風雲電影院

夜の大捜査線(In The Heat Of The Night)

2013年5月7日
新文芸坐

 1967年作品。公開当時に一度観ている。ジョン・ボールの原作も読んだ記憶はあるが、もうすっかり忘れてしまった。

 レイ・チャールズのテーマ曲が流れる。これだけで痺れる。名曲だなぁ。

 タイトルのあと映画が始まって、冒頭は田舎町の終夜営業の汚い食堂。警察官のウォーレン・オーツと、店のアンソニー・ジェームズのシーン。おお、そうだった。昔観た記憶が甦ってきた。ご贔屓ウォーレン・オーツ、このころから味のある役者だったなぁ。それになんといっても、ここはアンソニー・ジェームズでしょ。こんな嫌な奴はいないという感じ。人種に偏見を持っているだけじゃなくて、世の中を小馬鹿にして生きているという感じ。警察官であるウォーレン・オーツさえ馬鹿にしている。店内にはハエが飛んでいて、それをゴムで撃ち落としている姿がまた嫌だ。でもこの冒頭シーンは重要。この映画のいろいろなものが集約されている。タイトルどおり暑い夜なんだなぁという感じが出ているし、そのあとウォーレン・ウォーツが深夜のパトロールに出ると・・・ムニャムニャ。あまり書かないでおこう。

 人種差別が激しい南部の田舎町で、たまたま居合わせたシドニー・ポワチエの刑事が殺人事件に巻き込まれる。今から観ると、ミステリとしては少々雑な印象がするし、どんなに田舎だとしても、CSIなどを見慣れてしまった目からすると、こんないい加減な捜査ってするかなぁとは思うけれど、時代だったんだろうねぇ。

 それでロッド・スタイガーの署長が、たいした裏づけもないのに容疑者を誤認逮捕して、あとは自白を待つだけって、こんなのアリかとも思うけれど、実際に日本でも誤認逮捕、冤罪事件っていまだに多いんだから、ありえない話でもない。ちょっとゾッとする。

 シドニー・ポワチエが捜査を進めていくと、街の不良が襲ってくる。あのころは黒人は、うかうか街も歩けなかったものだけど、今はどうなんだろう。黒人の不良の方が幅を利かせている気がするし。アメリカって疲れそうだ。

 面白い映画だけれど、やはり時代を感じる。今では絶対に作れない映画だろう。

 ちなみに、この邦題はなんなんだろう。田舎町の出来事で、別に捜査線というほどのこともしてないし、ましてや大なんかではない。

5月8日記

静かなお喋り 5月7日

静かなお喋り

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