風雲電影院

大魔術師“X”のダブル・トリック(The Great Magician 大魔術師)

2013年1月9日
シネマート六本木

 去年の旧正月に封切られたらしい香港映画。主演がトニー・レオン、ラウ・チンワン、ジョウ・シュン。みんな正月映画の娯楽作として割り切ってやっている感じ。日本でもあったなぁ、こういうの。でもできるなら広東語版で観たかった。こういうガチャガチャしていて、それでいておめでたい映画は広東語の方が似合ってるでしょ。

 おそらくトニー・レオンをマジシャン役にするというアイデアから始まった企画なんだろうなぁ。それでマジシャンにするなら現代よりは昔の話の方が様になるっていうんで1920年ごろの北京を時代背景に持ってきたっていうのは自然な流れかな。日本だと大正時代だもの。マジックがなんか見世物小屋風で、いかがわしくて、いい感じだもんね。

 それにしても変な邦題を付けたもので、どこがエックスなの? 『容疑者Xの献身』がヒットした流れなのかも。ちなみに、映画の中でXとサインするシーンがあるけど、それじゃないよね。ダブル・トリックはわからないでもないけれど、まあ、それもインパクト狙いかかな? だって、こんな香港映画ファンくらいしか観に来ない単館ロードショーにそんなタイトル付けたってしょうがないでしょ。タイトル長すぎて憶えにくいし。レンタルDVD対策かねぇ。

 とにかく作り手としては正月映画らしく賑やかにしようと思ったらしいのだが、ややゴチャゴチャしている。あまり気にせずに楽しんでいればいいだけなのだけど。出てくるマジックは実際にやっているものと、映画のトリックで見せているものとが混在。映画のスクリーンから戦車が抜け出してくるのとか、本当にやったら大掛かりなマジックだねぇ。最後に披露する絵のマジックはきれいだ。江戸川乱歩の『押絵と旅する男』を思い出してしまった。

 三角関係の恋愛話もお決まりな感じだが、前半は真剣で、後半になるほどコメディになっていって、最後はもうどうでもよくなってくる。

 暗躍する日本人組織が面白い。なぜかくノ一軍団がいて、巨大な十字手裏剣を投げたりする。私など、このへんのアイデアを膨らませてアクション映画にしたら面白かったろうにと思う。マジシャンと忍者軍団の闘いなんて考えただけでも面白そうではないか。

1月10日記

静かなお喋り 1月9日

静かなお喋り

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