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セットアップ /
Setup /
Set Up - Freunde für's Leben, Feinde für die Ewigkeit /
Braqueurs /
Sem lei

Mike Gunther

USA 2011 85 Min. 劇映画

出演者

50 Cent こと Curtis Jackson
(Sonny - デトロイトのチンピラ)

Ambyr Childers
(Haley - 歌手を夢見るウェイトレス)

Ryan Phillippe
(Vincent Long - デトロイトのチンピラ、ソニーの兄貴分)

James Remar
(William Long - ヴィンセントの服役中の父親)

Brett Granstaff
(Dave Hall - デトロイトのチンピラ、ソニーとヴィンセントの友達)

Susie Abromeit
(Valerie - デイブのガールフレンド)

Jenna Dewan-Tatum
(Mia - ヴィンセントの身内)

Will Yun Lee
(Joey - デトロイトのチンピラ、外科の知識がある)

Bruce Willis
(Jack Biggs - デトロイト・マフィアの大ボス)

Randy Couture
(Petey - ビグスの手下)

Shaun Toub
(Roth - 殺し屋)

Ralph Lister
(肉屋、死体処理屋)

Richard Goteri
(John R - ギャング、ヴィンセントの相談相手)

Chick Bernhardt
(ロシア・マフィア)

Chris Torres
(ロシア・マフィア)

見た時期:2012年4月

ストーリーの説明あり

ストーリを紹介しますので見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

★ 劇場公開無し - 仕方が無い

若手スターを集めて制作されたにも関わらず劇場公開をすっ飛ばし、いきなり DVD になったそうです。仕方ないでしょう。

理由の1つは盛り上がりに欠け、せっかくの俳優が無駄遣いになっていること。同じくブルース・ウィルスを呼んで作った、似たような盛り上がりに欠けそうな作品ラッキーナンバー 7 と比べ、監督か脚本家に力が足りませんでした。ラッキーナンバー 7 は良く考えると大した筋ではないのに、おどけた作りにして、アクセントをつけたのが成功し、光りました。それに比べセットアップは平板な作りのままになっており、出来事を順番に追うだけ。主人公たちのファミリー性を台詞で強調し過ぎ、そのわりに実感が伝わって来ません。

脇を固める名も無い俳優たちは役柄をちゃんと理解して演じていますが、せっかくのスターは上手く生きていません。ウィリスはいつも通りの演技で(=特に手は抜いていない)、マフィアのボスとしてうまく納まっていますが、他の作品と差が無く、「またか」という印象になってしまいます。ライアン・フィリップは離婚し、いよいよ主演を取りながら性格俳優になるかと思いきや、主演は取れても性格俳優への道は遠のいた感があります。整形手術でもしたのか、顔がのっぺりしており、事故でやむなく整形手術をしその後不調になったモンゴメリー・クリフトを思わせます。

加えて主演の 50 ¢ がトラブルを抱えている様子。

★ 映画さながらの人生 - 50 ¢

非常に恵まれない生まれ方をした 50 ¢。母親は麻薬密売人。中学卒業ぐらいの年齢で 50 ¢ を出産。50 ¢ が小学校に入ってすぐ殺されてしまいます。母親に取っては職業上のリスクと言ってしまえばそれまでですが、息子に取っては災難。父親の事は分からず仕舞い。小学校卒業と同時に自分も母親の仕事を引き継ぎ、どうやら商売は上手だった様子。未成年でしっかり犯罪に手を染めています。

20歳を過ぎた頃レコード会社と契約。契約をしてから初めて音楽の基礎を勉強し始めるという変わったラッパー。しかし音楽キャリアは順調に行き、大手と契約しヒットを出します。ラップの世界はポップスやジャズの世界と違い、生き残るために銃弾の嵐をくぐる人もおり、命を落とす人も時々出ます。彼は生き延びましたが体には弾を食らいます。そのためレコード会社はドン引き。それでもがんばり続け、新しい会社、新しい国でやり直し。それを見たエミネムが「いらっしゃい」。結果またしてもヒット。強運のヒットマン。人殺しのことではありませんよ。ヒットを出す男という意味です。

次に乗り出したのが映画界。それも主演。ここまでを見ると非常に商才のある人物だと言えます。最初麻薬の密売で始めた商売ですが、別な物を売っていたら天才ビジネスマンと呼ばれたことでしょう。ところが音楽や映画で成功しても怪しげな世界に首を突っ込んでいるので、当局からは目をつけられています。セットアップが劇場公開を果たせなかった理由もその辺に潜んでいるのではと思われます。成功し、人が彼にあこがれるようになったら、やはり一定のけじめをつけなければ。観客を引きつけるためのプロモーション・ギャグだったのなら大失敗。もう時効になった子供の頃の麻薬商売は大目に見る人がいるかも知れませんが、成人し、公に姿を現わすスターの身でやったら、それだけで自ら自分で築いた物を壊してしまうことになります。

★ あらすじ

デトロイト。幼馴染3人組は今ではチンピラ・ギャグに成長しています。3人の中で1番頭が良さそうでリーダー格のヴィンセントの父親は服役中。あとの2人はデイヴとソニー。

3人は路上でニコラス・ケイジではないダイヤモンド商を襲い、500万ドル分をせしめます。しかし誰も殺さず強奪するだけの予定が、撃ち合いになりダイヤモンド商とデイヴが現場で死にます。予定を変更し裏切ったのはヴィンセント。ソニーも撃たれ死ぬはずだったのが危ういところで助かります。当然ながらソニーはヴィンセントとダイヤモンドを探し始めます。

ダイヤモンド商の側でも当然ながら本来のビジネスが妨害されたので人を送りヴィンセントを探します。そしてその日ダイヤモンド商の車を運転していた女性運転手に行き当たります。名も無いチンピラのソニーは大胆にもデトロイト・マフィアのボスが現われた時怖気づくことなく言いたい事を言ったため目をかけられるようになります。

ボスには打算があり、天使ではありませんが、暫くの間2人の間にはちょっとした父子関係ができます。やがてヴィンセントと宝石商の運転手との関係、ヴィンセントの父親と金の関わりなどが表に出て来て、ヴィンセントがなぜ裏切ったのかが分かって来ます。しかしそれで「はい、分かりました」と引っ込むには犠牲が大きいと考えたソニーは彼なりの考えを通して行きます。

★ ゆるいラスト

最後はデトロイトの暗黒街の人事が大きく変わる結果になり、暗黒街のハードボイルドと呼ぶにはあまりにも甘ちょろい結末。ハードボイルド路線をもう少し強めるべきだったと思います。特にライアン・フィリップは過去にハードボイルド路線でユーモアも混ざった佳作に出て成功しており、この方面が得意な俳優は多く無いので、この路線を貫けば性格俳優として名を成すことも可能だったように思います。ただあののっぺりした顔、何とかならないものだろうかと見ながらずっと思い続けていました。私は以前は彼のファンだったのですが・・・。

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