May.7,2008 香港映画ファンは怒ってるよ
ゴールデンウイークの一日、『少林少女』を観に行った。エグゼクティブ・プロデューサーとしてチャウ・シンチーが名前を連ねているので、これは観に行かなくてはと思っていたからだ。しかし、いったいエグゼクティブ・プロデューサーって何よ? チャウ・シンチーは「私が作ったオリジナルのストーリーに基づいて、日本のスタッフたちが全く新しい物語を作り出した作品です」と語っているが、おそらく元になったストーリーはカケラもなくなっていたに違いない。だってチャウ・シンチーが書いたとは思えない、まったく面白くもなんともないストーリーになっていたからだ。
ようするに日本側は、チャウ・シンチーの『少林サッカー』のイメージが欲しかっただけとしか思えない。だってこのポスターだってデザインがまったく『少林サッカー』のパクリでしょうが。きっとチャウ・シンチーは途中でこの企画を投げていたんだろうなあ。一応話に決着がついて、ラクロスの試合シーンが映されるところで、もう『少林サッカー』そのままみたいなシーンが出てくるのと、何かとてつもない気を持った少女という設定が『カンフー・ハッスル』そのままという設定で、この許可を日本側が取りたかっただけなのではないか。
ストーリーへの突っ込みは山ほどあるのだが、いちいち書く気にもならないほどひどい。まったく破綻してしまっている脚本。それならそれでいいのだが、それをギャグにするわけでもなく、どうやら脚本家や監督はマジで撮ってしまっているのだ。音楽もどこかパクリっぽいしなあ。
見せ場は最後に柴崎コウ演じる主人公が塔の中に入っていき、各階で待ち構えている武道家と対決していくという『死亡遊戯』そのままの設定。ここにたどり着くまでがもう退屈で退屈でたまらない。少林拳で闘うシーンのほとんどはこのシーンだけなんだからカンフー・シーンを楽しみに観に来た観客はひたすらここまで我慢しなくてはならない。しかも許せないシーンがある。ブルース・リーへのオマージュのつもりでやったのかのかもしれないが、あのシーンはないだろう。あれじゃあ、オマージュでもなんでもなくて、程度の低いギャグ。ブルース・リー及びブルース・リーファンへの侮辱でしかない。これ、本当にチャウ・シンチーは許可したのかあ? ブルース・リーの大ファンであるチャウ・シンチーは絶対に怒っているに違いない。私も怒っているけど。