August.18,2007 ギターが泣く、そして蝉も鳴く
7月22日 Japan Blues & Soul Carnival ’07 (日比谷野外音楽堂)
ブルース・カーニバルから、ソウルまで加えたイベントに変身し、さらに5月から7月へ移行。野外というと気になるのが天気。雨が気になる。それでも5月の雨に較べれば7月は降られても寒くないだけましか。でもねえ〜、7月も22日ってえと、梅雨明け直前なのよ。雨である確率が高い。今年も当日は雨という予想が一週間前の天気予報から報じられていて、「まっ、そのうち予報なんて覆るさ」程度のことを考えていたのだが、開催日が近づいても一向に雨の予想は変わらない。前日の予報でも、朝方で一旦止み、また午後から降り出すとのこと。もう覚悟するっきゃないかと、カッパをカバンに入れて出発。
会場に着くまでに、いろいろと銀座で買物などをしてしまったものだから、野音の席に着いたのが開演時間ギリギリ。後藤ゆうぞうのハーモニカが高らかに響いている。慌てて指定された席へ。司会進行の後藤ゆうぞうとカメリアマキが客席から現れる。後藤ゆうぞうは紺の浴衣にハンティング帽。カメリアマキは今年はノースリーブのワンピース。それにしても暑いなあ。蝉の鳴き声も全開だ。
トップはマダムギター長見順のスリーピース・ユニット[パンチの効いたブルース]。真っ赤なワンピース姿のGraceのドラムスが『We Will Rock You』のリズムを叩き出すと、かわいしのぶベースが絡み、長見順のギターが唸る。と、なにが始まるのかと思いきや、これは八代亜紀の『舟歌』! うう〜ん、演歌は日本のブルースなのさとばかりの、いきなりの熱演だ。かわいしのぶのベースも、Graceのドラムスも音がでかい! そして迫力十分。それにしても3人とも化粧がケバい! 途中、『I Love Rock’n Roll』が入る。おお、長見順は日本のJoan Jettか! インストを挟んで『加藤さんのテーマ』 『OYAZI2007』
二番手が吾妻光良&Swinging Boppers。いつものオープニングインスト『Things Ain’t What They Used To Be』でソロを回したあとに、吾妻光良登場! 曲は『T−Town Blues』に移行する。『Walk That Mess』を快調に飛ばしながら、日本語歌詞をつけた『Go,Go,Go』。いつもと歌詞の地名がちょっと違うのね。都心バージョンだとか。吾妻光良のトークも楽しく新曲。なんとビギン! 「イメージとしてはテキサスにいたブルースマンがちょっとベネズエラに行ってしまったみたいな」イメージというのだが、この曲『顔の皴』。歳を取ったという歌なのだが、みればSwinging Boppersのメンバーもみんな50歳前後。顔の皴だけじゃなく髪も白い人が目立つ。でもみなさんいい具合に歳を重ねてきたなあという印象。私も同世代だけどね。続く『やっぱり肉を喰おう』 『150〜300』と健康問題と三部作!(笑)。ラストナンバーは『秋葉原』。こちらも歌詞が無線屋さんから携帯屋さんに変わるなど工夫あり。
三番手、Lurrie Bell’s Chicago Blues Band。ブルース・ハープのCarey Bellの息子、ルリー(ローリー)のギターが聴けるバンドだ。このバンドにはもうひとりギタリストがいて、その名もEddie Taylor Jr. かの名ギタリストの息子さんだ。上手いです2人とも。ギターも歌も。『5 Long Years』 『Woke Up This Mornin’』 『Got My Mojo Workin’』といったスタンダード中心の構成。ルリーは張りのある歌声で歌い上げるタイプ。その顔に表情が乏しいのが写真を撮っている宇多村さんの悩みになりそうだが、ブルースへの思い入れを顔に引き締めて歌ったりギターを弾いたりしている感じ。なんつーか、前向きのブルースって印象を受けました。でもねえ、客をにらめつけるようなの表情に見えてしまうのはマイナスかも。少しは笑えよ(笑い)。一方のエディは常に下を向いてギターを弾いている。声はルリーに較べると優しい感じ。ベースはレゲエ・スタイルのお兄ちゃん。このベースがなんだかモソモソとしていて私にはイライラの種。そしてまったく私の趣味に合わないのがドラムス。スネアをミュートしているんだろうか? やたらと耳障りなのだ。いかにもという三連の入れ方がまたイヤで、う〜ん、どうもどうもいうバックでしたね、私にゃ。
恒例、後藤ゆうぞうとカメリアマキのブルース・クイズに続いて、トリはKoko Taylor & Her Blues Machine。バックはギター2、ピアノ、ベース、ドラムスという構成。こちらはルリーのバンドに較べるとはるかに強力。迫力あるベースにドラムス。よく撥ねるピアノ。そしてVino Loudenと、Shun Kikutaのギター! バンドが2曲ほど演って、Kokoの登場。ステージ前までは車椅子だったらしいが、シャキッとして現れる。『Let The Good Times Roll』からスタート。圧巻は『I’m a Man』ならぬ『I’m a Woman』。スキャットの歌い出しから、搾り出すように声を出していく。それに2本のギターがからむ。79歳とはとても思えない声量! 圧倒されましたわ!
アンコールは、これまた恒例。出演者総登場で『Sweet Home Chicago』。日比谷の夜空へ響き渡ったのでありました。結局、心配された雨も降らず、夕方からは涼しい風を吹いてきて、楽しいブルース日和の一日でしたよ。
宇多村さんは全バンドからの撮影許可を得て、撮影しました。ネットを見ていますと無許可で携帯電話のカメラで撮影したこの日の写真がアップされているサイトがありますが、こちらは完全合法です。では、写真の方もご覧くださいますように。