March.26,2005 パン兄弟×2R姉妹



        パン兄弟制作。オキサイド・パン監督の『死亡写真』(Ab−Normal Beauty)。こんなジャケットを見ると、ついつい手が出てしまう。かの『the EYE[アイ]』のオキサイド・パンだ。まあ、はずれはないだろう。

        主演は、どうやら女性人気姉妹デュオだという、2Rのふたり。Jiney(2Rレース)は美大生。写真を専攻しているらしい。風景写真などを撮っていたが、ある日、交通事故の現場に遭遇して、事故現場の写真を撮ったことから、[死]というものに興味を覚える。市場を歩いていると、生きている鶏の首を撥ねている肉屋を見つける。Jineyは肉屋が鶏を屠殺しているところを何枚もカメラに収める。JineyはボーイフレンドのAnsonに、何でそんな気味の悪い写真ばかり撮るんだと問われ、こう答える。「写真は沈黙の瞬間を捉えるの。たとえ対象が、どんなに早く動いても、私がシャッターを切れば、すべては止まる。それは死の瞬間と同じ」 Jineyが親しそうにAnsonと会話を交わしている姿を目撃した友人のJasmine(2Rロザンヌ)は嫉妬する。実はふたりはレズビアンの関係にあった。

        やがてJineyは、今度はビルの屋上から飛び降り自殺をしようとする少女に遭遇する。Jineyは彼女が飛び降りる様を地面に激突し、死んでいくまで、シャッターを切り続ける。それがジャケットの写真というわけだ。

        どうやらJineyには小さなころに、ある事件があり、それがトラウマになっているということが示されるのだが、物語は突然に別の方向に向かいだす。Jineyの元に差出人不明のビデオが届けられる。再生してみると、少女が椅子に縛り付けられている。覆面をした男が近づいてきて、少女を殴る。殴る、殴る、殴る。助けを求めている少女の歪んだ表情。やがて男は鉄パイプを持ち出し少女を撲打し、少女は息絶える。いわゆるスナッフ・ビデオというやつだ。気味の悪いビデオを送りつけてきたのは誰だろうと思ううちに、Jineyは誘拐される。気がつくとビデオで観たと同じ部屋で、同じ椅子に同じように縛り付けられている。そして目の前には、あの撲打男が立っていた・・・・・。

        前半で、他人の死に興味を持つという、やや嫌な性格の主人公が、後半で自分自身が死を目前にして、必死で逃げ出そうとする対比が面白い。殺人鬼との戦いが、まさにサイコ・ホラーものになっていて、エンターテイメントとして完結するから、映画に娯楽性を求める人にも満足がいくデキに違いない。そういう意味では、私は『the EYE[アイ]』よりも好きだ。


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