January.30,2000 穴子のにぎり寿司

        Tavernの方で、安渕聖司が紹介していた『回転寿司占い』、もうやってみましたか? 12種類の寿司の皿の中から、食べる順に5種類の寿司を選ぶというもの。私、最初の一皿を選ぼうとして考えてしまった。これって、初めて入った店なのだろうか? それとも馴染みで何回か通った店なんだろうか? 初めて入った店ならば、私迷わず穴子ですね。

        その寿司屋の腕を知りたいなら、生のネタより、煮たり焼いたり蒸したり酢で〆たりと、何か加工したものを食べた方がいい。生そのままで出すものは、ほとんどネタの仕入れが勝負。あまり参考にならない。その点、穴子は店のレベルがはっきりする。まず、新鮮でないと臭みがでてしまう。煮かたが悪いとパサパサになってしまう。口の中でトロッと溶けてしまうような柔らかさに煮ることが出来ている店ならば文句ない。穴子の上に塗るツメとかニキリという甘いタレの味も勝負の分かれ目。

        そして、シャリ。私どちらかというと硬めに炊いたシャリが好きなのだが、硬めのシャリは握るのに技術がいる。ヘタな職人だと、食べようとすると崩壊してしまう。握られたシャリを見た時、米粒がひとつひとつが立っているのがいい。口の中で、一粒一粒が主張している。そんなのがベスト。握り難いからと柔らかく炊いてしまっている店があるが、食べると口の中でニチャニチャしちゃっておいしくない。

        穴子を食べてみて、旨くなかったら早々に切り上げて店を出る。「回転寿司なんだから、そんなことどうでもいいじゃないか」と言われそうだが、最近の回転寿司って、けっこうレベルの高いところがあるから、侮れない。じゃあ、馴染みの店だったら、最初に何を食べるだろう。う〜ん、迷うけどやっぱり穴子を食べちゃうかも知れない。そんな味の濃いものから食べるのは邪道だと言われてしまいそうだけど、穴子大好きだもの。

        ちなみに『回転寿司占い』では、最初の一皿目はその人の恋愛観を表しているそうで、それによるとこうなっていた。「1皿目に穴子を選んだあなたは、相手からの押しに弱い人。あまり好きでない相手でも強引にアプローチされると、その気になってしまうことがよくあります。さらに、いったん心に火がつくと我を忘れてしまいます」だって。嘘だあー! 違うと思うなあ。

        そう言えば、先日ラジオでやっていた心理テスト。「男の人は[猫]、女の人は[熊]をイメージして、それぞれの動物につける形容詞を三つ挙げよ」というもの。ふつう[猫]だったら、「可愛い」とか「いたずら好き」とか付けるんでしょうね。[熊]だったら、「力強い」とか「大きな」とか付けるんでしょう。なんとこれが、それぞれの理想の結婚相手なんだって。これも眉唾っぽくありませんか? [猫]なんて、うちに迷い込んできて、もう18年も居ついちゃっている老猫チェリーの性格をこっちは知り尽くしているから、[猫]といったら、「わがまま」「自分勝手」「うるさい」「狡猾」「強暴」「ぐうたら」「何もしない」「寝てばかり」といった形容しか浮かんでこない。これのどこが、理想の結婚相手だあー。


January.25,2000 ベーコン・エッグ定食

        毎月一回、大きな病院の皮膚科に通っていて、朝食を病院の近くで食べることになる。大抵、[らんぷ亭]で納豆定食を食べる。このことは、先月『蕎麦湯ブレイク』で書いた。今月の通院日も[らんぷ亭]に行ったのだが、いざ注文となって突然気が変わって、ベーコン・エッグ定食なるものを頼んでしまった。

        [らんぷ亭]のベーコン・エッグ定食は、このようなものである。ごはん、味噌汁、漬物、味付け海苔、そしてベーコンが埋め込まれている卵2つの目玉焼き。卵の中にベーコンを埋め込んじゃうって、日本だけかなあ。アメリカ映画などを見ると、ベーコンはベーコンで焼いて、卵はベーコンを取り出した後に焼いているようだけど。

        ベーコン・エッグとごはんという取り合わせって、けっこう奇妙ではないか。ベーコン・エッグときたら、当然パンでしょう。喫茶店のモーニング・サービスで、ベーコン・エッグ、トースト、コーヒーというセットはよくある。それでまあ、食べ初めて、ふと気がついてしまった。きれいにサニーサイド・アップにされた卵の黄身は、箸で突ついてみると、ちょうどいい半熟状態で実に旨かった。しかしだ、どろどろと流れだした黄身は、皿の上に溜まってしまう。これが、トーストでもあれば、この流れ出してしまった黄身をトーストに浸して食べるということができる。ごはんだと、こうはいかない。ごはんを皿に乗せて黄身をつけて食べようとすると、ごはんはボロボロに崩壊してしまう。皿を持って掻き込むという手はあるが、行儀よくない。ごはんも乗せないで、皿を持って、黄身をペロペロ舐めるという手もあるが、これじゃ、犬だ。

        鈴木英雄が、私に言ったことがある。「なあ、なんで丼なんかにするんだ? 料理をごはんの上に乗っける必要性がどこにある。料理は料理、ごはんはごはんで食べた方が、よっぽど旨いじゃないか。俺が丼として認めるのは、ごはんの上に乗せたことによって、違った美味しさが生れるものだけだね」。そうなのだよ。私もそう思う。

        ぶっかけ飯はやめようと決心している私だが、ここは、禁を破ることにした。これは、丼ものにした方が旨いという確信があった。ごはんの上に、ベーコン・エッグをスッと皿からずらして乗せた。上から醤油を少々。黄身をつぶす。上から味付け海苔をちぎってパラパラかける。これは正解だった。生卵をかけたたまごかけごはんより、ずっと旨い。白身の部分がいいおかずになり、黄身のドロッとしたところが醤油とよく合って、濃厚な旨さが口に広がった。

        [らんぷ亭]のテーブルには、2種類のドレッシングが置いてあって、ひょっとして醤油のかわりに、あれをベーコン・エッグ丼にかけても旨いんじゃないかと、帰りがけに考えたのだが、それはまた来月に病院へ行ったときに試してみよう。


January.21,2000 菓子パン

        「おい、お前らちょっとこっちに来て、俺の話を聞け。いつか言ってやろうと思っていたんだけど、今日という今日は、どうしても、お前らに言いたいことがあるんだ。そうだ、今やパン屋の棚の一番隅に追いやられてしまっている、菓子パン! お前らのことだ。なんということだ。デニッシュだのクロワッサンだのの、いつのまにか乱入してきた新興勢力に圧されて、今や、お前らの縄張りは乗っ取られたようなものじゃないか。隅の方で小さくなって、なんとか生き延びているけれど、もうお前らの運命は風前の灯火。見ろ、若い女子高生やOLなんて、お前らに見向きもしないだろう。情けないったらないぞ!」

        「俺だってな、お前らには散々お世話になったよ。それは感謝してるよ。中学生のときなんか、おふくろが弁当作る暇が無かったりすると、『パンでも買っていきな』って言われて、よく買ったよな。コーヒー牛乳と菓子パン。今から思えば、栄養学的にみて何という自殺的な食生活だったことか! 炭水化物と糖分の固まりじゃないか! 今の子を見ろ。肉や野菜をトッピングしたデニッシュ、物凄く旨そうで栄養的にも良さそうじゃないか! 中にはファースト・フード・ショップで、ハンバーガーとコーンポタージュってのもいるじゃないか! なんてオシャレなんだ」

        「おい、菓子パン、お前ら自分で自分が情けなくないか? 俺の方だって情けないぞ! 見ろ、今の子の体型。背が高くてカッコイイじゃないか。俺はついに170センチにもう少しで達しなかったぞ! 足だって短ーいっ! 短足だーっ! それもこれも、みんなお前らが悪ーいっ! 大体からしてだな、身体測定のときに、なんで座高なんて測る必要がある! 俺はいつも、この座高台なるものに座らされるのが嫌だった。『井上、座高たけーなー。短足ー。』とクラスの仲間に言われるのが屈辱だったんだぞー! くそーっ! それもこれもみんなお前らが悪ーいっ!」

        「だいたい菓子パンなんていう名称が怪しいじゃないか。お菓子なのかパンなのかはっきりしろ! おい、あんパン、ジャムパン、クリームパン! ちょっと前に出ろ! お前らの形のこと、推測でしかないが、何となく解る気がするぞ。当ててみようか。一番最初に出来たのが、あんパン、お前だろう。まあるい、一番基本的な形。そのうちに、漉し餡やら粒餡やら白餡やらうぐいす餡などを区別する為にトッピングにゴマなどを使い始めたんだろう。次に出来たのがジャムパン、お前だろう。あんこをパンに入れるなら、ジャムだっていいじゃないかって、安易な発想だなあ、もう! あんパンと区別をつけるために、そっちがまんまるなら、こっちは楕円にしようなんて思ったんだろう! 次がクリームパンだ。どうやって区別をつけようかって、なんだあの頭のシワシワわ! グローブみてえじゃないか! もう少しなんか工夫はなかったのかあ!!」

        「そうだ、もう少しでお前を忘れるところだった。チョコレート・コロネ! よりによって、なんだお前の形はーっ! 何もジャムパンやクリームパンのデザインが、いいかげんだったからといって、そこまで主張するか、普通。渦巻き状とはいったいどういう料簡だ。食べにくかったらないぞ。チョコレート部分が露呈してしまっているから、セロハンなんて貼っちゃって、そのセロハンをはがすとセロハンにチョコレートがくっ付いちゃっていて、我ながら情けないけど、そのちょこっとくっ付いたチョコレートを舐めなければいられなく・・・・、違ーうっ、ちょこっとチョコレートって、俺は駄洒落が言いたいんじゃなーい!!」

        「何の話をしていた。そうだ、チョコレート・コロネは食べにくいって話だーっ! チョコレート露出部分から食べていくと、最後にはチョコレートが無くなっちゃってパンの尻尾だけになってしまう。空しいたらないぞ。そんな話を友達にしたら、そいつは、チョコレート・コロネはこうやって食べるんだといって、尻尾の部分を千切って、チョコレートにつけて食べやがった。これはいいアイデアだと思って、俺もやってみたよ。最初のうちはよかったよ。でもな、そのうちにチョコレートが尻尾という蓋の役割をしていたものが無くなってしまったものだから、だらだらと下から流れ出してきてしまって、俺はパニックだったぞ。どんどん崩壊の進むチョコレート・コロネとの闘いが終わったあとは、ゼイゼイ息をついてしまった。手なんかチョコレートまみれ。洗えばいいのに、もったいないからって手をベロベロ舐めてしまっ―――、ああーっ! 思いだしたくもないぞ!!」

        「そうだそうだそうだ! 3色パン! 部活の帰りにな、松本くんと佐々木くんの3人で、『お腹すいたね』って話になって、みんなお金ないけど出し合って、3色パンを買ったんだった。クリームとジャムとチョコレートの3色パンで、同じ形のが三つくっ付いていて、どれがクリームなのかジャムなのかチョコレートなのか解らない。俺はできたらクリームがいいな、少なくともジャムは嫌だなと思っていたんだ。3人で千切って食べたのだけど、きっとそうだと思ったとおり、俺の引き当てたのはジャムだった。くそーっ、3色パン! 少なくとも、どれがどの味なのか印をつけろーっ!!!」

        「だいたいだなあ、菓子パ、あれ、元の字の大きさってどれだっけ。こうか? もうちょと小さかっ、これくらいか? これじゃあ小さすぎだよな。これだこれだ。くそーっ、やい[FrontPage Exepress]! お前使いにくいぞ! どうなっているんだ! 最初にホームページ作ろうと思ったときに、高い金出して、専用ソフト買うのは嫌だなと思ってたら、IE5には無料で作成ソフトが付いてるってんで、ケチってお前で始めちゃったんだ。そしたら何だ! あれは出来ません、これは出来ませんって。物凄く使いにくいぞ! 俺のページがこんななのも、みんなお前が悪ーいっ!」

      「それにだ、俺のパソコン! いったいどうなっているんだ!! どうしてフリーズばかりするんだ!! 週に3度はフリーズするじゃないか。特にインターネットに繋げようとする時に多ーいっ! 最初のころ、リセット・スイッチなんて知らなかったから、蓄電池が無くなるまで、3時間くらい何もできなかったんだ。それがある時生嶋猛が、『ノート型は裏をひっくり返せばリセット・スイッチが付いてるぜ』と言うものだから、『嘘でえー、俺のには、そんなもの付いてないもんね』と言ったら、『付いてるって、実は俺もノート型買って気が付いたのは、2年も経ってからだけどな』と言うので、家に帰って、パソコン買った時に付いてきた解説書よく読んでみたら、どさくさまぎれのようなところに、小さく出てやがった。ちくしょーっ! 富士通ーっ! それにマイクロソフトーっ! それもこれも総て、お前が悪ーいっ!」

       「ついでだから、言っちゃうけど、どうしてデフラグさせようとすると、いつまで経っても10%までしか進まない。どうなってんだーっ!! くそーっ、話に収集がつかなくなってきてしまったじゃないか。今日はこれからお昼にカツ丼30、天丼30の大口の出前が入ってるんだーっ! こんなことやってる場合じゃ無ーいっ! もう大幅に遅刻だーっ! どうするんだーっ!」

         「それもこれもみんな、お前が悪いぞ、菓子パン。少々強引だけど、話を戻ーすっ! こらあ、メロンパン! 隠れているんじゃなーい! こっちに出て来ーいっ! 一番怪しげなのは、お前だーっ! 俺が小さかった頃、おふくろが言ったよ。『けいじ、メロンは果物の王様なのよ。何よりもおいしいんだから』『ふーん、そうなのママ、それじゃあ、ぼくはこれからメロンパンをいつも食べるようにするね』って、くる日もくる日もメロンパンばかり食べていて、かき氷だって、氷メロンばっかり。氷イチゴや氷レモンを食べる奴はバカだと思っていた。それがだ、そのうちに素朴な疑問が湧いてきた。うちではメロンパンや氷メロンは食べるけれど、本物のメロンは食べたことがなかったという、当然といえば当然な疑問だった。今でも疑っているのだが、うちのおふくろ、あのころ本物のメロンなんて、食べた事なかったのではないだろうか? それにしてもメロンパン。お前、はっきり言って不味いよ! どこにメロンの味がする! 恥を知れ、恥をーっ!!!」

           「そうだ! 忘れるところだった! おーい、甘食! 『ドラゴン・クエスト』のスライムみたいな形したお前らだ! ふたつ並んで、ジッとこっちを見てるんじゃない! 確かにお前らは安かった。カステラみたいな味しやがって、だけど、みっしりと硬くて、喉につかえるぞー!! 何か飲み物がないと飲み込めねえじゃねえかー!!! ハアハアハア、疲れた。一服して、コーヒーでも入れて、ドーナツでも食べようか。あんドーナツなんてのもあったな。ふふふ、カレーパンも悪くない」


January.17,2000 四国のお寺で出た味噌汁

        ディスカバー・ジャパンなんていう言葉が流行していたときだ。あれ、国鉄がやったキャンペーンだっけ。アルバイトして稼いだ金に、親から上乗せしてもらって、生れて初めての一人旅に出た。大きなリュックサックを背負って、夜行列車に飛び乗った。行き先は、当時なんでそう決めたのか憶えていないのだが、四国へ行こうと思った。細かい旅程は決めておらず、金がなくなったら帰ろうと思っていた。

        宿も行き当たりばったり、なるべく安く泊まれるところを捜した。とは言っても、ユースホステルだけはどうも好きになれず、民宿やら国民宿舎を泊まり歩いていた。大歩危小歩危を観光していたときだった。雨が降ってきた。もう今日はあきらめて、早々と宿を決めることにした。駅の看板に、ちょっと丘を登ったところにあるお寺が、宿泊させてくれるとあった。私は迷わず、その丘を登った。寺に着いてみると、宿泊設備は改装中で泊めることは出来ないと言う。あきらめて引き帰えそうとしたら、せっかく雨の中登ってきてくれたのだからと、離れのお堂でよかったら泊まっていきなさいと言ってくれた。

        夕食は、山盛りのご飯一膳と、うどん、それに魚肉ソーセージ、蒲鉾、野菜の煮つけだったと思う。その夜は嵐だった。泊り客は私ひとり。テレビもラジオもあるわけがなく、夜遅くまで本を読んでいた。明日もあるからもう寝ようと思い、布団の中にもぐり込んだ。あらためて辺りを見まわした。裸電球ひとつのお堂、大きな仏像がこちらを見つめている。雨の打ちつける音、風のびゅーびゅー吹く音。そんな中でただひとり。急に恐くなってきた。その夜は、まんじりともせず朝を迎えた。朝になると、昨日の天気がウソのように晴れ渡っていた。

        歯を磨いて顔を洗うと、朝食が用意されていた。ご飯に海苔に卵、そして味噌汁。お寺らしい質素な朝食である。びっくりしたのは味噌汁が丼一杯あったこと。そしてその具が春菊のみであったこと。当時、私は春菊が嫌いだった。あの匂いは子供は嫌うものね。春菊が切らずに丸ごと入っている。思うにこの時である。私が春菊を食べられるようになったのは。大人になったのかなと感じた。

        食わず嫌いしていた春菊だが、この時初めて旨いと思った。それ以来、好きな味噌汁の具として春菊は、私のベスト3のひとつである。あとの二つは追々、書く事にしましょう。


January.13,2000 あたま

        築地場内市場にある[豊ちゃん]は、マスコミにたびたび取り上げられる有名な洋食屋だ。市場の中の飲食店は、ほとんどカウンターだけの店が多いが、[豊ちゃん]も同じ。16〜17人位しか入れないと思う。市場の朝は忙しい。のんびり食事している人を見かけるのは、寿司屋くらいのものだろう。みんな、急いでメシをかっこみ、また仕事に散って行く。[豊ちゃん]のお客も、慌しい客ばかり。だから、混んでいるようで、回転は速い。

        [豊ちゃん]を有名にしたのは、オムハヤシ。オムレツ・ライスに、ハヤシ・ライスのルーをかけたもので、確かにおいしい。最近は真似をする店も増え、あまり珍しい料理でもないが、マスコミに紹介され始めた当時は物珍しかった。築地市場の客は、ほとんど飲食店関係。ああしてくれ、こうしてくれという注文が多く、「オムレツにハヤシかけてよ」とか、「カレーかけてよ」の注文に答えているうちに、こういうメニューが加わったものらしい。ちなみに、[豊ちゃん]で「オムハヤシ」と言って注文する人は少ない。それは、この店に初めて来た客か、慣れてない客。どうも独特の符丁が店と客の間にあるらしく、確かなことは言えないが、おそらくオムハヤシは「オムのっけ」、ないしは「オムハヤのっけ」と言っているらしい。どうもオムハヤシは、「のっけ」というらしいと思い込んで、1度「のっけください」と言ってみたら、かつカレーが出てきた。知ったかぶりで注文するのは止めよう。

        実は[豊ちゃん]で一番人気のあるメニューは、あたまライスである。最初このメニューの文字を見たときは、ギョッとした。何だろう。魚の頭を煮たものだろうかと思った。やがて、客のほとんどがあたまライスを頼むので、正体が判明した。かつ丼のライスとかつ煮を別々にした、かつ煮ライスのことだった。

        そのうちに、妙な符丁を使う人がいるので、またまたビックリ。「あたま十文字」というのである。「んっ?」と思ったが、これはすぐに解った。かつは普通、縦に6〜7切れに切って出てくるが、これにさらに横にひとつ切れ目を入れてくれという注文だ。なるほど、これは食べやすい。大きなかつだと、一口では食べられないものね。私も店で自分用にカツ煮ライスを作るとき真似をして、よくやるようになった。そのうちに、私が考えだした方法。かつを6〜7切れどころか、キャベツの千切りを作るように、薄く切ってしまう。これでかつ煮を作るのだが、これが旨いんですよ。命名[あたま千切り]。う〜ん、あたま十文字にしても、あたま千切りにしても、なんだか自分の頭がこそばゆくなりませんか?


January.6,2000 お好み焼き風もち

        もうひとつ、簡単でおいしい、もちの食べ方を思い出した。

        まず、もちを小さく割る。コチンコチンになってしまった鏡もちの処分には、最適。粉々にしたらば、フライパンにゴマ油をひく。ゴマ油というところが重要。必ず、ゴマ油にしてください。粉々のもちを、この中に入れ、蓋をして弱火で焼く。しばらくすると、粉々だったもちが、柔らかくなって、くっつきだし、ちょっとしたお好み焼きかピザのようになる。皿にとり、上に大根おろしをたっぷり乗せ、醤油をかけて食べる。これも絶対おいしいから。嘘じゃないって。是非食べてみて。


January.1,2000 もちのベーコン巻き

        もう以前のように正月に、おもちを食べるという習慣も減ったようだ。せいぜい、元旦に雑煮を食べるくらいですか。私、もちを食べると便秘になりやすいので、普段は滅多に口にしないのだが、おもちは大好きであります。

        その昔、テレビの料理番組で見て覚えた、もち料理があって、それがとても旨いので、ご紹介したいと思う。作り方は簡単。切りもちにぐるりとベーコンを巻く。フライパンにサラダ油を少しひき、これを焼く。もちが柔らかくなると、ベーコンがもちにべっとりとくっつく。適当に時期に裏返す。もちが膨らんできたらば完成。ここが肝腎なのだが、これを辛し醤油で食べる。絶対おいしいから。

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