スポーツのページ
関係者
世界選手権出場ティーム
(この日は独・スペイン)
審判
各国スタッフ
見た時期:2010年7月
本来は映画を中心として、時たま音楽を扱うページのなのですが、4年に1度発作に見舞われて、運動を扱うページに化けてしまいます。あと数日で全治しますので、ご容赦下さい。
★ そして(始まる前にもう)だめだった
残り4ティームまで勝ち進んで来たドイツですが、スペイン戦では入場した時に負けるなと思いました。気合が入っていないどころか全員鬱気味。国歌を歌う顔も曇りがち。何かあったんだろうかと思いました。で、監督はと見ると、彼の顔は選手以上に厳しく、始まる前に既に悔しさがにじみ出ています。
スペインに挑発でもされたのかと見ると、スペインは気合は入っておらず、だらけ気味。スペインがドイツを試合開始前に眼力で倒したというわけではなさそうです。サッカーの重要な試合には時々舌戦などもあり、気合で事前に相手を負かせることも可能です。
例えばウルグアイ・オランダ戦。ウルグアイは世界強豪の中では重量級とは言えないティームですが、今年は根性で戦っていて、ある程度のファウルや色付のカードは折込済み。上に上がるために敢えて汚い事もやります。それでも連戦練磨の超一流泥仕合勝ち抜きチームほどではありません。そこで諦めずに戦う一生懸命さが好感を与えます。
★ 今年のドイツの出発点は負だった
今年のドイツ・ティームはボロボロで、重要選手の自殺、負傷のまま全国のティームから選手が集められました。23人中7人がミュンヘン、ブレーメンとハンブルク各4人、シュツットガルトから3人など国内の名門ティームに属する選手ばかりを集めています。今年はまとまりが悪く、試合の7週間前にどうしようもない状態だという話も伝わっていました。なので今年のドイツはそこそこ行ったところで退場するだろうと思われていました。ま、優勝は無いまでも国際大会で4位以内にはつけているので、まあベスト8かベスト4ぐらいに行けたら快挙、不調を考えるとベスト8でも大喜びすべきかってな具合でした。
第1リーグ・グループ内の3戦で1回落とすなど危なっかしい状態でしたが、徐々に調子を上げ、イングランド、アルゼンチン戦で国民は大喜び。明るい顔の選手。意外な善戦にドイツは決勝進出も夢ではないと思い始めたところでした。
★ 試合前に負ける原因
いくつかの原因が考えられるのですが、まずはロシアのグランプリ・ファイナル(フィギュア・スケート)で日本選手を見舞ったような災厄。あの事件は開催国のロシアが気を使って、関係者の異例な逮捕となりましたが、大きなスポーツ大会ではセキュリティーが大変です。しかしもし今回そういう事件が起きていたのなら、ドイツの解説者は違う言葉を使うでしょう。なのでこの線はなさそう。
政治の状況が影響したのかというのが次に考えられる理由。プラスとマイナスの方向があるのですが、例えば特定の地域を盛り立てるために準決勝までその地域のティームを残すといった出来事。ご祝儀、良かれと思ってやるのでしょうが、アンフェアには違いありません。マイナスの方向ですと、政治的にとんでもない事をした国や、その時期の趨勢に合わない方向の国に厳しい審判を下し早々にお引取り願うようなことも考えられます。無論公式にはそういう話ではないことになります。今年の審判に何度か疑問符がついており、何かしらあったのかも知れません。しかし試合中でなく、開会の式典に出て来たドイツ・ティームがもう気合で負けているというのは、どういうわけなのでしょう。
そこで思い当たったのは直前に起きたへんてこりんな事件。
★ 報道を含め不思議な話をまとめると
日本でも報道されましたが、ハノーファーというドイツの中程度の大きさの都市で殺人事件が起きました。
42歳のドイツ人年金生活男が7月5日早朝飲み屋にいたイタリア人のピザ食堂従業員2人とサッカーの優勝回数について喧嘩になり、1度は物別れ。自宅に戻ったドイツ人は自宅のピストルを持ち出し酒場へ戻り、2人のイタリア人に向け発砲。ドイツはちょうどアルゼンチンを下し、これからスペイン戦という時でした。そして喧嘩の元になった話題ではイタリアの2人の主張が正しかったのです。被害者は1人即死、もう1人は病院で死亡。
犯人はわざわざスペインまで逃げておいて、到着後間もなく弁護士を引き連れて警察に出頭。親戚に自首するよう説得を受けたそうです。どこにでも逃げられるのになぜこれから対戦するスペインに逃げたんだとその時はふと思いました。色々尋常でない事はあるのですが、スペインに行った件については後から聞くと何となく納得できます。
あまり尋常でないと思えたのはこんな点です。
・ 使用されたピストルは9ミリ。凶器は犯行現場に捨ててあった。
・ ドイツはピストルの所持は一定の条件を満たせば許可されますが、実際に持っている一般人は皆無。
合法的に持っているのは軍人と警察関係者。加えて許可を申請して競技用と狩猟用にライフルなどの武器を持つ人がいます。護身用ピストルがここに加わるのですが、実際に所持している人は少ないです。
非合法に持つ人は無論やくざ、ギャングと関係者。しかしドイツはアメリカと違い、犯罪に銃を使う例は少なく、普通の人は銃を持っている人を見ると非合法かと疑います。仮に合法的に入手したものであって、普通のドイツ人が一生の間に銃を見る機会があるとすれば軍ぐらい。警官は日本と似て銃をホルスターに入れており、そうそう抜き出して人の目に触れることはありません。
・ 聞きかじり、読みかじりですが、トウシロウがピストルで弾を命中させ相手を死に至らせるのはそう簡単ではないそうです。頭などという面積の小さい丸い個所を狙うのは簡単ではなく、胸など面積の広い場所に当てて大怪我をさせるのがせいぜいとか。この部分は無論犯人が軍事訓練を受けていたとか、元警官であるとか、以前競技に出ていたなどということならひっくり返ります。早期年金生活者だということしか分かっていないので、ここは不明。
・ 警察が追っている目撃者が見つかっていないという報道と証人から十分な証言を得て警察は付近に緊急手配をしたという報道あり。ただし空港は想定範囲に入れていなかった。
当初「なんでやねん」と思ったスペインですが、マジョルカというのはドイツ人の年金生活者や観光客が好んで行く所。そこに親戚が住んでいたそうで、到着後説得されて警察に出頭したようです。それはいいのですが、普通飛行機に乗る場合手配が出ていると空港のコンピューターに警告が出るはず。犯人は犯行後かなり早く空港に行ったらしく、うまくすり抜けたようです。
この事件とサッカー・ティームの間には何の関係もありません。話題はスペインとドイツの対戦回数ですらありませんでした。それでも何かしら影響が出たんでしょうか。
★ そして負けてしまった
本心を言うとこの試合については何も書きたくないのですが、ざっと。
前半は無得点。後半スペインが1点入れて勝ち。反則はゼロ。ボールはほぼ半々で互角の戦いに見えるようになっていました。この試合に出られなかったミュラーがいたらシュヴァイニー君と組んで点が返せたかも知れません。しかしクローゼもいたし、ウジルもいたのです。1人欠けた程度でへたるティームではないのですが。
やはり最初から負けが決まっていたとしか言いようがありません。それでも見ていて好感が持てたのはスペインのフェア・プレイぶり。この試合では色つきのカードは出ていません。試合が終わるとスペイン選手がすぐクローゼやシュヴァイニー君の所へ挨拶に行きました。本人たちはドイツが勝ってもおかしくないと思っていたかのよう。ドイツは選手権開催前にはベスト8でも喜んだだろうと思えるほどの不調。なので3位か4位というのは順当にも思えますが、前の試合で実力が戻り始めていたので、失望は大きいでしょう。そこへ相手ティームが慰めに来たのは見ていて感じが良かったです。
★ 3位決定戦
ウルグアイ:ドイツ。ベスト8ですと負けたらすぐ帰国。ベスト4ですと3位決定戦があります。この試合にはいつものゴールキーパーではなく、控えの選手を出しています。クリンツマンに習い、控えの選手にも華を持たせたのか、決勝もあるかもしれないのでこの日はいつものキーパーを休ませるつもりだったのか、そこは不明。
この日はミュラーが保釈されて出場。色つきのカードで言うと3対1でドイツの負け。得点は3対2でドイツの勝ち。なかなか気合の入った試合でした。フェア・プレイとラフ・プレイがそこそこ混ざり合い、両者とも積極的に攻め、それなりの点を取り、後半の後半まで同点。試合終了の10分弱前にドイツがもう1点入れて3対2。しかし最後の最後までウルグアイが同点にこぎつけそうでもありました。
この日はウルグアイもドイツもちゃんと気合を入れて、しかし殺気立たず、ゲームをやっていました。戦争ではありません。ウルグアイは長い間上位に来られなかったので、4位でもそれほど不満はなさそう。ドイツも3位でそこそこ満足。ちゃんと見せ場をつくってあります。しかしドイツが勝ってもこの日は花火は上がりませんでした。憎たらしい相手を負かすのとはトーンが違い、あまりやっつけてもせいせいしたという雰囲気ではありません。
★ 決勝の方が凄かった
こういうのを泥仕合と言うのでしょうか。オランダ:スペイン戦。
☆ 試合前のカラー戦
早々と開催国南アフリカやその他のアフリカ諸国を蹴飛ばし、次回開催国のある南米も蹴落とし、結局欧州だけの試合になってしまいました。スペインもオランダも皇室からゲストが来ていました。オペラ歌手も見に来ていたようです。モーガン・フリーマンもいたという話もあります。マンデラ元大統領の孫が殺されなければ元大統領が来て、フリーマンがスタントの役割を果たしたのかとかんぐったりしました(笑)。フリーマンがセブンに出て来た時からこれはマンデラ役の俳優だと思っていました。
久しぶりにスペインの女王の姿を見ました。欧州の王室は日本の皇室と考え方が違うので、雅子妃についても夫が天皇になると雅子妃を Kaiserin (皇帝という言葉の女性形。日本の天皇は外国では皇帝と呼ばれている)と呼びたがる人が多いです。しかし彼女が天皇になるわけではなく、欧州の考える女帝(Kaiserin)とは違います。欧州では国王の夫人をクイーンと呼ぶことが多く、エリザベス女王のように自分が重要書類に署名するタイプの女王と夫が王である夫人の女王と言い方が同じです。スペインのソフィア女王は厳密に言うなら王の妃です。普段は非常に控えめで物静かなソフィア王妃ですが、この日は気合を入れて試合を見ていました。
スペインと言えばレアル・マドリッド、バルセロナなど超一流ティームのある国。そして第1リーグ色つきカードゼロ、決勝トーナメント最終戦の前までに黄色いカードが3枚という反則の少ないティームです。赤いカードは見たこともないようです。
対するオランダは第1リーグ6、決勝トーナメント最終戦前までに9、合計15枚黄色いカードを貰っています。実に15対3でスペインの勝ちです。
それがあろう事か最終戦1試合だけで、スペインはそれまでの全試合を超える5枚も黄色いカードを貰ってしまいます。対するオランダはもう言語道断。この1試合だけで黄色9枚に加え、ついに赤1枚。何じゃこれは。
私にはクリーンなスペインを何が何でもダーティーにしようという陰謀ではないかとすら思えてしまいました。審判がこういうダーティーな試合を挑発しているのではと思えたほどです。オランダは何が何でも勝ちたいという殺気だったティームで、前回のイタリアと似たメンタリティーで出て来ています。スペインと聞けば情熱の国、かっとし易い人も多いだろうと思いがちですが、ことサッカーについては評判がすこぶる良く、フェア・プレイで賞が出たという話も聞いたことがあります。ドイツはスペインに負けましたが、その時も良識ある試合をしています。
それに比べ最終戦は血みどろのコロシアムと言った感じで、醜い戦いでした。
☆ たかが1点、されど1点
フェア・プレイが多いとは言え、世界的に有名なプロのティームを2つも持ったスペイン。裏技を知らないわけではないでしょう。「そっちがその気ならやったろうじゃねえか」とでも思ったのか、気合は入って来ます。しかし点が入らない。前半終了。後半終了。決着がつかない。
延長戦。決勝で延長戦というのはショーとしてはおもしろくていいですが、そこまでにオランダはイエロー・カード6枚、スペインは3枚。延長戦前半は無得点。後半に入っても点が入らず、人々が11メーターかと思い始めたところでスペインのイニエスタが1点。
★ スペインにも死者が出ていた
イエニスタは Dani Jarque siempre con nosotoros と下着に書いていて、試合終了前にそれを見せたためイエロー・カード。これはラフ・プレイではないのでスペインのイエロー・カードは4枚とも解釈できます。スペインもティーム・メートを1人失っていたのです。ダニエル・ハルケはイエニスタの友達。よほど友人の死で頭に来ていたのか、優勝できるか分かりもしないのに、確信犯的に試合前にちゃんとシャツに手書きでこういう文句を書いていたのです。よりによって自分が優勝に結びつく1点を取ったので、全世界に「見ろ!」とばかりにトリコーを脱いでしまいました。これは規律を破ったと見なされ罰点。これで遺族は報われるでしょうねえ。もしかしたらドイツ・ティームもそういう下着を用意していたのでしょうか。
オランダはその後の数分間で点を返せず、2位。チャンスがあれば返せたかも知れませんが幸運の女神は微笑まなかった。なぜか私の周囲にはスペインを応援する人が多く、私もフェア・プレイに感心しながら、そしてあのスペインのクリーンな名誉を汚されて気の毒と思いながら見ていました。なのでイエニスタの1点ですっきりしました。
★ 日本は準備していたらしい
日本の試合は見られなかったのですが、聞くところによると現地の気候や空気の状態に合わせた練習をしたとのこと。後で見たインタビューですと、ドイツと似て、試合直前までまとまりの悪いティームだったそうです。監督が駄目とか言われていて、クリンツマンの時を思い出します。クリンツマンも散々メディアからバッシングに遭っていました。
ところが蓋を開けてみると意外な善戦。そこも似ています。勝敗の表を見ただけなのですが、私は日本より韓国が残るのではないかと思っていました。しかし今回は韓国が一足先に敗退。ま、アジアから2カ国がこういう試合の中盤まで残れるというのは楽しいです。4年後もこの2カ国はまた頑張るでしょう。
日本はボールのコントロールが難しいことを大分前から知っていて、できるだけ調整をしていたそうです。私はどちらかと言えば気候の心配をしていました。欧州から残ったティームが多く、欧州は現在真夏。南米や豪州の方が有利かと思っていました。日本選手は髪を染めた人がいたり、顔が土気色だったりで見てくれはあまり良くありませんが、どうやら守りの良さでは注目を集めたようです。試合後外国からのオファーが来た選手もいたようで、まあまあ快挙でしょう。
★ ドイツはどうなる
現在有力な選手に4年後ちょっとトウが立って来ます。幸い若手も今回名を上げています。シュヴァイニー君は4年後にはもうベテランになり、こういう試合からはずされるぎりぎりの年齢になります。クローゼは完全にアウトです。ウジル君はまだ26歳なので行けるかも知れません。ドイツはサッカー人口が多いので、後継者不足はありません。男の子はほとんど全員どこかしらでサッカーを習っています。そして一年中国内ではどこかで試合をやっており、スポーツ番組ではまずサッカーが報じられます。
クリンツマンはどうやらドイツに戻って来る気はないようです。彼はアジア系の女性と結婚していて、住居はアメリカ。ローカルのティームの世話をしています。現在のライオン監督が続投するのではないかと思います。彼はクリンツマンと一緒にドイツ・ティームを若返らせた人で、クリンツマンが監督の時助手をやっていました。クリンツマンは彼に1回きりで辞めると言っていたらしく、クリンツマン方式をライオン監督が一緒にやっていました。後を継げるようにとの事だった様子。
今年の試合では新たに若い選手が活躍しており、4年後に中堅になっているでしょう。そしてシュヴァイニー君などがベテランになっているでしょう。というわけで次回もまあベスト8ぐらいには入るでしょう。
急性サッカー症は明日治ります。
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