『カイジ 人生逆転ゲーム』 原作のコミック『カイジ』は連載が始まったころから読んでいる。今でも毎週月曜日になると、コンビニへ行って『ヤングマガジン』の『カイジ』だけ立ち読みをしている。そしてもちろん単行本が出ると買って、今度は落ち着いて読む。 だから『カイジ』が映画化と聞いて複雑な気分になった。だって、映画化は到底無理だとしか思えない原作だと思えたから。この原作は登場人物の心理描写が描けないと成立しないと思えたからだ。 映画が始まってまず驚いたのは、カイジを闇の世界に引きずり込む遠藤が女性(天海祐希)に変わっていたこと。ははあ、なにしろ原作は男しか出てこないのだから、映画としては華を入れたいと思ったのだろう。これはあまり違和感がなかった。 そして、いよいよ始まる、限定ジャンケン。これがあまりにあっけない。もともと制限時間が4時間というルールが、30分になってしまっている時点から、いやーな気がしてくる。30分では原作の分量を消化できる展開が出来るわけがないからだ。案の定、大幅なカットがなされている。ここまでで映画が始まって30分。てっきり限定ジャンケンだけだと思っていたからガッカリ。しかし、ここで原作にないアイデアがひとつ盛り込まれていて、それが、後のEカード対決に結び付くのは上手い脚本だろう。 原作では一旦シャバに出たカイジが再び闇の世界に戻ってくるのだが、ここで地下施設労働現場編に飛ぶ。しかし、チンチロリン対決はなし。入れて欲しかったところだけどなあ。 鉄骨渡り。この部分は原作を読んでいて一番つまらなくてね飛ばし読みをしていたのだが、こういうのこそ映画向きなのだろうな。結構、いいのだ。 この映画のハイライトは利根川(香川照之)とのEカード対決。この心理戦はよくできている。やはり香川照之という達者な役者あってこその成功だろう。 カイジ役は藤原竜也。あの甘いマスクでカイジというのはどうかと思ったが、映画の主人公があまりムサいのも嫌だしね。冒頭で、すれ違った女性に「キモい」と言われてキレるシーンがあるが、99%の女性は藤原竜也を見て、キモいとは思わないでしょ。 帰りに最新刊『賭博堕天録カイジ 和也編1』を買って帰った。 2009年10月12日記 このコーナーの表紙に戻る |