April.1,2008 案外原作に忠実だった『ノーカントリー』

        原作を読んで、とっても気になっていた『ノーカントリー』を観てきた。新宿の映画館。ここは以前に入ったときにスクリーンのヌケが悪いは音響は悪いわで、二度と来るものかと思っていたのだが、どうやら改善がなされたらしくて、すこぶる快適な映写状態になっていた。

        驚いたのは、かなり原作に忠実に映画化していたこと。コーエン兄弟の映画でこれまで原作付きというのは記憶がなかったから、きっと大幅な改編をして出してくるだろうという予想は裏切られた感じ。原作との違いはというと、時代を原作よりも前の時代に設定しているらしくて(1980年だったっけ)、携帯電話はないし、備え付けの電話も旧式のもの。しかし、この作品のテーマのひとつであるベトナム戦争後遺症という点からすると、この時代設定の方が生きてくるような気がする。

        アカデミー助演男優賞を取った殺し屋役シュガーのハビエル・バンデムはさすがだ。原作を読んだときにはこんな風に描くとは思いもつかなかった。

        原作ではなぜか書いていないモス殺害シーンをどうするのかと思ったら、これもうまく処理していて原作を尊重しているようだ。残念だったのはヒッチハイカーの少女のエピソードをバッサリとカットしてしまったこと。かわりにプールサイドで知り合った女性が出てくるが、う〜ん、これではねえ。

        ラストの会話シーンも映画向けに変えられていたけれど、これは正解だろう。原作はやや抽象的すぎた。しかし、こういう映画がアカデミーを取ってしまう時代になったんですねえ。


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