群盗(Kundo Age of the Rampant) 2015年7月17日 新文芸坐 この春に公開されて、なかなか評判がいいので観に行こうと思っているうちに見逃してしまった映画。新文芸坐で捕まえることができた。 しかしね〜、気になっていたことが現実になってしまった。武侠アクションものなのだけれど、韓国の場合、この手のアクションの殺陣が確立されてないらしくて、以前に観たものもそうなのだけれど、戦いのシーンが短いカットの積み重ねだけで作られていて、チャンバラを見ている気がしないのですよ。こういうのが得意なのはやはり日本と香港。動ける役者ありきでアクションを作っているから迫力が違うし、どう戦っているのかもビジュアルとして目に飛び込んでくる。日本も以前のようにはチャンバラ映画をを作らなくなってしまったけれど、『るろうに剣心』を観たりすると、日本の殺陣の伝統はまだまだ進化しているなぁと思う。日本や香港のスタッフが入って作ったら、さぞかし面白いものが出来るだろうにと思うと残念でならない。 基本的にはハ・ジョンウとカン・ドンウォンの戦いの映画だがハ・ジョンウが仲間に加わる群盗の一味に、それぞれ得意とするスキルを持った人間がたくさんいて、ちょっと胸が躍るのだけど、そのせっかくの設定がイマイチ生かされていないのがもったいない。その得意技でもっとうまく戦えるのにと思ってしまう。 群盗側は結局、劣勢に立たされてしまい、そこから大逆転を起こす武器の登場となるのだけれど、これは反則なんじゃないの? この時代にこの手の武器があったのかどうかは知らないけれど、そこまでは刀での斬り合いに、飛び道具は弓矢だったのが、これが登場しちゃうとはね〜。マカロニウエスタンにこのアイデアはあるのだけれど、あれはまあ納得するとしても、この映画の世界では「それはないんじゃない?」と思えてしまう。 マカロニウエスタンと言えば、この映画、マカロニウエスタン風の音楽が付けられていて、これがなんとなくどっかで聴いたような曲のような気がしたのは私だけだろうか? いや、マカロニウエスタン風音楽はいいのだけど、その使い方が中途半端というか勿体無いというか、なんか安っぽい使い方してる。このシーンは音楽なしの方がいいだろうなぁというところにまで使っちゃていて、損しているような。 カン・ドンウォンは悪役を引き受けた形だけど、これがいい。ハ・ジョンウより印象がよくなった感じ。ラストでの竹藪での一騎打ち。長剣のカン・ドンウォンを竹藪に誘い込み、ハ・ジョンウは包丁みたいな短剣二刀流で倒すのだけど、この不利な状況でもカン・ドンウォンの強いこと強いこと。しかも左手には赤ん坊を抱えて! そして決着がついたところで、ハ・ジョンウ以外の最後の一撃は余計だったんじゃないの? 7月18日記 静かなお喋り 7月17日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |