June.19,2004 台湾の中心で、愛を叫ぶ
香港映画レビューをすっかりさぼってしまっているのですが、別に最近輸入DVDを買っていないわけではなく、プレイヤーの周りには新作輸入版が何枚も積んだままになっている。すでに観たのもあるし、まだ観ていないのもあって、うかうかしていると突然に日本で公開されてしまう今日このごろ。ツインズと、イーキン・チェンの『ツインズ・エフェクト』も公開されてしまったし、今日からはレオン・ライとイーキン・チェンの『ヒロイック・デュオ英雄捜査線』(『双雄』)も公開されてしまう。両方とも観たのに書かないままで今日まで来てしまった。そうこうするうちに、金城武とジジ・リョンの『向左走、向右走』まで公開されるらしいという話が聞こえてきた。ジョニー・トー、ワイ・カーファイ監督作品でもあるし、これは書いておかねばなるまい。
舞台は台湾。変な構造の建物がある。どうやら2軒のアパートが隙間なく建てられたものなのだろう。その一方に売れないバイオリニストの金城武が、もう一方に翻訳家の卵のジジ・リョンが住んでいる。ふたりの部屋は壁ひとつ離れただけ。このふたりは中学時代の同級生でもあった。学校内の旅行のときにお互いに惹かれあうのだが、その後別れ別れになってしまっていた。お金のないふたりは部屋代を滞納している。そんなある日、それぞれの大家さんが部屋代の請求に同時にやってくる。部屋を抜け出して公園にいるところで、ふたりは再会を果たす。お互いの電話番号を紙片に書いて渡したところで、大家さんに見つかり、慌てて駆け出すふたり。そこに雨が降って来る。水性のインクで書かれたお互いの電話番号は水で流れてしまって読めなくなってしまう。それからはふたりはすれ違い生活。同じような行動を取るのだが、なぜか運命のイタズラですぐ隣にいるのに出会えない。
そんなバカなあと思うのだが、設定としてはコミカルでいて、それでもせつなさでいっぱい。ラストになって、ふたりはそれぞれ外国に旅立とうとする。そのときに奇跡が起こるのだが、これはもう『マグノリア』的大逆転!
サイド・ストーリーとして、金城武に心を寄せる弁当屋の娘と、ジジ・リョンに心を寄せる医者とのカラミがあって、これがコメディとしても成功していて、ひたすらすれ違いドラマだというのに飽きさせない。
香港では、やはり同じ監督コンビの珍品『Running on Karma』とほぼ同時期に公開されたようだが、まったく異なったタイプの映画をポンポンと出してくるこのプロジェクト、やっぱり只者ではない。