鑑定士と顔のない依頼人(The Best Offer La migliore offerta) 2014年1月2日 TOHOシネマズシャンテ 何か書こうとするとネタバレになる類の映画なので、まだご覧になっていない方は読まない方がいいと思う。 映画自体に仕掛けられているものは、半分くらいまで行ったところで見当がついてしまう。だから、どんでん返しがあるなんて書かないで欲しいんだよなぁ。その一言でわかっちゃうようなものだもの。 それでも、この映画は面白く最後まで観られる。それは何といっても、映画がその半分当たりまで行ったところで姿を現す依頼人の女性クレア(シルヴィア・ホークス)の魅力だろう。それまで気難しくて、嫌な奴としか映らなかった鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)が恋をしてしまうのも無理はない。ヴァージルはオールドマンという名字が象徴するように、もう老人の域に達した男。それがコロッとクレアにいかれてしまう。 ヴァージルは女性の肖像画のコレクションを趣味にしている。家には秘密の部屋があり、そこにはたくさんの女性の肖像画が壁にかけられ、その空間で過ごすのが彼の楽しみなのだ。これって私にはアニメオタクを連想させる。二次元の世界の女性に憧れ、生身の女性との付き合いが無い人たち。こういう人が一度、現実の女性と関わり合うと、もう泥沼に入って行ってしまうのだろう。またクレアの手練手管が巧妙なのだ。引いたかと思うと寄ってくる。また引いたかと思うとさらに寄ってくる。これに女性経験のないヴァージルは夢中になってしまうというわけだ。 そして迎えるラスト。おそらくヴァージルは裏切られたと知ってもクレアを忘れられないのに違いない。 観終って、あっ、これって『電車男』を逆にしてみせた映画かもしれないなと、フッと思った。 1月3日記 静かなお喋り 1月2日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |