January.27,2003 一目惚れの時期

        TWINSとショーン・ユーで、イップ・カムハン監督が撮った『一碌蔗』のことは、『風雲電影院』の今月のところに書いた。この映画の英語のタイトルは『Just One Look』 日本語に訳せば[ひとめぼれ] 米の銘柄じゃないよ。映画自体、青春期の男女を描いたものだから、いいタイトルだなあと思う。中国語のタイトルの[蔗]という字は、[しょ]あるいは[しゃ]と読むが、単に[しょ][しゃ]と入力してもパソコンでは出てこない。[しょとう]と入力すると[蔗糖]という選択が現れるから、ここから取ってくるしかない。で、[蔗糖]とは何かというと、サトウキビから採った砂糖のこと。映画の中で主人公の青年が映画館の前で売っているのがサトウキビだったから、こんなタイトルになったのだろう。

        Just One Look といタイトルを見て、私が思い出したのはリンダ・ロンシュタットの歌う『ジャスト・ワン・ルック』。元はドリス・トロイやらホリーズが取り上げているが、私にとっての『ジャスト・ワン・ルック』はどうしてもリンダ・ロンシュタット。リンダ・ロンシュタットによるカヴァーは1978年の『Living in U.S.A.』(日本版タイトル『ミス・アメリカ』)に収められていた。        

        当時、洋楽のかわい子チャン歌手といったら、オリビア・ニュートンジョンかリンダ・ロンシュタットかという時代だったと思う。私は断然リンダ・ロンシュタット派。1978年というと、彼女は1946年生まれだというから32歳のときのもの。いいかげんにいい歳をした年齢だったし、私も20代の後半に突入していた。それでも、ショート・パンツにローラースケートを履いた彼女の姿は眩しかった。そんな彼女が『ジャスト・ワン・ルック』を歌う。

♪ひと目見ただけで
 私はすっかり
 あなたに恋してしまったの
 あー、あー、あー

        この、「あー、あー、あー」というため息ともとれるフレーズが何回も繰り返されるのがこの曲の切ないところ。青春期に、一目惚れしてしまった異性のことを思い、ため息をついていた経験なんて誰でもあるはず。私もさすがにリンダ・ロンシュタットのこの曲に出会ったときは、一目惚れなんて季節は通りすぎていたが、よく夜になるとヘッドホンでこの曲を聴きながら眠りについたものだった。妙に甘酸っぱい気持ちにさせてくれる名曲だと思う。

        ひょっとして、『一碌蔗』の中でこの曲がかかるんではないかと期待したのだが、なぜか『小さな恋のメロディ』をTWINSがカヴァーしたものが挿入歌として流されていた。

        それにしても、一目惚れなんてしていた時期が人生の中で一番良かったのだろうなあ。ルックスと性格なんて別ものなんだということがわかってくるにつれ、用心深くなっていってしまうってことあるじゃないですか。

        今、リンダ・ロンシュタットの歌声をまた聴いていたら、青春時代のあれやこれやを思い出してしまった。


January.9,2003 ようやくめぐりあった、ある曲

        海外、日本問わず、最近のロックには着いて行けないオジサンとなってしまった私が、CDシッョプで手にしてしまうのはやっぱり昔のロック。こんなことではいけない、常に転がる石でいないとコケが生えてくるとは思うのだが、これはやっぱり歳を取ったということなんでしょうか?

        そんなオジサンを相手にした企画なのだろうが、最近は70年代のロックを再発売する動きがある。『J−Rock Classic』という2枚のCDも、そんな一環で出したらしいCD。

        そっくりなレイアウトの2枚なのだが、発売元が違う。『Head Rock』の方はポニー・キャニオン。『Heart Rock』の方はユニバーサル。I−modeの『とくするメニュー』のアンケート調査を実施、[あなたが聴きたい“懐かしのロック・チューン”]というリクエストから厳選された70年代J−Rockコンピュレーションなんだそうだ。

『Head Rock』
01.SPINNING TOE−HOLD/クリエイション
02.HEART ON FIRE/VOW WOW
03.SMOKY/Char
04.レモンティー/サンハウス
05.スウィート・ホーム大阪/ファニー・カンパニー
06.一触即発/四人囃子
07.Double Dealing Woman/紫
08.雨上がりの夜空に/RCサクセション
09.タイムマシンにおねがい/サディスティック・ミカ・バンド
10.MAKE UP/フラワー・トラベリン・バンド
11.香り/外道
12.SHININ`YOU,SHININ`DAY/Char
13.SPANISH SOUL/PRISM
14.ハレソラ/四人囃子

『Heart Rock』
01.スロー・バラード
02.LOVE ME
03.NAVY BLUE
04.なやむことは/TENSAW
05.私は風/カルメン・マキ&オズ
06.最後の夜汽車/甲斐バンド
07.メリー・ジェーン/つのだ☆ひろ
08.月のあかり/桑名正博
09.たとえばこんなラヴ・ソング/RCサクセション
10.一人/ディーブ・平尾
11.あの空の果てまで/子供バンド
12.ヴァイオレット・ストーム/四人囃子

        どうやら、発売元は違うけれども、権利関係を一緒にしてしまって、『Head Rock』にはアップ・テンポのもの、『Heart Rock』の方にはバラード調のものというように分けて収録したらしい。ほとんどが知っている曲ばかりで、やっぱり自分は70年代をロックしていたオジサンなんだなあと思うのだが、いくつか「おや? こんな曲あったっけ?」と思うのが混じっている。

        ディーヴ・平尾の『一人』というタイトルを見て、「なんだ、これ?」と思ったのも、そのひとつだったが、聴いてみて驚いてしまった。これは私が長い間捜していた曲だったのだ。テレビドラマ『傷だらけの天使』の最終回だった。それまで主題歌というものが無かったこのシリーズに、途中で装入歌が入った。たしか修(ショーケン)が亨(水谷豊)の死体を棄てに行くのだと記憶している。そこに、この曲がかかっていたのだ。

♪tu tu tu tu 誰も
 tu tu tu tu いない
 一人だけでただ歩く

         この印象的な曲は、『傷だらけの天使』を思い出すときには必ず、私の頭の中で鳴っていたものだったが、誰が歌っているのかわからなかったのだ。それにしても、ディーブ・平尾って何者なんだろう。この歌手の名前も今回初めて知った。

ディーブ平尾に関する書き込み、ありがとうございます。

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