ハードコアの夜(Hardcore) 2014年8月25日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 ポール・シュレイダーの、1979年の脚本、監督作品。公開当時見逃してしまい、ようやく観ることができた。 ジョージ・C・スコット演じるのは田舎町の工場経営者。敬虔なキリスト教信者で、その信奉ふりは一直線。頑固で真面目過ぎるところが、却って人に疎んじられるようなところがある。娘を女子高に通わせているが、ある日、学校の課外講習に出かけた先で行方不明になってしまう。父親は警察に届け出るが、家出だろうくらいに思われて、動いてくれない。警察からも言われて探偵を雇うことにする。これがピーター・ボイルとくるから、これはもう、これ以上の配役は無い。しばらくして探偵から連絡が入り、8mm映画を見せられる。これがいわゆるブルーフィルム。そこに映っていたのは自分の娘だった。 さあ、こうなるとお父さん、自分の娘が誘拐されて、大変なことになっていると思い、居ても立ってもいられない。どうも探偵は真面目に娘を捜してくれてないんじゃないかと思い、探偵を解雇。自力で娘捜しに乗り込んで行く。 ははぁ、なるほど。これはポール・シュナイダーが脚本を書いた『タクシー・ドライバー』と共通するところがあるなと思える。こちらの方は、実の娘を助け出そうとする父親。しかも今まで真面目一辺倒で生きてきた男である。まずはブルー・フィルムが売られているポルノ・ショップに足を踏み入れるが、ほんと場違いな思いをするだけ。ここで面白いのは、入場料として入口で50セント払わなければならないこと。この50セントは何か商品を買ったら、あとで返してくれるシステム。へえー、当時、そんなことをしていた店ってあったんだぁ。 このころのアメリカって、ほんとにポルノショップ街というのがあって異様な感じだっんだなと思う。日本で言うと、歌舞伎町に近いのだけど、あれよりもっと露骨で、子供なんて歩けない。風俗店から、大人のおもちゃ、ポルノ書籍の店までまとまって街を形成していたんだね。 それで、信仰心だけで生きてきて、セックスなんて汚らわしいと思っていた父親は、最後にはごり押しで敵地突進。その大きな体で人も建物もなぎ倒して、娘を救出するのだが、そこに待っていたものは・・・。 ポール・シュレイダーって人は、日本通でもあるように、これとか『タクシー・ドライバー』とか、あの『ローリング・サンダー』とか、主人公がサムライなんだよね。それで、思い込んだら一直線。 映画は一応、ハッピー・エンドのようにして終わるが、決してそうではない。残ったのは虚しさだけ。ジョージ・C・スコットの父親は、おそらくこのあとも娘とうまくいくとは思えないし、彼を助けた少女ニキを、あれだけ約束したのに救ってあげる事はできなかったし、ついには誰の気持ちも理解してあげられなかったに違いない。 う〜ん、おそらく気が付いていると思うからネタを割ってしまうと、娘は誘拐されてこういうことをやらされているわけではなかったというのが真相。今ね、よく知らないけど、日本の方が、ことAVに関しては上行っちゃってるんじゃないだろうか? これだけ氾濫しているAV女優さんたち、実にあっけらかんとセックスしている様子を公開しちゃってる。もう誰も彼女たちが、いやいや無理矢理に出演させられているとは思っちゃいない。今はもう、こういう話って成立しにくい世の中になってしまっているような。 8月26日記 静かなお喋り 8月25日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |