March.23,2001 遅ればせながら、オアシス

        今公開中の『スナッチ』という映画にはすっかり、ぶちのめされてしまって、この映画の面白さを書きたいと思っているのだが、あまりに凄すぎて言葉が出てこない。タランティーノの映画に出会ったときもそうだったが、今回も興奮はするのだが文章にならない。そういえばタランティーノのタッチに似ているか? 嫌、あれよりも、もっとぶっ飛んでいる。ガイ・リッチー監督。凄い才能が出てきたものだ。

        思えば、第1作の『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を見逃したのが失敗だった。面白そうだなあと思いながらも、チケット・ショップの前でこの長いタイトルをスラスラと言えずに買わないでしまったのがいけなかった。その後何人かの友人がビデオで見て、「あれは面白かったよ」とメールをくれたのだが、近所のレンタル・ビデオ屋に置いてなくて、ついつい見ないでここまで来てしまった。『スナッチ』を見たあとに、慌ててちょっと離れたレンタル・ビデオ屋に自転車を飛ばして『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を借りに行ったら、3本のビデオ、1本のDVD、全て貸し出し中。ちっきしょー、この週末にまた行ってみよう。それにしても長すぎるよ、あのタイトル。カバ頭じゃ憶えきれない。

        ええっと、話を戻しまして『スナッチ』ですが、映画の内容も良かったのだけれど、音楽が豪華。映画を見てサントラ盤が欲しくなるというのは、年に一回程度なのだが、今回久しぶりに欲しくなってしまった。帰りがけに売店に寄ると売ってました、サントラCD。懐かしい10ccの『ドレッド・ロック・ホリディ』、ストラングラーズの『ゴールデン・ブラウン』、ザ・スペシャルズの『ゴースト・タウン』。うわあ、マドンナの『ラッキー・スター』まで入っている。ガイ・リッチーの奥さんってマドンナだもんね。このラインナップ美味しいでしょ。買いですよ、買い! それにまったく知らない今のファンクやジャズまで入っていて(これがまたみんなカッコイイのだ)、家に帰ってもう毎日聞きまくっております。

        実はこのサントラを買った最大の理由というのは、映画を見ていて凄く気に入ってしまった曲があったからなのだ。それはブラッド・ピットがボクシングをするシーンで流されていたインスト曲。どことなくレッド・ツェッペリンの『移民の歌』に似たドラムスとギター・フレーズで始まる曲で、途中からうねるようなギター・ソロがこちらのハートを直撃してくる。な、何だあ、この曲は! 家で聴いてみて分かりました。オアシスだあ! オアシスの『ファッキン・イン・ザ・プッシーズ』。何しろ最近のロックをさっぱり聴かないものだから、オアシスなんて名前だけしか知らなかった。知っていた手のは『ミュージック・オブ・ザ・プレミアム』に入っていた『ワンダー・ウォール』1曲。急にオアシスが聴きたくなってしまった。CD屋へ素っ飛んでいってオアシスの棚を見る。去年出た二枚組のライヴを手に取る。ライヴ盤ってベスト・アルバムのような選曲だから、これがいい。1曲目が『ファッキン・イン・ザ・プッシーズ』なのも気に入った。

        『ファッキン・イン・ザ・プッシーズ』いいなあ。こいつら、絶対にツェッペリン・ファンだぞ! と思って聴いていたら、2枚目に入ってびっくり。2枚目の2曲目『シガレット・アンド・アルコール』のエンデイングは『胸いっぱいの愛を』に突入してしまう。さらにはカヴァーでニール・ヤングのパンク・ロックへのアンサー・ソング『ヘイ・ヘイ、マイ・マイ』。締めはビートルズの『ヘルタースケルター』。まったく、最近のロック事情に疎いと、これだ。もちろん、カヴァー以外の曲も気に入ってしまった。

        オアシスのホームページを見てみると、何とブラック・クロウズとジョイントでツアーするというではないか! ジミー・ページとツアーしてたブラック・クロウズとだぜ! こいつら絶対に途中でツェッペリン大会に突入するのは目に見えているではないか! 日本には来ないんだろうなあ。口惜しいなあ。

        さあて、『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のビデオと、オアシスの他のCD。今週末は忙しいぞお!


Merch.10,2001 ドイツ語のブルース

        6年前にベルリンへ行ったときに偶然に、Cadillac Blues Band なるドイツのブルース・バンドの存在を知り、そのとき[タワーレコード]で彼らのCDを手に入るだけ買ってきた。その後にもベルリン在住の友人に新しいのが出たら送ってくれと頼んでおいたら、何枚か届き、そのことは以前に二回ほど書いた。

        ドイツにはまだまだたくさんのブルース・バンドが存在するのが最近分かってきたのだが、私はちょっと不満に思っていた。というのも、これらのバンドは全て英語で歌っているということに尽きる。私はぜひとも、ドイツ語で歌われたブルースを聴きたかったのだ。日本でも今ではたくさんのブルース・バンドが日本語の歌詞に乗せてブルースを歌っている。ドイツ人はなぜ自国語でブルースを歌わないんだろう。そう思っていたら、何とドイツ語でブルースを演っている人がいるという連絡をもらった。それそれ! 私はそれが聴きたかったの!

        さっそく、CDを取り寄せてもらう。

        Jürgen Kerth 『best of Blues』 いかにもドイツ人らしい男がジャケットに写っている。ドイツのCDショップのシステムは必ず試聴ができるようになっている。確かにドイツ語でブルースを歌っていたというから、安心して、しかもワクワクしながらCDプレイヤーにセットする(正直いうとパソコン。最近、CDを聴くのはパソコンを使っているときだけ)。

        ギターのイントロから曲が始まって・・・、おおっ! で、出たあ! ドイツ語だあ、本当にドイツ語でブルースを歌っている!(そんなに驚くこともないか) 正直言いますと、最初はちょっと、のけぞっちゃいましたね。ドイツ語の硬い語感がブルースとしては異質のような気がした。以前、FMで韓国のロックを紹介していたのを聴いた経験がありますが、中で韓国語のブルース・ロックを流していた。あのときも最初は違和感を覚えましたが、不思議なもので、ドイツ語でも韓国語でも聴き続けていると、そんなにヘンではなくなってくる。ドイツ語も韓国語も、どちらかというとキツイ語感がするものでしょ。それがねえ、いいんですよ。ブルースの搾り出すような歌の雰囲気に合っている。

        日本ではもうかなり前から、日本語でブルースを歌うことには慣れているけれど、さあて、他の国の言葉で歌われるブルースをもっと聴いてみたくなってきた。フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語・・・。きっと演っている人っているんだろうなあ。タモリとかが演ってくれないかなあ、メチャクチャでいいから、各国語のブルースって。

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