ゴースト・スクール(Promocion fantasmo) 2013年9月7日 ヒューマントラストシネマ渋谷 『スクリーム・フェスト スペイン 2013』という催しの一本。 ヨーロッパ在住の私の友人に言わせると、この分野は今スペインが一番面白い映画を作るんだそうで、なかなかスペインの娯楽映画を観る機会は少ないから、このチャンスを逃したくはない。中でもこの『ゴースト・スクール』は三日間の上映。しかもレイトショウで一日一回。さらに上映するシアター3というところは定員が60席しかない。今回の三回の上映でも延べ180人しか観られない。これは、この作品が早くも来月にDVDになってしまうからというのが理由なのだろうか? スクリーンでの上映がこれだけとは、なんとももったいない。 では作品の出来が悪いのかといえば、そういうわけでもない。ウィル・スミスによってハリウッドでリメイクが決定したというだけあって、いかにもハリウッド好みの内容になっている。これはホラーというよりはコメディに分類されるものだろう。 高校教師のモデストは、幽霊の姿が見える能力を持っている。新しく赴任した高校には、20年前に焼死した五人の生徒の幽霊が浮かばれずに居ついていて悪さをしている。幽霊はこの世にやり残したことがあり、それを叶えてあげれば天国に旅立っていくはず。モデストは彼らが高校を卒業出来なかったのが心残りなのだろう思い、彼らを相手に授業を始める。卒業試験も無事に済み、これで彼らは昇天していくだろうと思いきや、まだ昇天できない。実は彼らには卒業とは別にひとりひとりそれぞれに、この世にやり残した事があった。そこでモデストは彼らのそれぞれの望みを満足させてあげようと動き出す。 かなりアメリカナイズされた映画だが、それにラテン系の乗りが加わる。幽霊が出てくる学園ものコメディと言っていいかもしれない。脚本が良く出来ていて、五人の生徒の個性がよく出ているだけではなく、主人公のモデスト自身も、幽霊が見えることでのトラウマを抱えていて、それがラストで見事に解決する。 おそらく低予算で作られた映画なのだろうけど、これがハリウッドでどうリメイクされるのか楽しみな気がする。 観ていて、三谷幸喜の『ステキな金縛り』をちょっと思いだした。幽霊もののコメディという分野って、まだまだ開拓の余地があるのかもしれない。 9月8日記 静かなお喋り 9月7日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |