カリフォルニア・ドールズ(All The Marbles) 2013年5月14日 キネカ大森 1981年作品。ロバート・アルドリッチ監督の遺作。ロードショウで観て、さらに名画座まで追いかけたくらいだから、大好きだった一本。サントラの権利関係でDVD化できないらしくて残念。だから私もこれが30年ぶりくらいの再会。 男と男の闘いを描くのを得意としていたアルドリッチだから、女子プロレスがテーマと聞いて、「どうしちゃったんだ?」と思いながら観に行って、そのあまりの面白さに興奮して帰って来た憶えがある。 久しぶりに観てみると、やはりちょっと古さは感じる。だがなんといってもクライマックスのプロレス・シーンの面白さは何事だという思いがある。女子プロレスをこんなに面白く撮った映画は、後にも先にも一本もないだろう。なにしろプロレスである。観る側もショウとして楽しんでいるのだが、それをまるでガチの勝負のようにして見せてしまう手腕は凄い。 とにかくこのシーンだけでも観る価値がある。このふたりの女子プロレスラー役をやったヴィッキー・フレデリックとローレン・ランドンには限りない拍手を送りたい。これ、おそらく本当に相当のトレーニングをしたのではないか。ところどころスタントは使っているのだろうが、肉体も作り上げているし、けっこう本人たちも実際に身体を動かしているのだろう。まさに肉体と肉体のぶつかり合い。もちろんCGなんて使っていないし、カメラのアップと編集だけで繋ぐという、つまらない映像なんかではない。だからこれだけの力のある映像がになるんだ。 CGが映画に使われ出したのは主に80年代になってからだから、アルドリッチはアクション映画らしいアクション映画の最後の人だったのかもしれない。このあたりからアクション映画が、地に足が着いた、地球の重力を感じさせるものから、だんだん変わって行ってしまったような気がする。 卑怯な奴が大っ嫌いというアルドリッチのテーマは健在だが、女を描かせてもアルドリッチは上手いというのを、ここで知ったような気がする。昔観たときにはブロンドのローレン・ランドンにばかり目が行ってしまったが、ヴィッキー・フレデリック、いい女だよなぁ。 安いリングマネーで試合をさせられる自分たちの現状に不満を感じながらも、弱音を見せない強さを感じるし、泥レスは嫌だというのに無理矢理させられてキレたり、そうかと思うと仕事を貰うために、嫌なプロモーターと寝たりとバイタリティいっぱい。それでも弱音を吐かない。日本映画だと、そのあたりでグズグズになってしまうのだろうが、これはアルドリッチ。なんか男っぽいんだよね、このふたり。それでいて女を感じさせるものもあるんだから、この映画が好きになっちゃうわけで。 DVDにならないんだったら、まだ名画座で上映しているうちにもう一度くらい観に行きたい。クライマックスの試合シーンが終ったところでスパッと終わるのも潔くて好き。 5月15日記 静かなお喋り 5月14日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |