フォード・フェアレーンの冒険(The Adventuures of Ford Fairlane) 2013年7月29日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1990年作品。『ダイハード2』『クリフハンガー』のレニー・ハーリン監督のラジー賞三部門に輝くおバカ映画。ノミネートだけでも六部門。最低作品賞、最低主演男優賞、最低監督賞、最低助演男優賞(2人)、最低脚本賞。そして最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞を受賞している。ところが、映画好きの間では、これ、そんなに悪くないんじゃないか?の声が上がっていた。 日本でも、公開当時まったく客が入らず、すぐに打ち切りだったそうだ。私は最初からまったく観たいと思っていなかったから、惜しいとも何とも思わなかっった。ロック探偵って何よ。しかもそれがなんとなくプレスリー気取りの風貌というのがまったく趣味に合わず、どうでもいいという気持ちだった。 それで今回ようやく巡り合う事ができたわけだが、どう考えてもこれ、最初からマトモな映画を作ろうなんてまったく思ってなかっただろうという確信犯的映画だということがわかる。脚本は3人の共作だが、おそらくまともにストーリーを考えている奴と、それ以外でどれだけバカができるかしか考えていない奴がいるんじゃないだろうか。一応辻褄は合っているが、結構いい加減。 ロック業界専門の探偵なんていうものが果たして成り立つのかどうかは解らないが、やったもん勝ち。そんな狭い範囲で食えるわけねえだろと思っていると、確かに依頼する側も金がないらしくて、金時計やら生きているコアラやらの現物支給。コアラって!! それでいて住んでいるのは海岸沿いの、なかなかの豪邸。わかんねぇー! その豪邸が爆薬で吹っ飛ばされて財産を失うのだけれど、案外動じて無かったり。砂浜にすっ飛んだ電話が鳴りだすって、どういう事? そんな長いコードが付いてたのか? だいたい建物が吹っ飛んで電話線は無傷か? といった細かいことは、突っ込むだけ野暮なのだろう。 死体の乗った霊柩車でのカーチェイスとか、世の常識人の「ふざけ過ぎだ」の怒りを買った結果のラジー賞かもしれないけれど、まあ、なかなか面白いと思うのだけど。 1990年ということはレコードがCDに移行している時期。CDが音楽以外にも情報記録メディアになるという事はわかっていたと思うが、パソコンの発普及過程では、まだまだ一般的でなかった時代のおはなし。いまならすぐに気が付きそうな事だが。いや、いまや記録メディアとしてCDはすでに古くなっているものなあ。今やUSBメモリーの時代か? それに事件の真相も今ではもう時代を感じる。これまたCDが売れなくなっている時代だもの。この真相は・・・ねぇ。 個人的に面白かったのは、主人公の探偵がレコーディング・スタジオに行くシーン。下手くそな歌手がレコーディングしているのを見て、俺に歌わせろとばかりに歌うのが、I Ain't Got You ジミー・リードのブルースの名曲だが、私らの世代では何と行ってもエリック・クラプトン在籍時代のヤードバーズで有名。まさかこの曲をプレスリーみたいなフリで歌うとは思わなかった。思わず「アハハハハ」と笑っていたのは私だけかもしれないけど。 もう勝手にしてくれという感じのエンディングが楽しい。そしてコアラがいい! 7月30日 静かなお喋り 7月29日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |