May.14,2004 ロック版『サウンド・オブ・ミュージック』

        ゴールデンウイーク最終日。今年はほとんど家でパソコンを前にひきこもり生活をしていたから、最後の夜はスカッとしたいと思った。『キル・ビルVol.2』をもう一度観に行くというプランが頭にひらめいたが、もう一本どうても気になる映画がある。『スクール・オブ・ロック』だ。

        デューイ・フィン(ジッャク・ブラック)は、売れないロック・ミュージシャン。友人夫婦の家に居候している身の上。家賃を払えという催促まで受けている。そんなときに自分が所属しているロック・バンドも首になってしまう。ある日、ひょんなことから小学校の非常勤教師の職に資格もないのに潜り込むことに成功する。もとから、教師なんてやったことがないから、一日中生徒には自習させて時間を潰している。ところが、生徒が音楽の時間にクラシック音楽を演奏している姿を観て、この生徒たちとバンドを作ってコンテストに参加することを思い立つ・・・。

        かなり強引で無理のあるストーリー展開なのだが、この映画、そんな欠点を超越する面白さがある。ロックなんて知らない優等生の小学生にロックを教えていく過程が描かれていくのだが、それが上手いのだ。私は観ていてミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』を思い出していた。

        ジュリー・アンドリュースが『ドレミの歌』で、歌の楽しさを子供たちに教えるシーンがあるが、あの時以来の興奮を覚えた。生徒に楽器を割り当て、ロックのフレーズを教えるところがまずワクワクするところ。次に曲を作っていく過程が面白い。生徒に、不満に思っていることをひとりひとり聞き出し、それを歌詞にしてロックのリズムに乗せてメロディー・ラインを作っていく。ロックとは不満を吐き出す音楽であり、体勢への反抗であることを教えていくデューイの姿は、笑えると同時に爽快でもある。

        ロック・バンド・コンテスト決勝がクライマックスになっていて、かなり嘘っぽかったり、「それはないだろう!」と突っ込みを入れたくなる無理は承知の上でも、やはりこのシーンはワクワクさせられた。

        あらゆる無理さ加減とかを、どうでもいいと思わせるのは、何と言ってもラスト。コンテスト会場のシーンで大団円になってから、クレジット・タイトルが出て行く中、映像は少年たちとジャック・ブラックのジャム・セッション・シーンになる。これがあるだけでもこの映画は及第点。少年たちは、弾くマネをしているのではなく、実際にちゃんと弾いているのだ。小学生でこれだけのことが出来るというのが驚きであるのと同時に、みんなロックを楽しんでいるのが伝わってくる。これは、席を立てないではないか!!

        帰りがけにパンフレットを買った(600円)ら、これがまたうれしい出来のパンフだった。明らかに『Rolling Stone』誌の表紙をマネているのだ。



        それだけではない。中を開くとレイアウトまで、全ページ『Rolling Stone』そのまま! 思わずニヤリとしてしまった。

        映画の中でデューイが言う台詞「One great rock show could change the world」は、オーバーだとしても、確実に優等生学校の小学生の心を変えたことは確かだと思う。


May.4,2004 楽しさてんこ盛り『キル・ビルVol.2』鑑賞

        映画のあらゆるジャンルてんこ盛り的映画だった『キル・ビルVol.1』。当然、『Vol.2』にも期待がかかる。初日に行こうと思っていたら都合がつかず、2日目の夕方に映画館の前に行ったら、「お立見です」の表示。ライヴなどでのオールスタンディングは苦にならなくなってきたが、やっぱり映画は座って観たい。しかも2時間半近くある映画だ。立見は辛い。

        そうこうするうちに、新聞広告を見たら、「5月3日劇場プレゼント『キル・ビル解剖DVD』を先着10000様に!」とあるではないか。これで私の腹は決まった。『キル・ビルVol.2』を観るのは5月3日の初回に決定!

        5月3日、丸の内ピカデリー1の前に午前10時到着。ちょうど入場が始まったところ。それほどの列ではない。最後尾について入場。余裕でDVDゲット。

        何か飲み物でも買ってこようと売店へ。『ミスティック・リバー』でティム・ロビンスがスプライトを飲みたがるシーンがあって、あのとき猛烈にスプライトが飲みたくなったのだけど、最近街であまりスプライトを見かけなくなった。それが、映画館の売店にはちゃんとスプライトがあるのだよ。灯台元暗しとはこのこと。あのとき、売店に行けば売ってたんだろうなあ。で、うれしくなってLサイズを注文。そしたら、このドリンク容器がこれまた気が利いているの。なんと、『キル・ビルVol.2』仕様なのよ。



        ねっ! 裏と表があったから二枚撮りました。ちなみに右のはフラッシュを使うとユマ・サーマンの顔が消えてしまうので、フラッシュを使わなかったので二枚の写真のトーンが変わってしまいました。

        しかも、飲み物を買ったら、『キル・ビルVol.2』ステッカーをプレゼント!



        もう、至れり尽くせりじゃないですか!!

        で、Vol.2だけで上映時間138分の大サービス。今回はマカロニ・ウエスタン・テイストに香港カンフー映画テイストを加え、さらにはホラー映画要素まで入っている。そんでもってラストは感動・・・・・って、タランティーノは一本で何本もの映画を楽しませてくれる。それでいて、日本刀へのこだわりは最後まで続いているという、日本人にとってはこんなにうれしい映画も、そう無い。

        それほど映画好きじゃない人でも十分に楽しめるように作ってあって、それでいて、今まで映画を浴びるように観てきた人、いや、それ以上に70年代のポップス、コミックなどにも接してきた者には、たまらない楽しさに満ちている。

        サブタイトルの『ザ・ラブ・ストーリー』というのは、見終わってみると「やられた!」という感じ。確かにラブ・ストーリーには違いないんだけどさ。

        最後まで席を立たない方がいいとのご忠告ではありましたが、驚いたことにVol.1に続いて、クレジット・タイトルの間中ほとんどの人が席を立たない。Vol.1だったら、予告編があるかもと席を立たない人があってもいい雰囲気だったのだが、今回も席を立たない。梶芽衣子の『怨み節』を聴いて、それでも立たない。今回はご丁寧にも、歌詞がスーパーで出る始末。なんつーか、それ以上に、席を立ちたくない、この楽しさを最後の最後まで楽しんでいたいという気持ちでいっぱいだった。

        帰り際に買ったパンフ(800円)も帰りの地下鉄内で熟読したが、これがまたてんこ盛りの内容。これなら安いでょ。



        で、入手したDVDを観てみましたら、これは少々気落ちする内容。『キル・ビルVol.2』の予告編と、『キル・ビルVol.1』のDVDの宣伝。まっ、いっか。タダなんだもん。



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