ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(The Founder) 2017年7月30日 角川シネマ有楽町 レストランを経営していたマクドナルド兄弟は、あることに気が付くんですね。自分の店にはたくさんのメニューがあるけれど、売れているのはハンバーガーとフライドポテトとドリンクがほとんどを占めていると。それじゃあ、メニューをこれだけに限定して飲食スペースも無くして、持ち帰り専門。これなら皿もフォークもいらない。食器を洗う手間もいらない。お客さんには待たせずに30秒で商品を渡すと。 それで実際に調理からお客さんに商品を渡すまでのシュミレーションを始めるシーンが面白い。調理場のレイアウトをどうすればスピーディにできるか実際に人を動かしてやってみる。どういう配置にすれば、効率的な動線になるかテストする。これってわかるんですよ。自分でも飲食店をやっていたから、調理場のレイアウトというのは大切。何人かのタッグで料理を作るとき、うまくラインができてないとスムーズにいかない。とくにマクドナルドの場合はまったく新しいシステムだから、これには苦労しただろうと思いますね。ただ、見ていると従業員の数が多すぎるような気がする。まあ、お客さんが列を作るほどの繁昌になることを見越したのかもしれないけれど。あんなに人を雇ったら人件費がとんでもないことになる。 幸いマクドナルド兄弟のアイデアは大成功。それに目を付けたのがミルクシェイキの機械を売っていたセールスマンのレイ・クロック(マイケル・キートン)。これは素晴らしいアイデアだということで、マクドナルド兄弟にチェーン展開を持ち掛ける。チェーン化は味が落ちたりサービスが悪くなったりするので難色を示すものの、あまりに熱心なので、細かい取り決めをした契約書を交わして、チェーン化の権利を渡すとになる。 ところがこの男、契約は守らずにどんどんチェーン化を進めていく。経費を抑えるためには商品の質を落とす。マクドナルド兄弟が電話で文句を言えば、一方的に電話を切る。やがてクロックはマクドナルドというブランドの乗っ取りに走り出す。 いや〜、実在の世界的な巨大企業の内幕をズバッと映画にしちゃうなんていうのはアメリカにしかできんでしょうね。 それにしてもこれがアメリカって映画だった。おそらくファーストフードの始まりはマクドナルドだろうし、こういったファーストフード、パソコンのアップル、マイクロソフト、流通のアマゾン。み〜んな「こうしたら便利」というアイデアで起業して大儲けするのは、うまく立ち回った一部のアメリカ人。その下には貧困を抱えた多くのアメリカ人、そして世界中の人たちがいるんですね。 ほんと、世の中うまく立ち回った者が勝利する。レイ・クロックの信条は「根気」。ゴリ押しのように自分のやりたいようにやり通す。マクドナルド兄弟はもうクロックの「根気」に根負けしてしまうんですね。 いや〜。私は滅多にマクドナルドって行かないのだけど、これからは入るたびに、この映画のことを思い出してしまいそう。 7月31日記 静かなお喋り 7月30日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |