January.9,2002 新年早々、不愉快な映画

        1970年ごろに映画にどっぷりと浸かっていた者としては、当時のアメリカン・ニューシネマが自分の出発点のような気がしてならない。そんな中でも『明日に向かって撃て』と『俺たちに明日はない』はどちらもアメリカの古き時代の銀行強盗の話。悪いことではあるが、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、あるいはウォーレン・ビューティ、マイケル・J・ポラード、フェイ・ダナウェイの姿にうっとりと、そして痛快さを覚えていたものだった。銀行強盗の話でありながら、アウトローの青春映画として深く心の中に生き続けている

        あるいはフランス映画、ロベール・アンリコのご存知『冒険者たち』である。こちらは銀行強盗ではないが、宝捜しの話。こちらもどちらかというとアウトローたちの青春映画である。そしてこれらに共通するのは、男ふたり、女ひとりという図式の三角関係ならぬトライアングル・ラヴが見え隠れしていることにある。アメリカの2本は、露骨に3人の関係を描くことを避けていたが、こと『冒険者たち』に至っては、3人の誰が欠けても成立しない世界が描かれていた。アラン・ドロンとリノ・バンチェラは深い友情で結ばれていたし、ジョアンナ・シムカスはアラン・ドロンともリノ・バンチェラとも一緒だった。リノ・バンチェラのことを好きだと告白したとしても、やはりそれはアラン・ドロンとも一緒に生活することを意味していただろうに。

        なぜ突然こんなことを持ち出してきたのかというと、『バンディッツ』という嫌な映画を見てしまったからで、これは私には妙に汚らしい映画だという印象しか持てなかったからだ。ブルース・ウィリスとビリー・ボブ・ソーントンは、刑務所から脱走する。ふたりとももう40代の中年男。青春というにはトウが経ちすぎている。もう分別がついていなければいけない年齢。脱走してからも、勝手気ままに余所の家に侵入するはクルマや物を盗むは、果ては銀行強盗だ。どうにもこのふたりに感情移入なんてできない。

        そしてふたりの中に入ってくる女、ケイト・ブランシェットの存在である。夫に冷たくされたからというだけの理由で家を出て、偶然にふたりの男の生活に入ってくる。お気楽なもんだ。最初はブルース・ウィリスと、後にはビリー・ボブ・ソーントンとデキちまう。しかも、こいつが実に騒々しい女で、いったい誰がこんな女を好きになるのかといった塩梅。イライラして見ていると、これがまた三角関係ならぬトライアングル・ラヴに発展してしまって、誰がひとり欠けてもならないという関係になっていく。「勝手にしろよ」と思っていると、いよいよクライマックス。時制をバラバラにして、クライマックスのシーンのサワリを冒頭で出しているから、ようやくここで、ふたりが銀行強盗に失敗して警察に囲まれ、銀行で立ち往生した過程がわかる。絶対絶命の状態だということになると最初からわかっているのだが、もうマスコミが先行して、どんでん返しがあるなんて書くものだからラストがわかっちゃう。ははあ、これは『スティング』じゃないかとすぐに見当がつく。ああ、いやだいやだ。

        ラストは華々しく死んで欲しかったな、こんな薄汚い3人には。


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