Everyday I Have The Blues

鈴木ヒロ・ソロライヴ Blues In The Afternoon

2012年11月11日
水道橋 ふらっとんTimes

 Utamさんプロデュースの、翁ミュージックMusicProjectの二回目。

 今回のスタッフ五人、水道橋でお昼に待ち合わせる。曇り空で、夜には雨になるとの予報だが、ライヴハウスなら問題ない。
 私の店で翁庵寄席をやっていときは、店内のテーブルを外に出したりしなければならず、テーブルが雨に濡れるのが心配だったりしたっけ。それに最後には、そばも出したから、高座を片づけて、テーブルを元に戻す間、お客さんには雨の中、一旦外に出て、お待ちいただかなければならなかった。雨には本当に困った。

 水道橋の居酒屋のランチメニューで海鮮丼を食べて腹ごしらえ。

 会場になる、ふらっとんTimesに到着してみると、すでに鈴木ヒロさんは、サウンドチェックを開始していた。ヒロさん、店長さんと挨拶。「本日はよろしくお願いしまーす!」

 何しろ今回はライヴハウスを使っての会だから、準備もあまりやることが無い。舞台のセッティングは出来ているし、客席の椅子もすでに並んでいる。音響も照明も店の人まかせ。

 受付などの打ち合わせを終えてしまうと、正直、やることがない。

 サウンドチェックは、お店の人とヒロさんで着々と進んでいる。やっぱりプロにこういう事を任せると違う。

 今回の企画は、ニューヨーク在住のブルース・ミュージシャン、鈴木ヒロさんの一時帰国に合わせて、翁MusicProjectでもライヴをお願いしたもの。当初はアコースティックでソロという予定だったが、交渉が進むにつれて、誰かギタリストをひとり呼んで、ギター・デュオのコーナーも作ろうということになった。誰を呼ぶかということはヒロさんが内々で進め、はて、いったい誰になるのかは蓋を開けてみなければわからない。
 当日が近づくにつれ、Utamさんから「どうも高橋マコトらしい」と聞かされてびっくり。高橋マコトといえば、もんた&ブラザースでギターを弾いていた人で、最近では元ダウンタウン・ブギウギ・バンドの新井武士とデュオをやっている。「へえー」と思っていたが、途中からサウンド・チェックに現れた高橋マコトさんを見て改めてびっくり。ホントに高橋マコトだ!
 しかもいつの間にやら話が大きくなっていて、第二セットは、ベース、ドラムス、キーボードが入るという。こりゃ凄いや!

 14時、開場。お客様が続々と入場。なにしろ入口が狭い上に、お店の人がドリンクの注文を取っているので、下手に入口付近にいると邪魔になりかねない。私の仕事無いじゃん。

 14時45分。定刻スタート。

 ヒロさん、久し振りの日本にちょっとびっくりしたよう。「何もかも、ちゃんとしている国だと思いましたよ。今朝も救急車がサイレンを鳴らしながら走ってまして、『右に回ります』とか『前のクルマ、左に寄せてください』とかスピーカーで言ってる。前のクルマが避けてくれると、『ありがとうござます』って、こんな礼儀正しい緊急車両、ニューヨークではありえません。『どけー! 右に曲がるぞー!』って走って行きますから」

 まずは、スタンダードなブルース、ロッド・スチュワートというかボビー・ブランドのit's Not The Spotlight,、さらにはカントリーまで一気に三曲弾き語り。ブルースはもちろんだが、どんな曲を演らせてもギターのセンスがいい。さすがだね。

 四曲目でさっそく高橋マコトが入ってデュオに。「音楽はひとりで演っても楽しいけれど、誰かと一緒にやるともっと楽しい」とのヒロさんの言葉どおり、ふたりになると足し算ではなく掛け算になるのが音楽の面白いところ。ふたりの息はぴったり。たいしてリハーサルをしたわけでもないのに、ふたりのギターの掛け合いは楽しくスリリング。ジャズのような乗りの曲やら、どこか憂歌団を思わせる曲。オリジナルからスタンダードまで。楽しいったらない。

 途中、飛び入りで『忍たま乱太郎』の主題歌でお馴染みの船木真弓がゲストに入ってCan't Find My Way Home。こういう曲は高音の伸びのある人が入ると素敵だね。

 あっという間に第一セットが終り、バンドの準備が出来たところで第二セット。鈴木ヒロに加えて、ベースに渡辺茂、ドラムス石川雅春、キーボード須川光。すごい顔付けじゃないの! こちらはほとんど打ち合わせ無しらしいのだが、鈴木ヒロが「次は、Gのシャッフルで」とか「ミディアム・テンポのEのブルース」とか言ってギターを弾き始めると、いつしかあとの三人が入ってくるといった具合。それが見事に進行していくのだから、プロというのは恐るべし。

 途中、高橋マコトも戻ってきて、熱いステージになる。ヒロさん嬉しそうな顔で「おもちゃ箱をひっくり返したようなセッションだね!」 そこで高橋マコトが突然「オレ、歌っちゃっていいかな?」 「もちろん!」 何が始まるのかと思ったら、高橋さん「先月、私の母が他界しまして。アハハハハ。90歳でした。ハハハ」とあくまで笑顔を浮かべながら言うのだ。「笑って歌うような曲ではありませんが」と、三つのコードを指定して歌いだしたのがKnockin' On Heaven's Door。
 歌い終えて笑顔で楽屋に引き上げていった。そのあとのヒロさんの話がまたよかった。アメリカであるブルースミュージシャンの葬式に出席したら、それはパブティスト協会の葬式。歌や踊りで楽しく使者を天国に送ってあげようという会派。自分も天寿を全うできたら、そうして送り出されるのもいいのでないかと。落語家さんの葬式は暗くないするのが恒例だが、私もそういう葬式の方がいいなぁ。

 最後は、英語を日本語にして歌うといかがわしい曲 I Just Wanna Make Love To You なんかも飛び出すが、須川光のエレガントなキーボードを聴いていると、とてもそんな内容とは思えないよ。

 「また来年、飛行機のチケット代が一番安いこの時期に戻ってきます」と鈴木ヒロ。

 楽しいライヴで、スタッフのひとりだということを忘れて楽しんでしまった。

 ライヴハウスなら、片づけもほとんど無い。明日の朝の飛行機でニューヨークへ帰るという鈴木ヒロさんに、再会を約束して、スタッフだけでイタリアン・レストランでウチアゲ。

 外は予報どおり雨。そういえば、今年の春の一回目のときも雨だった。ブルースに雨ってのも、またいいかもね。

11月12日記

静かなお喋り 11月11日

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