May.12,2005 香港版座頭市?
『小白龍 情海翻波』(The White Dragon)。あの『マッスル・モンク』 『忘不了』 『旺角黒夜』のセシリア・チョン(セシリア・チャン)と、ン・ジャンユー(フランシス・ン)の古装もののアクション映画。チャン・イーモウの『HERO』 『LOVERS』に刺激されたのかというようなアクション・シーンが前半に集中しているので、そういう類の映画かと思っていると途中から方向が変わってくるので、びっくりしてしまった。
皇帝の次男を慕う女学生・黒鳳(Phoenix Black)がセシリア・チョン。毎度毎度、私の偏見なのかもしれないが、この人、凄い美人だと思うのだが、“うっとうしい”美人という形容詞が付いてしまう。皇帝の次男というのも、どこに魅力があるのかわからない人物で、黒鳳が惚れている理由は、やっぱり玉の輿に乗りたいというくらいしか浮かんでこない。猛烈な恋のアタックは、相変わらず私にはうっとうしく感じられてしまう。
その皇帝暗殺を狙うのが盲目の殺し屋・一地鶏毛(Chicken Feathers)がン・ジャンユーというわけだが、これは明らかに座頭市をパクッている。仕込み杖というのも座頭市そっくりなのだが、後半になってみせるコミカルな表情も勝新太郎からのいただきに思えてしまう。
暗殺を阻止しようと鶏毛と戦うのが、学校のお掃除おばちゃんとは仮の姿の小白龍。鶏毛との戦いに敗れた小白龍は、自分の持っている力を黒鳳に授けることになる。その授け方がすごく簡単なのが香港映画のお気楽さ。パソコンのインストールよろしく、小白龍から黒鳳にファイル転送なんていう画面が出て、それでおしまい。
かくて、黒鳳は一瞬にして戦闘能力を身につけ、小白龍ジュニアとなって鶏毛と戦うことになる。竹林の中での対決は、なかなか迫力がある。2回の対決シーンがあるが、2回目で鶏毛を仕留めたと思った瞬間、反対に黒鳳は足に怪我をしてしまう。
怪我を負った黒鳳を自宅に連れて行って介抱してあげる鶏毛。そんな鶏毛の隙を見て、相手を倒して逃げ出そうとしている黒鳳。このへんも、セシリアをうっとうしく感じてしまうのは私だけだろうか?
そうこうするうちに、ふたりの仲は接近していく。このへんからは、香港的なギャグが散りばめられて、あらあら、アクション映画かと思っていたら、純愛コメディの様相を呈してくる。
そしてラストは・・・・・なかなかに感動的なエンディングに到達する。このエンディングあたりのセシリアは実にいい表情をしている。いつもの、うっとうしい女というイメージが無くなっているのがいい。
それにしても、セシリアって、うっとうしい、うっとうしいと思いながらも、ついつい観ている私って何?