低2種類のトリコーを用意していて、いつどちらのトリコーを使うかについてはざっとルールがあります。この日はドイツが黒装束、アルゼンチンが空色と白の縦縞パジャマ・ルック。祖国を意識したデザインで、相手にプレッシャーをどうのという作戦ではなかったようですが、衣装で既にドイツは勝っていました。みっともないトリコーで負けるという筋は上に書いた作家の話にも出て来ます。アルゼンチンの衣装がみっともないのではありませんが、空色と白のわりと普通のトリコーに対し、真っ黒な軍団が迫って来ると不利です。(サッカーの衣装はあまりカッコよくないのが普通。スピード・スケートと比べよ!)。

さて、衣装勝ちなのか、始まって5分もしないうちにドイツが1点。毎回こういう風に最初に点を取ってもらいたいところです。これは相手にプレッシャーになるので得です。

今年好調なのはクローゼですが、その他にトーマス・ミュラーも好調。そしてシュヴァイニー君(シュヴァインシュタイガー)はなぜかちょうど都合のいい場所にいる癖が今年も抜けず、ボールを相手ティームから盗み出し、さっと好調の選手にパス。

そして若手ゴール・キーパーはオリ・カーン、レーマンの伝統をしっかり継いで、取ったボールは絶対に手放さない。なので、近くに敵の選手が来ていて、1度ゴール・キーパーが防いだボールをもう1度蹴ってやろうと思って控えていても無駄。

意外なことにアルゼンチンは点に結びつく動きをできず、無得点のまま後半へ。

後半の前半アルゼンチンが巻き返しを図りますが、点にはなりません。途中からドイツが積極的に。それはアルゼンチンのゴールキーパーが防ぐ。

そしてあろうことか後半の後ろ半分あたりからドイツが3点追加。ゴールキーパーを外におびき出して無人ゴール。正しい場所に正しい時にいるだけが特技でないシュヴァイニー君が長距離ドリブルでボールを相手側に運び、仲間に渡してまた1点。ついでにトルコにも華を持たせようというわけでウジル君にもチャンスが。彼が渡したボールを記録更新中のクローゼが決めてまた1点。

マラドンナは体全体で絶望感を示し、神様、こっちを向け、居眠りしている場合じゃないとでも言っているかのよう。その姿でさえ絵になる人です。色々な武勇伝がもれ伝わっていますが、顔や体全体で感情を表現するので見ていてつい彼に同情してしまいます。この日は上手く行かない事ばかりだったのですよ、彼に取っては。かつて世界的に有名な選手だったことは先刻ご承知。特に驚くのは非常に小柄なのにサッカーの天才だった点。ナショナル・ティームのコーチになるだけの経歴と言えます。コーチとしてでも何でもいいから彼の顔をもう1度見たい人は世界中にいるでしょう。

しかしまあこの日両ティーム、選手はクールでした。後で見た他の試合に比べ驚くほど反則の少ない試合で、赤は出ず、黄色が両ティーム合わせて3枚。ただミュラーはイングランド戦で貯金があり、次の試合には出られない。これが痛手になるかも知れません。

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