July.25,2001 なぜ、こんなサントラを買ったかというと

        他のことを忘れて音楽だけを聴いているなんていう時間は、もうまったく取れなくなってきてしまった。音楽を聴くのは、毎朝1時間、このホームページを作るためにパソコンに向かっているときだけ。耳は音楽に傾けていても、頭は文章を考えているからちょっと複雑なことを書こうとすると、音楽なんて鳴ってないのと同じ。その割にはロクでもない文章ばかりだと言われてしまいそうなのだが・・・。

        この部屋には、CDがラックの中にギッシリ。ざっと400枚くらいあるだろうか? これらは割とよく聴くCDで、その日の気分で、とっかえひっかえよくBGMとして利用している。問題は、なぜかあまり聴かなくなってしまったCDで、これは押入れの中に段ボールに詰めて放りこんだままになっている。その数は結構膨大なものがあって、ちょっと数を数える気にもならない。ただ、ときたま、どうしても必要に迫られて押入れの段ボールを開けて、何枚かのCDを取り出すという作業をすることになる。約10個の段ボールの中から目的のものを抜き出すのは、大仕事となる。

        そんなとき、「あれっ? なんで私はこんなCDを買ったんだろう?」というものに出くわすことがある。先日もこんなものを見つけて、しばらく考え込んでしまった。

        スティーヴン・セガール主演の『暴走特急』のサントラ盤である。もともとあまりサントラ盤を買うほうではない。音楽ものの映画ならまだしも、アクション映画。しかも、つねにB級のイメージが付きまとっているスティーヴン・セガールのものだ。

        『暴走特急』の原題は、『Under Siege 2 Dark Territory』という。[2]となっていることからおわかりのように、これは続編である。何の続編かというと、一作目は『沈黙の艦隊』。あの元海兵隊員のコックが大活躍する、公開当時、海の『ダイ・ハード』として注目された話題作だった。ちょっとしたヒットとなったこの映画のオコボレをあずかろうとしたのだろう。次に公開されたセガールの映画には、『沈黙の要塞』とつけたものだから話がややこしくなってしまった。あたかも続編のように思える『要塞』は、まったく別の話。そこへ、『沈黙の艦隊』の正式んな続編が作られてしまったから、配給会社も慌てたろう。今度は[沈黙]というタイトルを入れずに『暴走特急』ときた。

        その後、今度はセガールは『沈黙の艦隊』の続編を作ろうとはせず、配給会社は、また開き直ったかのように、セガールの作品に[沈黙]をつけ始める。『沈黙の断崖』 『沈黙の陰謀』 そして『沈黙のテロリスト』。

        ええっと、話が逸れてきてしまった。『暴走特急』のサントラの話だった。何で買ったのだか思い出せず、プレイヤーに入れてみました。ベイジル・ポールドゥリスの、いかにも勇壮なテーマ・ミュージックが続いていく。「あれえ? 別にサントラ買うほどの曲じやないけどなあ」と思っているうちに、最後のトラック。静かなストリングスが、いかにも映画の終りを告げているようだ。そこへ、ギターの音色と共に男性ヴォーカルが入ってくる。「あれっ? なんだかソウルっぽい歌だぞ?」と思った瞬間に、このサントラを買った理由を思い出した。

        クレジット・タイトルが流れる中、流れていたこの曲は、『After the Train Has Gone』と名付けられた曲で、何と、スティーヴン・セガール作詞作曲。しかもご本人が歌っているソウル・ナンバーという珍品だった。静かに歌い上げるようなイントロから一転、バックの音も厚くなり、女性ヴォーカルまで入ってきて盛りあがる、かなり出来のいいソウルなのである。

        それにしても、スティーヴン・セガールが、自作自演するほどのソウル・ファンだとは知らなかった。どうもセガールの映画って見る気にならないのだが、ひょっとして、他の作品でも、こっそり歌っているのだろうか? 

このコーナーの表紙に戻る

ふりだしに戻る