風雲電影院

アルゴ(Argo)

2012年10月30日
丸の内ピカデリー3にて。

 イラン革命のときの脱出劇というと、友人のUtamさんが経験していて、その話も聴いていると映画にできるんじゃないかと思ったが、こちらもなかなか。

 映画撮影のロケハンという名目でイラン入りして、カナダ大使館にかくまわれている6人のアメリカ人を脱出させるというストーリーだと聞いたとき、実話だと言われても、「そんなバカな」と思った。これでは『スパイ大作戦』ではないか。

 これを、ベン・アフレックがどう撮るのか不安になったのだが、結果、うまく撮ったなあという感想。

 淡々と進む準備段階から、いざ決行となると、抑制の効いた、それでいて手に汗握る脱出劇が無理なく描かれる。それは過剰演出にならず、それでいてサスペンスたっぷり。旅客機がテヘランの空港を飛び立ったときは、Utamさんの気持ちがよくわかった気がした。

 イランへ向かう飛行機の中で、イラン国境上空を通過したとき、それまで飲んでいたアルコール飲料をCAが回収しにくるシーンがある。それと対になるのが、脱出に成功して、機内アナウンスで、「イラン国境上空を通過したので、アルコール飲料のサービスを始めます」というのが流れるところ。

 シャンペンを開ける。普通のアメリカ映画だと、ここでみんなが緊張を解かれて大騒ぎになるところだが、脱出したメンバーはほとんど無言。静かに自分たちの無事を感じているシーンがいい。

 アルコールといえば、潜入したベン・アフレックが、こっそり持ち込んだらしいウイスキーをラッパ飲みするシーンもある。これも気持ちはわからないではないが、こういうシーンを観ると、「身体によくないよ」と思ってしまう、最近の私であった。

10月31日記

静かなお喋り 10月30日

静かなお喋り

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