災害のページ

311事件

2011年東北地方太平洋沖地震

概要

発生初日:2011年3月11日14時46分

マグニチュード9

観測記録上日本最大、世界第4位

別名: 東北沖大地震、東北関東大地震、東北関東大震災、東日本巨大地震、東日本大地震、東日本大震災

地震がきっかけになった事: 津波、液状化、火災、放射の汚染、通信手段不通、交通手段不通

発生した日:2011年3月11日

911 の次は 311、大地震が起きました。一時期は東北と関東だけでなく、他の地方でも普段なら大きな地震と言われる規模の地震が何度も発生し、非常に心配しました。最初の地震があまりにも桁外れだったので、その後来た地震が目立たなくなってしまった感があります。遠く離れた所に住んでいるので具体的にどの程度なのか分からず、もしかしたら心配が二乗されてしまったのかも知れませんが、皆さんの無事を知って喜んでいます。皆さんのご家族、親類、お友達が無事なことを祈っています。

★ チェルノビルと似ているところ、似ていないところ

放射能に関してはこちらでもろにチェルノビルの煽りを食ったので、逆に日本がのんびりしているのを見て、大丈夫なのか心配しています。この種の事故は初動が非常に大切なのと、情報を国民に知らせ、必要な対策を取ってもらうことが重要です。許容量、それ以上だけれどまあまあ、これ以上は非常に危険などと知らせ、測定値を毎日天気予報や風向きと一緒に発表すれば、普通の人が自分で判断できるでしょう。

チェルノビルの時、西側はスウェーデンがいち早く異常に気づき、速やかに各国に警告を発しました。一旦出てしまった放射能を止めることはできませんが、各国政府はいち早く反応し、私たちは自宅待機となりました。そしてその後避けた方がいい食料品を教えてもらったり、市民団体が詳しい資料を出したりしていました。数年間多少不自由な生活でしたが、指示に従っていました。

気の毒だったのは当時東側と呼ばれた国々。ソ連が西側から催促されるまで情報を開示しなかったため、近隣の地域の人たちは知らずに何日も過ごしてしまいました。現在ウクライナになっている地域、ポーランドなどは大変でした。

西側がぴりぴりしていたのは風向き。ドイツは運がいい、悪いで考えると、中ぐらいでした。風向きで煽りを食った国の中には意外な感じがする所もありました。日本では気象庁で風向きを知ることができるようです。ついでに今後放射能濃度も出してくれるといいのですけれど。

情報を国民に開示していなかった東側の国々は当然ながら風向きの話をするわけにも行かず、風下に当たった人たちは特に大変でした。日本ではようやく最近同心円状に避難勧告を出すのではなく、風向きを見て危ない地域の設定を変えてはどうかという話が出始めています。しかし事故が起きたのは3月11日、今日はエプリル・フールの日。こんなに待ったらだめと思っていたのですが。

全員が同じ心配をする必要は無く、風向き、雨や雪、距離の他に男女差、年齢差、抵抗力の差なども大きな要素です。ドイツは現在やや神経過敏になっているので、センセーショナルな報道を見ると多少ブレーキをかけて解釈するようにしています。これまで経験が無い日本がのんびりしているのもちょっと困りますが、日独の間あたりを取るのがいいのかと思います。

★ 日本人のふるまい

世界中が日本の冷静なふるまいをやたら誉めていますが、ちょっと誉め過ぎの印象を受けました。

私たちの取る態度は当たり前で、この40年の間に周囲がモラルの地盤沈下を起こしていたのではないかと思うのです。阪神淡路の時も今回も人として当たり前の事をやっただけで、それが国中のコンセンサスだったと思うのです。世界の経典や立派な哲学の本を見ると、「隣人を愛しなさい」とか色々書いてあるので、世界でもこういう事は本当はコンセンサスのはずでした。

口の悪い人に言わせると、「外国の経典にそういう事が書いてあるのは、現実がそうでないからで、わざわざ書かざるを得なかった」のだそうです。日本の古文書に特別そういう事が書いてないのは昔からそれが当たり前だったからなのかも知れません。目標であれ、現実であれ、困った時にお互いを助け合うとか、ショックを受けた時に一緒に悲しむのは結局のところ当たり前の話です。

海外メディアがここまで誉めまくると言うことは他の国が地盤沈下を起こしたのであって、私たちが高くなったのではありません。

それでいて私が今回(も)深い感銘を受けたのは、この40年の間に日本自身も地盤沈下を起こし、モラルの低下が起きていたと思っていたのに、311事件で一挙に古来の日本に戻ったことです。

私が日本を出てから国は質が落ちたように見えました。やたら痴漢事件が増え、汚職をしては会見の席で立ち上がり「申し訳ありませんでした」と一礼、それでも実際には誰も責任を取らない、モンスター・○○○○○と呼ばれる各種のモンスター登場、親が子供を躾けなくなってしまった・・・等など。《自由》と《無茶苦茶》の間の境界線が消えてしまったように見えました。

ところが想定外の事が起きると、名も無い国民がしっかり国を支えました。関西でやくざまでが普段の商売を休業してボランティアに乗り出したのには半分は目を白黒、半分はさもありなんと思い、いくらか戸惑ったのは確かです。今回は阪神淡路を軽く通り越しただけでなく、まだ進行中の想像の範囲を超えた災厄。しかし人々の振る舞いは《当然》と言った様子でやるべき事をやり、文句を言わず、そして殆どの人がまた立ち上がると信じています。

ここに海外の人はカルチャー・ショックを受けるのですが、私にはそれが不思議に思えます。欧米こそ聖書からジェントルマンのルールに至るまで、色々な機会に人はどう振舞うべきか公言し、他所の国、地域の人に教えを広めていたはず。ですから現実にそういう振る舞いを見たからと言って驚くことはないはず。正直なところ驚いて褒めちぎる様子を見て、そちらの方に驚きました。

長い間デカダンス風、享楽的に生きていた日本人が、持っていた物を一挙に失ったのに、あまり頓着せず、残った物に注目して「ありがたい」と言う姿は、典型的と感じました。江戸時代もその前も日本人はこうだったのです。だから大丈夫だと思うのです。日本は太古の昔から地震、雷、火事、親父に耐え、台風、洪水、津波、火山噴火と共に生きて来ました。願わくば名も無いこういう人たちからお金をもらって上の地位にいる人たちがこの人たちと同じ波長になってもらいたいところです。

★ 映画があほらしく思える

スマトラ沖の事件の時既に津波のビデオを見ていたので、恐さは分かっていました。311事件当初のビデオはどの映画も吹っ飛ばしてしまう恐さを教えてくれました。幸い負傷者の数は少なかったとは言え、千葉の製油所が手の施しようが無くなる様子は恐怖でした。その日はまだ何がどうなっているか千葉以外は殆ど理解できなかったのですが、三陸の町のいくつかから大きな火災が発生し、仮に地震、津波を生き延びても、その後の火災で命を含め全てを失った人が大勢いたようです。こういう災厄の連鎖は関西でも経験していますが、東北は津波 + 火災となり、二倍、三倍ではなく、二乗、三乗の被害になったようです。

私は原発の話が出た当初からショッキングな津波の映像を見ても、放射能の方が恐いと思っていたのですが、もっと恐いのは津波でも放射能でもなく、指揮系統の混乱だと悟りました。

恐らくはいずれ311事件をテーマにしてパニック映画や大災害映画が作られるでしょう。政治スリラー、風刺などもできるかも知れません。しかし今まで見たどの映画も現実の報道ビデオに比べるとあほらしく思えてしまいます。今後いくら特殊効果を動員しても、現実に迫ることはできないと思います。そして日本人の振る舞いをその理由まで正確に伝える映画が作れるかも疑問です。

前置きが長くなりましたが、では今月の音楽情報です。

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