ゴールデンスパイ(Switch 天機・富春山居図) 2013年12月17日 シネマート六本木 シネマート六本木の、冬の香港中国エンターテイメント映画まつり、『名探偵ゴッド・アイ』に狂喜し、『フライング・ギロチン』に題名が詐欺じゃんとがっかりし、そして最後の一本がこの『ゴールデンスパイ』。アンディ・ラウ主演のスパイものとくれば期待が高まるし、台湾の美人女優リン・チーリンとの共演ともなるとこれは何が何でも観たかった映画。 ところがですねぇ、これ「なんじゃ、こりゃ」ってな映画。一応、見せ場だけはたくさんあるから退屈はしないのだけど、どの見せ場もイマイチって感じ。それに私の頭が悪いのか、よくわかんないのですよ、この映画。 ええっと、中国と台湾に別れて存在する国宝の水墨画があって、それをひとつにして公開しようという計画が持ち上がる。ところが公開を前にして、それぞれの水墨画が盗まれてしまうわけですね。なぜこの時期なのかよくわかんない。盗み出すなら別々に盗むよりも一緒になったときに盗んだ方が手間がかかんないと思うんですけどね。それで国家としては、公開する日が6月1日と決まってしまっているから、何としてでもそれまでに取り返せと、アンディ・ラウに命令すると。そのために、その水墨画を巡ってドバイの金持ちやら日本のヤクザやら謎の美女リン・チーリンが暗躍して殺し合うって事なのかなぁ、この映画は。 いやね、別に水墨画が盗まれたとしても、何が何でも6月1日に間に合わせなければいけないという理由がわかんないんですよ。公開を延期すればいいだけの話なんだから。それなのに、わざわざ画面に、「あと何日」という文字まで出して緊張感を演出しているらしいのだけど、意味がわかんない。それでさんざん多くの人が殺し合って、最後に水墨画が戻るとアンディ・ラウがお偉いさんから「よくやった」って褒められるだけ。なんなの? もし、ふたつの水墨画が合わさると財宝の秘密がわかるとか、そういうわけじゃないのね。こう言っちゃ元も子もないかもしれないけど、ただの国宝。それを日本のヤクザが欲しがっているというのもよくわかんない。 おそらくジェームス・ボンドものみたいのを作りたいと思ったんだろうけど、さっぱり面白くならない。どこかの海岸でのんびりしていたアンディ・ラウがヘリコプターを追って、海岸線を走っていって、モーターボートに飛び乗り、車を奪って追跡っていうのもよくわかんない。 勘違いの日本というのも、ヤクザの城(!?)に相撲取りがいたり、くノ一軍団がいたりっていうのは、もう慣れたけど、何が何でも古過ぎだろ。 それでもってアンディ・ラウのスパイには家族がいて、子供が攫われたりする一方で、リン・リーチンとのラブ・ロマンスもありという、あまりのチグハグさに、ツッコミを入れるのも虚しくなってくる。 最後のヤクザとの一騎打ちは、なぜかフェンシング。そのための伏線も何も無し。どうして、どうして、どうしてなの。誰かわけを教えて。 チラシには「公開10日後には興行収入2億4千万元(約38億円)を突破」って書いてあるけど、中国の人って、これを観てどう思ったんだろう。きっと騙されたと思ったんじゃないかと思うんだけど。 12月18日記 静かなお喋り 12月17日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |